「一緒に」世界を変える!
未経験から飛び込み、掴んだ天職

ベンチャー企業に投資を行い、会社を成長に導いていく「ベンチャーキャピタリスト」を天職だと話す竹川さん。チームの中に入り、伴走者として社会を変える挑戦を行っています。決して平坦ではない道の先に見た、投資家としての苦悩とやりがいを伺いました。

竹川 祐也

たけがわ ゆうや|ベンチャーキャピタリスト
「アジアにおける次世代のインターネットビジネスに最も大きなインパクトを与えるベンチャーキャピタルを創る」というミッションのもと、
サイバーエージェント・ベンチャーズにて、ベンチャーキャピタリストを務める。

サイバーエージェント・ベンチャーズ
プロフィール

やりたいことをやらないと損


小さい頃から「自分で考えて決めること」の大切さを教わって育ちました。小学校のときは6年間剣道をしていたのですが、中学校では野球をやりたいと思い、かつ自分でも努力次第で試合に出て活躍できそうな野球部に入ろうという理由で、地元の国立大学の附属中学校を受験しました。塾にも入らず、自分で勉強をしていましたね。

中学校の入学式前日、父親から、「もう大人だから、全部好きにやっていい、でも責任はとれ」と言われたのを覚えています。そんな影響もあってか、中学校までの自由で楽しく結果も出ていた野球部から、高校の堅苦しい野球部に入ったとき、夏には退部してしまいました。ここに3年間も費やすのはもったいないなと感じたんです。

自分で責任をとるなら、やりたいことをやらないと損だと思っていましたね。中学高校は、黙っていると周りから怖がられ、あまり友達も多くなかった気がします。ある日、今日は誰も話しかけてこないなと思っていたら、「あいつは今日不機嫌らしい」と噂されていたということもありました。(笑)自分でも、あまりコミュニケーションが得意だとは思っていませんでしたね。

それが少し変わり始めたのは、大学でスキークラブに入ってからでした。最初は、同じ高校出身の同級生について行き、新歓の飲み会に参加したのですが、なんだか人間味があり面白い人たちだなと思い、惹かれていきました。スキーなんてまったく興味もなかったのですが、人に惹かれてそのクラブに入ることに決めたんですよね。

結果として大学生活のほとんどの時間はスキークラブに費やしました。300人規模の大会の実行委員長を務め、触れ合う人の幅もぐっと広がりました。そして熱中した結果かどうかわかりませんが、6年間も大学にいたんですよね。

ベンチャー企業への関心


6年間も大学にいると、最後の2年くらいは同期がみんな社会人になり、仕事に慣れて、活躍し、段々自信をつけてくるのがわかるんですよね。まだ学生だった自分は、置いていかれている感というか、少し焦りを感じ始めるようになりました。

そんな背景もあり、就職活動では、短期間でのし上がれるような環境を探しました。乱暴に聞こえるかもしれないですが、「鶏口牛後」的な発想で、自分がトップになれる職場を探しましたね。

もともと学生時代に投資信託を買ったり、金融に興味を持っていたこともあり、僕が選んだのは証券会社でした。そこでは経営者や医者を相手としたリテール営業に従事し、最初のころは1日300件のテレアポを繰り返す毎日でした。業界の有名企業でないこともあり、逆に営業力が磨かれましたね。

当時はちょうどベンチャー企業の上場等も活性化してきた頃で、まだあまりベンチャー銘柄は深く分析されてなかったんですよね。そこで、株価の変化率の高いベンチャー銘柄を分析したうえで敢えて提案することで、他社との差別化を図れるんじゃないかと思っていたんです。

そんな経緯からベンチャー企業へ銘柄として関心を持ち始めたのですが、段々と、自分自身がそんな環境で働いてみたいと思い始めたんですよね。ある程度結果が出始めたころ、このまま株式の営業を続けたいとは思えず、もっと先の読めないベンチャー企業で力を試したいと思い、中堅の人材紹介会社への転職を経て、新たに人材紹介事業を立ち上げるベンチャー企業の立ち上げに、メンバーとして参画することに決めました。関心をもっていたベンチャーの創業時期に携わることになったんです。

「天職」だと感じました


人材ベンチャーに入ってからは、人材紹介ビジネスに関わる業務に広く携わり、ベンチャー企業の採用支援も行っていました。ある時、スキルがあってチャレンジ精神も旺盛な求職者の母集団を増やすため、彼らが興味を持つような稀有な案件を集めようということで、ベンチャーキャピタルと協業しよう思い立ち、自ら営業をしたことがありました。

投資先の幹部候補の求人情報、CFOやCTOといったポジションをもらうようにしていたんです。そして、この試みがうまくいく過程で、私自身がベンチャーキャピタルの仕事に興味を持つようになったんですよね。

そもそも、ベンチャー企業の、大きな課題にチャレンジして世の中を変え、世の中の役に立っていくという姿勢が好きでしたし、個人としても頑張っている経営者の応援をすることに、すごく喜びを感じたんです。

ただ、当時携わっていた人材紹介のビジネスだと、求職者がベンチャー企業に入ったらビジネスの関係は終わりで、その後その方が活躍しようが辞めようが、企業の成長が加速しようが止まってしまおうが、自分たちの仕事に大きな影響がないという点に、もどかしさを感じていました。同じベンチャー企業を支援するにしても、株を保有して長い期間一緒に会社を盛り上げていける投資家というのは、やりがいのある仕事だろうなと思ったんですよね。

そんな風に思い立ってから、ベンチャーキャピタリストになるために行動をし始めたのですが、周りからは、「未経験だから無理だよ」と言われ続けました。それでも諦めきれず、何とかならないかと伝手を探していたところ、知人の紹介で、証券会社の投資部門で、未経験でも働かせてもらえる会社に巡り会うことができたんです。

晴れて入社してからは、とにかく足を使って、ベンチャー企業の社長とのネットワークを作って回りました。毎日ハードに働きましたが、本当に楽しかったです。会う人が皆前向きで、その人たちが世の中を変えていく応援ができるのが、すごくいいなと感しました。社会貢献を間接的にしている感覚もあります。初めて投資ができた時には、「天職」だと感じましたよ。

そのときは、なんだか、ようやく投資家の仲間入りができたような感じがして、嬉しかったですね。

教科書通りにはいかない


その後も精力的に活動を続け、ついに初めて支援先の上場を見届ける機会を頂きました。ところが、その頃にはまた別のもどかしさを感じていたんです。

投資家としてベンチャー支援に携わっているものの、やっぱりまだ「外の人」という感覚があったんですよ。どうしたら起業家との距離を埋められるだろうと考えた時、自分自身が企業内で上場に関わり、成功体験を積むことが必要なんじゃないかと思ったんです。

僕は、投資家として、より支援の幅を広げるため、ベンチャー企業にCFOとして転職することに決めました。

転職先では、上場に携わることを一つの目的とし、経営企画や経営管理に携わっていたのですが、資金調達も完了し、上場準備も本格化しようとしていた、ちょうどそのタイミングで、リーマンショックが起き、根幹事業が打撃を受けてしまったんです。

そこからは苦しい時期が続きました。ともに戦うはずの幹部社員の離脱や、業績悪化に伴うリストラを行った責任を取り、自ら降格したり、会社の売却交渉をしたりと、教科書通りにはいかない、それこそベンチャーという大きなうねりの中で、必死に拠り所を探し、自分ができることに取り組み続けました。

会社の売却後1年後には社長に任命され、伸び悩む既存事業を補うため、新規事業に注力した経営を行っていました。ところが、2年で結果は出ず、最終的には親会社の判断で、会社を吸収されることになってしまったんです。そして、私は責任を取り、辞めることになりました。

この時点で入社した時の役員は誰もいなくなっていました。最後の最後までクビにならない限り辞めない、と半ば意地で戦っていました。一生懸命頑張っている社員を置いて自分だけ逃げるようでは、どこに行ってもこの先通用しないと思ったんです。覚悟をもって取り組んだ挑戦が終わりました。

死ぬまでずっと投資家でありたい


その後はもう一度、他のベンチャー企業で上場を目指そうと転職活動をしていました。そんな折、現職の社長・田島から声をかけてもらったんです。

前職のベンチャーキャピタルでは、ある程度成長した後の企業に投資していたので、サイバーエージェント・ベンチャーズのように、立ち上げて日が浅いベンチャーと、一緒に会社を創っていく投資の仕方に、だんだんと惹かれていきました。そして、もう一度ゼロから投資の世界でチャレンジすることに、腹を決めました。

ベンチャーと伴走するような投資という、自分のやりたいことに挑戦できる環境があることを今は幸せに感じます。また、自分が感じていた、投資先との距離感の正体は、実は「成功体験」ではなく「失敗体験」なんじゃないかと思うようになったんですよね。同じような失敗をしたことがある人にこそ、言える本音があると思うんです。

自ら選んだ苦しい経験は、大きな糧になった気がします。これからも、投資家だけでなく、起業家、ユーザーの目線を行き来しながら、会社を成長に導けるように全力を尽くしたいですね。

そして、できることなら死ぬまでずっと投資家でありたいと思っています。自分がどれだけ世の中にインパクトを与えられたかを思い出し、ほくそ笑みながら死んでいきたいですね。

2014.05.03

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