好奇心と楽しませる気持ちが原動力です。
「経済をバラエティでわかり易く」という挑戦。

TBSの経済情報バラエティ番組『がっちりマンデー!!』の総合演出を行う大松さん。 内向的で人付き合いが苦手だったという少年時代から、京大法学部を経てテレビ局に就職をした背景とは?「ずっとディレクターでいたい」と話す大松さんの番組作りへの思いを伺いました。

大松 雅和

おおまつ まさかず|『がっちりマンデー!!』総合演出
株式会社TBSテレビにて、毎週日曜の午前7:30〜8:00に放送されている経済情報バラエティ番組『がっちりマンデー!!』の総合演出を務める。

内向的な幼少期から、好奇心に突き動かされる大学生活へ


僕は岡山県岡山市に生まれ育ちました。

小さい頃から内向的な性格であまり人付き合いも上手くなかったため、小学生になるとゲームに関心を持つようになりました。しかし、流行っていたファミコンをほしいと言っても親からOKが出ず、変わりに「コンピューターはどうだ?」と聞かれたんです。あまりよくわかっていなかったものの、なんだかカッコいいなという感覚はあり、小学4年生の時、NECのパソコンを買ってもらうことができました。

それからは、ずっとパソコンでのゲームにハマっていきました。あまり友達がいなかったこともあり、学校から帰るとPCに触れる毎日でしたね。コンピューターの世界は全て理屈で動いていることもあり、性に合っていたんです。

しかし、中学生になると、それまでよりは人付き合いができるようになり、段々とPCは趣味となっていきました。代わりに小学校から始めたサッカー部を経て、途中からは生徒会にも所属するようになりました。

その後高校に進学すると、公立のゆるい雰囲気の進学校だったため、勉強には力を注ぐものの、将来の方向性は明確でありませんでした。身近な人で「こうなりたい」という人がいたわけでもなく、将来の選択肢を狭めないため、という理由で自分の学力で行ける中でなるべく上位の大学に行こうと考えていました。

また、国語の先生から言われた「県外に出て一人暮らしをしたら、見えてくるものがある」という話が印象に残っていたため、ぼんやりと京都大学を目指してみることに決めました。

正直、学力的にかなりの背伸びだったのですが、ある授業で一人ずつ自らの志望校を言う機会があり、前の席に座っていた優秀な女の子が京都大学と言っており、自分も合わせて意地を張ってしまったんです。学部は特別こだわりがなかったものの、一番将来がなんとでもなりそうな法学部を受験し、勉強の末、無事合格することが出来ました。

実際に入学してみると、京都大学には本当に色々な人がいて、非常に刺激的でしたね。ボロボロのアパートに住み、他の学生と部屋を行き来していると、片や数学オリンピックに出場し、もう一方は学生ながらホストクラブで働いている。皆優秀ながら面白い人ばかりの環境でした。

また、海外への関心から、大学では国際交流のサークルに所属し、海外の学生の受け入れや、海外旅行に積極的に行くようになりました。岡山では外国人に出会うことも滅多に無かったので、非常に新鮮でしたね。

そんな風に、とにかく自らの好奇心に引っ張られて行動をする大学生活を過ごしました。

TV局への憧れと第2志望の配属


ところが、そんな日々を過ごしながら、大学2年生になっても、結局将来何がしたいのか明確でない点は変わっていませんでした。そんなある時、先輩から「祇園のバーで働かないか?」と誘っていただいたんです。その店は元宝塚に所属していたママが切り盛りする小さなお店で、歌舞伎役者やタレントの方から商社や銀行マンまで、幅広く色々な方が訪れていました。

そこで、色々なお客さんと接する中で、色々な職業に触れてみようと考えるようになったんです。すると、お酒を作って話をする中で、話が面白い人とつまらない人がいることに気づきました。

そして、一番話が面白かったのはTV局や広告代理店の人たちでした。話の仕方がうまいのはもちろん、自分の話を聴いてくれて、リアクションをしてくれるんです。正直、内向的な性格だったこともあり、これまで自分の話で面白いと反応してもらうことは多くなかったので、接していてすごく楽しかったですし、自分もこんな風になりたいと思うようになりました。

そこで、就職活動ではマスコミ系を受けて周り、TBSへの入社を決めました。正直、受かると思っていなかったので内定の知らせを受けた時は嬉しかったですし、最初に内定が出た会社に入ろうと思っていたので、迷いは無かったですね。

ところが、実際に入社をしてからは、「面白いものを作って人に見せるのが楽しそう」という理由で志望していた制作の部署ではなく、第2志望の情報システム部門の配属となりました。

周りの新入社員に比べてもゆるい動機で入社してきたタイプでしたし、面接の時に、元々の関心からIT関連の話をしていたこともあったのだと思います。

実際に配属して一番始めに携わった仕事は選挙特番の為にLANケーブルを引くことでした。その他にも、社内のヘルプデスクとして壊れたプリンタを直したり、業務に関わるプログラミング等の技術を勉強したり、元々嫌いではなかったこともあり、いつかは制作に携われるはずだと、割り切って仕事をしていましたね。

ディレクターのやりがいに目覚める


そして2年働いた後、異動の機会があり、希望していた制作の中のバラエティ部門への配属となりました。同期より2年遅れていることもあり、頑張らなければという思いは強かったですね。

最初に携わることになったのは『アッコにおまかせ!』という番組でADの仕事でした。しかし、実際に仕事を始めてみると、全く仕事がうまくいかなかったんです。ただでさえ性格が緻密さに欠けているのに、仕事の忙しさで毎日眠い状況で、先輩に叱られてばかりの毎日でした。それまで体育会に入っていたこともなかったので、先輩に怒られるということに慣れておらず、自分はADに向いていないなと思いましたね。正直、心が折れそうな時もありましたが、これがずっと続く訳ではないという思いもあり、なんとか仕事を続けていました。

すると、番組の改編で『ウンナンのホントコ!』という番組に携わるようになり、2年ほどADを務めると、ディレクターを任せてもらえることになったんです。

そこで、初めて自分が考えたイメージがTVに流れる機会があり、自分で考えたオチが流れると、MCのウッチャンナンチャンのお二人を含む出演者の方が、スタジオで笑っている姿を目にしたんですよね。

その瞬間、今までに無い気持ち良さを感じました。

自ら考えたネタで他の人が笑っている姿を見ることができ、番組づくりの醍醐味を感じることができたんです。

それからは、『ガチンコ!』のディレクターになり、「ガチンコラーメン道」という企画の立ち上げを行いました。そこでも、番組自体の人気が高かったこともあり、街で番組のことを話している人に出会ったり、とても嬉しい経験が続きましたね。TV局の狭い部屋で作った企画がウケているのか不安だった部分があったからこそ、直接声を聴けるのは本当に嬉しかったですし、疲れが吹っ飛ぶような感覚がありました。

経済をバラエティでわかりやすく、という挑戦


その後、『関口宏の東京フレンドパークII』や『さんまのスーパーからくりTV』等、バラエティを転々としていると、30歳のタイミングで、「バラエティ部門でお金の番組やるんだけど来ない?」と話をいただいたんです。

元々、ものづくり自体は楽しさを感じつつ、100%お笑いの番組でギャグを考えてというのは難しいと感じていたので、そういった切り口の番組はいいなという感覚がありましたね。バラエティの周りの人に対して日経平均の話をするような性格だったこともあり、内容にも関心がありました。

そこで、『儲かりマンデー!!』と題し、儲かっている人に学ぼうという主旨の番組を立ち上げ、総合演出に携わることになりました。それまでは他の人が考えた企画を形にするという仕事だったのが、どんなネタをやるか・どんなVTRを撮るかを考え、編集された素材に校正を入れ、番組のMCに直接伝えるという、言わば工場長のような、ものづくりの責任を全て負うような立場になったんです。

社会的にちょうどITバブルの時期で、どこか儲かっている人を叩くような雰囲気がある中、儲かっていることはいいことなので、褒める番組にしようという考えのもと、番組の制作を始めました。

また、「経済というジャンルをわかりやすくて楽しく伝えること」をテーマに、特定の企業や事業等を分かりやすく分析して伝える、おばちゃんにも分かる経済番組にしようと決めたんです。

ところが、実際に番組制作を始めてみると、物事をわかりやすく伝えることの難しさを痛感しました。実際にロケにいったディレクターが撮って来たVTRの校正を行う中で、自分自身その業務が初めての中、誰にでもわかるような伝え方にこだわるため、日々摸索しながら進んでいく感覚でした。

プレゼンテーションに関する本や、機械のマニュアルを作るプロの本等、肝である「説明の分かりやすさ」を実現するための勉強は沢山しましたね。また、バラエティ番組ということで企業の社長が出演してくれないという状況も多く、苦戦ばかりが続きました。

好奇心をもって、人を楽しませるものづくりを


それでも、地道に打診を繰り返していくと、最初にワタミ株式会社の渡邉美樹社長、その次には楽天株式会社の三木谷浩史社長から出演の快諾をいただき、なんとか番組のスタートを切ることができました。

そして、地道な努力を繰り返していった結果、番組自体の視聴率や反響も大きくなっていき、『がっちりマンデー!!』に名前を変え、手応えを感じるようになっていきました。

特に、バラエティだからと断られていたのが、自ら出演したいという声をいただく会社も増えていき、取材先でも「番組を見ているよ」とか「他に無い番組だよね」という嬉しい反響をいただくことが増えていったんです。

初めての取り組みであるが故の難しさを感じながらも、自ら考えだしたものが形になり、人に受け入れられるのは、これまで以上にやりがいを感じましたね。
特に、様々な業界・会社に触れながら自分の好奇心を満たして、しかも視聴者からも喜んでいただけるということが、本当に向いている仕事だなと感じます。

だからこそ、これからもなるべくディレクターの仕事を続けたいなという気持ちがあります。やりたいと思ったことをして反響をもらえる今の状況は運が良いのかもしれませんが、それをなるべく続けていけるようにしたいと思うんです。

そのためにも、今の番組を含め、携わる番組をヒットに導くスペシャリストになっていきたいですね。

また、その他には、これからの時代に合わせて、TVをもっと面白くする取り組みを考えていきたいという気持ちもあります。実際に、TVを題材にしたハッカソン(プログラマーたちが技術とアイデアを競い合う開発イベント)も実施しており、色々なベンチャー企業と一緒に組んで企画を行っていくことにも積極的に取り組みたいと考えているんです。

そんな風に、これからも自分の好奇心を通じて人を楽しませるようなものづくりに携わっていければと思います。

2015.04.27

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