私は、三人兄弟の末っ子として生まれました。
4つ上の姉と、1つ上の兄、それに私です。

実家は特別貧乏なわけではありませんでしたが、
兄弟全員が大学に通っていたため、多額の学費で家計は圧迫されていました。

姉は大学4年間と大学院4年間の計8年間大学に通っており、兄は中学から私立に通い、二浪して大学に入学。
私は浪人もしていないし高校も公立だったので、母親からは、「一番安上がりで助かる(笑)」と言われていたものの、
大学には通っていたため、それなりの学費を払ってもらっていました。

そんなある日の夜中、リビングから親の話し声が聞こえてきたんです。

「仕事がしんどい」「辞めたい」「辛くて狂いそう」

父の声でした。
その時の父の姿に衝撃を受けましたね。
今まで父はそのような素振りを見せたことはなかったんですから。

たしかに父は物心ついた頃からずっと、6時前には家を出て、帰宅は夜の12時を過ぎていました。
週に2日は徹夜で帰宅せず、土曜出勤も当たり前。それを30年間も続けていました。

後日、母親にそのことを聞いてみると、
「実は毎晩ああなるのよ。子供達には知られないようにしてたんだけどね」とのことでした。

当時の私は、女とバイクと車の3つだけにお金と時間を使っていました。
そんな息子に対して両親は、笑顔で学校に送り出してくれ、自分の死ぬような思いを微塵も見せずに接してくれていたんです。

その時から、何としてでも父と母が「人生を楽しめた!」と言ってもらえうように努力しようと心に誓いました。

それまでは、両親のことは何とも思っておらず、馬鹿にすることさえもありました。
ですがその日を境に、親への想いが180度転換したんです。
大学3年生の冬でした。