世界一周した後に、何をしますか?

「笑顔」「旅」「夢」「つながり」をテーマに、高円寺でカフェバーを経営する吉田さん。 どんなこだわりをもつお店なのか、その背景にどんなストーリーがあるのかを聞いてみました。

吉田 有希

よしだ ゆき|カフェバー経営
高円寺にてカフェバー“Smile Earth”を経営。
シェアハウスやフェス開催等も行う。
Smile Earthブログ
Smile Earth Facebookページ

旅は学生の娯楽


バイトとパチンコしかしていなかった学生時代、初めて海外旅行に行きました。
それまでは全く興味もなかったし、英語もしゃべれなかったけど、
当時の衝撃は今でも覚えています。
初めて行ったのはタイだったのですが、まず空港を降りた時の「空気のにおい」が違う、
みんな外国人、向こうにもファミマがある、何を見ても新鮮でした。

とはいえ、旅行は学生の長期休暇の娯楽。
学年が上がるにつれて、周りと同じように「就職しないとな」と考えだしました。
大学は機械工学科だったので、車・バイク関連に進む人が多かったのですが、
自分は人と触れ合う仕事がよくて、大手商社の営業職に就職しました。
当時はその会社で一生働くと思っていましたね。

その会社は成果にとても厳しいところで、「売れないなら死ね!」という雰囲気で、
辞める人も多かったですが、
上司との関係が良好だったこと、仕事で成果を出し自信がついたことから、社会人生活は楽しかったです。

誰も後悔しない経験


「世界一周がしたい」

彼女がそう言い出したのは、入社三年目、25歳のある日でした。

「帰ってきてどうすんの?お金もないよ?」と、一旦は断ったものの、
ちょうど旅の本を読んだり、友人でも世界一周に行く人が現れたりしたこともあり、
なんとなく、世界一周をしている人のブログを見るようになりました。

最初は興味本位だったのですが、皆すごく楽しそうだし、
なにより、「誰も行った事に後悔をしていない」ということがとても印象的でした。

そして、ふと気付いた頃には、
もう、世界一周の旅に出ることを決めている自分がいました。

今考えると、当時の仕事のライフスタイルにモヤモヤしていたのも、
理由の一つだったのかもしれません。
みんな仕事はできるけど、土日は疲れて、パチンコかストレス解消飲み会ばかり。
結婚していない人も多かったです。
10年後、同じライフスタイルになるのは嫌だ、という気持ちが漠然とありました。
そうして、自分の気持ちは固まり、
いざ退職の話を切り出すため、当時の上司に時間をもらいました。
正直、自分の想いを語っている最中は、止められるのも承知の上でした。

ところが、そんな私に返ってきたのは

「そんだけ言われたら、止めても無駄だろ」

という言葉でした。
ありがたいことに、最後は胴上げまでしてもらい、
サラリーマンから、世界一周に旅立ちました。

日本と真逆の村で得た気づき


世界一周には「世界中の笑顔に出会う旅」というテーマを作り、
自分たちでつくったTシャツの売上で、世界各地で必要なものに寄付して回りました。
カンボジアの学校にトイレを作ったり、タンザニアの学校に黒板を、ウガンダでは学校の壁を塗り替えを行いました。

その中でも、ある貧しい村に訪れた体験が特に印象に残っています。
そこは、誰か結婚するときに村全体でお祝いをするような、
ファミリーみたいなつながりをもつ、素敵な村でした。

もっと長く居たいという思いとは裏腹に、
滞在最終日を迎えた私たちに、ある村人が声をかけてくれました。

「お前らもファミリーだからいつでも帰ってこい」

訪れて日も浅い自分たちに、そんな言葉をもらえた事は、本当に嬉しかったです。
貧しいと言われる地域で、単純な暮らしでしたが、みんな幸せそうでした。

そして、それはまるで日本と真逆のようでした。
お金はあるけど、うつ病や自殺が起こる日本。
コミュニケーションをとらなくても生きていける環境で、
横に誰が住んでいるかも知らない。
つながりが豊かさを生む村での経験で、日本のそんな部分に悲しさを感じました。

その経験から、日本にもファミリーのような横のつながりが生まれる場所を作ろうと考え始めたんですよね。
昔はきっと、より強いつながりがあったのだから、出来ないはずがないと思いました。
「帰って日本でカフェバーを作る」、漠然と思っていた事を、本気で考えだすキッカケでした。

やりたかったことが少しずつ実現してきた


帰ってきてからは、準備に大忙しでした。
そして、資金準備や物件探しを終え、
旅から帰った一年後、高円寺を舞台に、“Smile Earth”というカフェバーをオープンしました。

飲み物や食べ物自体ももちろんこだわりますが、
見知らぬ人とのつながりを生むために、カウンターにはとてもこだわりを持っています。
知らない人同士が何気ない会話でつながり、店全体がにぎやかになっていく。
少しずつですが、自分がやりたかった事が、この場所で実現し始めています。

また、色々な人の声を集めて形にしていくうちに、
カフェバー以外の形でつながりを生むことも増えてきました。
今ではシェアハウスの運営や、フェスの開催も行っています。

旅をしていた頃よりもどんどん視野が広がり、やりたい事がどんどん増えてきてるんです。
旅で得たものをどう形にしていくか、すごく楽しみですね。

2014.02.17

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