私は東京の大田区で生まれ育ちました。小さい頃からポジティブな性格で、「どんなことがあっても、将来は必ず幸せになれる」と信じていました。

馬鹿みたいな話ですが、生まれた日が祝日なのも「自分の誕生日だから休みなんだ」と子供の頃は本気で思っていましたし、手相が良いみたいで「この手相ならあなたは将来必ず成功する」と周りから言われていたこともあり、自分は特別で、必ず幸せになると思っていたんです。

また、努力した分だけ結果が明確に出る勉強が好きでした。そして小学校3年生から塾に通い始め、中学受験を経て慶應義塾大学の付属校に進学しました。

ただ、小学生の頃は心底自由に生きていたのですが、中学に入ってからはいつしか人目を気にするようになりました。学内で暗黙的に「良しとされるもの」が規定されている雰囲気を感じ、そこから外れることはしないようにと思っていたんです。

高校も同じように過ごし、内部進学で大学に行くことは決まっていましたが、その先のことはあまり考えていませんでした。地元では既に働いている友達が多く、やることが決まっている彼らが羨ましいと思うこともありました。

そんな中、ある友達に言われた「将来が決まってないから大学に行くんでしょ?」という言葉がキッカケで、大学では自分の道をしっかり見つけないといけないと思うようになったんです。

そんな漠然とした思いを抱えていた高校3年生の1月に、『GO』という映画を見ました。その映画は、在日韓国人の主人公が、日本人からも韓国人からも外者扱いされながらも、自分は何者かを探していく話でした。

物語の終盤、それまで自己のアイデンティティーに揺らいでいた主人公が「俺は俺なんだよ!」と吹っ切れて叫ぶシーンがあり、心のどこかで人目を気にしていた私は、強く心を動かされたんです。

自分が求めていた生き方は、人目を気にするのではなく、自分の心に素直に、主体的に人生を選ぶ生き方だったんだと。