デザイン事務所から花屋に!
大切なのは、右脳と左脳の両立でした。

「グリーンと共存するライフスタイル。育つインテリア。」というコンセプトのもと、草木を用いた空間デザインを提案する城本さん。デザイン事務所から花屋に転職し、デザインの本質に触れるキッカケとなったのは、意外な人物との出逢いでした。

城本 栄治

しろもと えいじ|パークデザイナー
青山フラワーマーケットを展開する株式会社パークコーポレーションにて、
草木を用いた空間デザインを提案する「parkERs」のブランドクリエイター/チーフデザイナーを務める。

parkERs
株式会社パークコーポレーション

動物に関わる仕事に就こう


小さい頃から、人と違うことをするのが好きでした。

家の中で法被(はっぴ)を来て過ごしたり、
親戚の帽子屋に頼んで地元カープの帽子を、ベージュ色で作ってもらったり、
人と違うことをするのに、ワクワクを感じていましたね。

漫画を描いたりキャラクターを作ったりすることに明け暮れて、
将来のことは、なんとなくしか考えていなかった気がします。

中高と進む中で、進路を考える機会も多くなって来たのですが、
生まれ育った地元は自然に囲まれた田舎町で、あまりイメージできる仕事は多くなかったんですよね。
元々動物が好きだったこともあり、漠然と動物に関わる仕事に就こうかなと考えていました。

その中でも、最初は「アルプスの少女ハイジ」のペーターのような生活に憧れ、
酪農家になろうと思ったんですよね。
ところが、公務員として農業に関わる親から、酪農の厳しさを説かれ、辞めてしまいました。

結局、動物に関わる医療の方面に進もうと、自分の進路を決めたのは中学から高校に掛けてだった気がします。
大学に進学し、動物の医療に関わる勉強をしようと考えていましたね。

高校卒業後、大学受験のために浪人をすることに決めたんです。

選ばないと後悔する


元々東京への憧れがありましたが、浪人生になってからは時間ができ、
雑誌やテレビに触れる機会が多くなったこともあり、一層関心が強くなっていきました。

特に、深夜のカルチャー系の情報発信の番組で見るファッションや音楽がとにかくかっこ良かったんですよね。
音楽や映画、ファッションを中心に、カルチャーやアートにのめり込んでいく自分がいました。
勉強のストレス発散に、自分の部屋のディスプレイに没頭していたこともありましたね。

そんな浪人生活を過ごす中で、ある時、ふとこのまま動物に関わる医療を学んでいくことが本当にいいのかどうか、
迷ってしまったんです。
進もうと思っている分野について、予備校の生物担当の先生に詳しい話を聞いてみたり、
自分でも調べてみる中で、

「これ面白いのかな?」

と思ってしまったんですよ。

考えてみれば、自分でも何がしたいのかよくわからない時期に描いた夢だったこともあり、
色々見ていく中で、自分はカルチャーやアートの方面のほうが向いているんじゃないか、
という気持ちが出て来たんです。

既に予備校に通っていたこともあり、もともと選んだ道を進むべきか、新しい関心をとるべきか悩みました。
でも、最終的には、

「ここで自分のやりたいことを選ばないと後悔する」

と思ったんです。
人生で初めての気持ちでした。

そして、僕はアートの道に進むことに決めました。

気持ちを決めてからは、自分の関心に近いものは何だろうと考え、
東京のインテリアアートを学べる専門学校に進学することに決めたんです。

線の向こう側


専門学校は自分の性格がすごく生きる環境でした。

「人と違うものを創らないと意味が無い」という気持ちで、
とにかくこだわって作品を創っていましたね。
こだわりすぎて期限に間に合わないこともしばしばありました。(笑)

学校を卒業してからは、キネティックアートと呼ばれるジャンルのアーティストのアシスタントを務めた後、
インテリアの設計・施行を扱う会社に転職しました。

ずっとインテリアに携わりたいと思っていたのですが、
27歳で業界未経験ということもあり、転職活動時は簡単に進みませんでした。
そんな中、施工を含む現場の業務をやるならOKという条件を提示してもらえたのがその事務所だったんです。

いわゆるスーパーブランドも扱う、感度の高い会社で、
最初のうちは一緒に仕事をする方のこだわりに、すごく感動しましたね。

ところが、段々とそういったブランドの人たちとの差を感じるようになったんです。

言わば私たちは、「発想する人の手伝いをする側」だったんですよね。
もっとデザインよりの仕事をしたいという思いがありましたし、
なんだか「線の向こう側」に自分が欲しいものがあるような気がしていました。

そんなもやもやを抱えていた時に、青山フラワーマーケットの社長に出会いました。
仕事を通じて面識を持ったのですが、とにかくパワフルな人だな、というのが第一印象で、
「これがベンチャー企業の社長か」と感じたのを覚えています。

ある時、そんな社長から、「うちに来いよ」と、デザイナーとして花屋を創ることを誘われたんです。

正直、花屋はよく分からなかったのですが、
クリエイターしかいない業界で、クリエーションだけするよりも、
経営者とビジネスを通じて働くのはプラスになるんじゃないかと思ったんです。

業界自体が、まだまだこれからデザインされていく業界ということもあり、
そこでの経験が自分のオリジナリティにつながるんじゃないかという気持ちもありました。

そうやって、私はデザイン事務所を辞め、花屋で働くことを決めました。

社長を師匠にするべき


「カッコいいものは誰でもできる、お客さんの半歩先を創れ」

それが、入社後、社長に言われたことでした。
主に店舗の設計に携わったのですが、最初のうちは自分の中で迷いがありました。
クリエイターとして突き抜けたいのに、半歩先の店をたくさん創るのは、
なんだか違うんじゃないかという気がしたんですよね。

ところが、ある大御所のデザイナーの方とお話する機会があり、自分の悩みを話してみたところ、

「社長を師匠にするべき」

と言われたんです。

カッコよさだけを見たクリエーションを抑え目にし、お客様の立場に立ったデザインを考えることで、
デザイン本来の役割を学ぶすごく貴重な機会をもらっていたことに、そこで気付いたんですよ。

なんだか、その言葉をもらってから、自分の仕事の本質が腑に落ちた気がしました。
今の環境で努力するという方向性が間違っていないと思えたんですよね。

最初は自社店舗のデザインのみを行っていたのですが、
ある時、社内でテスト的に実施していた、空間に草木などのグリーンを取り込む設計を、
「うちでもやりたい」という会社が現れるようになりました。

グリーンは花と違い維持するのが難しいため、独自の強みにもなるのではないかと思い、
社外の空間設計の提案も始めたところ、空港や大型の商業施設での導入が決まるまでに至ったんです。

次第に、事業にしたほうがいいんじゃないかという声が上がり、
独立した事業として展開することが決まりました。

右脳と左脳の両軸を使うデザイン


それでも、立ち上げ当初は営業の進捗が思わしくなく、渋い反応が続きました。
あまり興味が無かった人に興味を持たせ、ニーズを喚起するのは、簡単なことではありませんでした。

そんな中、歯車が噛み合うキッカケとなったのは、「売れ筋」と「見せ筋」という、二つの視点の両立でした。

それまではどう買ってもらうかの細部の設計という意味での「売れ筋」に特化していたのですが、
それだけでなく、自分たちの思想やコンセプトを形にした「見せ筋」にも力を入れ、
クリエーションに振り切った店舗を創ったんです。
みんなが見たことが無い、インパクトが大きい空間でした。

その両立を考えるようになってから、少しずつ事業が軌道に乗ってきました。  

言い換えれば、「右脳と左脳の両軸を使うデザイン」が求められていたんですよ。

前職で感じた「線の向こう側」、社長から言われた「お客さんの半歩先」、
全てのことが重なっていくような感覚でした。

今はまだ、多くの方に使ってもらうための方法を模索している段階ですが、
ゆくゆくは日本だけでなく、世界にも展開していきたいと考えています。

あとは、スタッフともよく話しているのですが、宇宙にもグリーンが広がっていくことを考えると、
それは自分たちが展開していけるといいなと考えています。

「グリーンにニーズをもたせる」という私たちの活動の先に、
必要最低限のものとしてグリーンが入り、宇宙にまでつながっていくのも、夢じゃないと思うんですよね。

人と違うことにワクワクするので、今はそんなことを思い描いていますね。

2014.05.09

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