弟子入り・ノマドからブランド設立、
「本物」を目指す生き方。

「オーダーメイドファッション」を提供するサービス“LaFabrics(ラファブリックス)”を運営する森さん。単なる衣服の販売でなく、ライフスタイルの提案につながるサービスというテーマにて事業を拡大しています。クリエイターへの憧れという原点から、群れを離れて一人歩んだ道筋とは、どんなものだったのでしょうか?

森 雄一郎

もり ゆういちろう|ライフスタイルデザイン
オーダーメイドファッションのサービス、“LaFabrics(ラファブリックス)”を運営する
株式会社ライフスタイルデザインの代表取締役を務める。

LaFabrics(ラファブリックス)
株式会社ライフスタイルデザイン

人を動かすものへの憧れ


学生時代は、音楽・ファッション・映画に没頭していました。

大学に入りたての10代後半に、友達からの紹介でUKのロックを聴き始めました。
ポップスも聴いていたのですが、自分の心に響いた音楽は、全て海外の若いロックバンドだったんです。

「人を動かすものって、こういうものなんだ」

と強烈に感じたのを覚えています。

そのままロックバンドのファッションにも関心を持ち始め、
授業に行かず、自分の好きなことにのめり込んでいきました。

内向的で、一人でいるのが好きなこともあり、あまり友達は多くなかったですし、
よくぼーっと考え事をしていましたね。

多くの作品に触れる中で、途中から「本物」に触れることに意味があると考えるようになり、
関心を持った分野の一流と言われるものをなるべく自ら感じられるよう、足を運ぶようになりました。

20歳の時に単身パリコレの会場に向かい、インビテーションがないので裏口から覗くということを、
2週間ずっと続けたこともありました。
最終的には警備員に怒られ、追い出されましたが。(笑)

そんな生活をしていたこともあり、自然とクリエイターに尊敬の念を抱くようになりました。
むしろ、何か世の中の人を動かすものを自分で創りださないと、
彼らのようなエキサイティングな生活はできないのではないか?とすら思うようになったんですよね。

華やかな世界の、光と陰


大学三年になり、周囲が急に就職活動を始めてからも、僕はサイトの登録すらしませんでした。

音楽やファッション、映画など、自分の興味があることに関わり、何かを創りだす人間になりたいという気持ちは決まっており、
上京して「本物」の元で学ぼうと思っていたんですよね。

当時読んでいた雑誌の注釈を追って、ファッション業界で有名なクリエイティブディレクターのもとに、
弟子入りさせてもらったんです。

いわゆる「師事」のため、無給で雑用や鞄持ちをしていました。
早朝からカフェで働き、師事先の仕事が終わったら夜もバイト、休日は日雇い派遣という日々でした。
地方の大学で過ごしていたこともあり、なにもかも新鮮で学ぶことはとても多かったです。

初めて足を踏み入れる業界に感動し、華やかな世界でたくさんの貴重な経験をさせてもらいましたが、
一方で、業界の古い体質には、違和感を持つようにもなりました。
新陳代謝がない環境だったこともあり、自分の20代をこの環境で費やすことに、
もったいなさを感じるようになったんです。

また、実際にクリエイターに混じって現場で仕事をしていくなかで、
自分が望む生き方のためには、自らプロダクトを創らなければという気持ちは、
確信に変わりました。

何かを創りだしたいけど、未だ自分には力がない、そんな思いがありました。

本当にやりたいことじゃない


そんな時、バイト先で出会った人から「ソーシャルアパートメント」の話を聞きました。
話を聞くうちにその面白さに引き込まれ、これだと思いましたね。

若い社長を含めた社員が4人しかいないような環境だったこともあり、
自分で独立するために学べるものがたくさんあると思い、一緒に働かせてもらうことに決めたんです。

一年半師事したファッション業界を離れ、成長著しいベンチャーに入ることに決めました。
セールスやマーケティングなどビジネスの基礎を学び、
拡大も縮小も含めた紆余曲折を目の当たりにしたことで、精神的にもタフになりましたね。
会社は伸びているし、仕事は面白いしで、2ヶ月程度働いて独立する予定が、
結局2年間働くことになりました。

ただ、25歳になったタイミングで、節目ということもあり、
独立のためという本来の目的を意識し直し、危機感を抱いたんですよね。
半ば勢いで独立することに決めました。

独立したばかりの頃はビジネスのアイデアがなかったので、
受託業務をしながら思いついた事業を新しく実施していったのですが、
どれもあまりうまく行かなかったんです。
唯一、iphoneケースの輸入販売だけがそこそこうまくいったので、
当時流行っていたノマドになろうと、海外に半年間旅行をしながら仕事をしていましたね。

旅をしながら働くのは楽しかったのですが、なんだか心に違和感がありました。
気付けば、自分が原点としてた「人を動かすプロダクト創り」ということを忘れていたんですよ。
自分が本当にやりたいことじゃなかったんです。

体力があって多感な20代だからこそ、
「自分が本当にやりたかったことに全力を費やすべきだ」と覚悟を決めたのはこの頃です。

次は自分の番


そんな折、起業家の中でも尊敬していた山田進太郎さんが新しい会社を設立するというtweetが流れてきました。
考える間もなくすぐリプライ(返信)しましたね。
経営者として次元が違う人から、とにかく学びたいと思ったんです。

自分の想いを伝え、全ての事業を止めて、フリマアプリ「メルカリ」を創るチームに参加させてもらうことになりました。
ここでもまた、「本物」に触れる機会を頂いたんです。

「プロダクトへのこだわりが物凄い」というのが、一緒に働いた正直な感想でした。
多くの人が使うサービス作りの背景にある、一切妥協しない姿勢を学べたのは、本当に貴重な経験でした。

半年だけ手伝うという前提でスタートし、少しだけ伸びて7ヶ月間働いた後、
サービスは順調に拡大をし、次は自分がチャレンジする番でした。

勢いで独立した前回とは異なり、事業の手伝いをさせていただく中で、
「オーダーメイドファッションのサービス」というサービスの構想があったんです。
昔からファッションは好きだったものの、身長が185cmということもあり、
既製品ではサイズが合わないことがほとんどでした。
自分自身、半ば諦めていたのですが、あるとき同じような体型の知り合いが、
すごくカッコいいシャツを着ていたんです。

話を聞いてみると、オーダーメイドで作ったものでした。
それまで、オーダーメイドは考えたことがなかったけれど、自分でもオーダーしてみると意外と手が届きやすい価格だと知り、
何より、自分と同じ悩みを抱えている人がたくさんいるんじゃないかと思ったんですよ。 
今度こそ、自分がやりたいことを掴んだ気がしました。
プロダクトを通じて、ただのファッションじゃなく、ライフスタイルの提案を出来ると思ったんです。

恩返しがしたい


サービスを始めて日は浅いですが、やってよかったとすでに感じ始めています。

名刺交換をしてサービスの話をすると、サイズで悩んでいるという話をしていただける方がたくさんいたんですよ。
多くの人に応援してもらえているんです。

今はスーツとシャツだけですが、カジュアル含め、「トータルコーディネート」を、
オーダーメイドで注文できるようなサービスにしていきたいと思っています。
海外への展開も含め、多くの人に使ってもらえるよう、広げていきます。

個人的な思いとしては、最終的に、お世話になった人に恩返しがしたいんですよ。
僕は周りの起業家に比べたら、出来が良くないと思います。
人に導かれ、支えられた人生だと思うんです。
だからこそ、まずは自分が成功することで、恩返しができる立場になりたいです。

そして、自分も同じように次の世代に惜しみなく伝えて生きたいと思っています。
アドバイザーでもメンターでもなんでもいいのですが、エンジェル投資家のような存在なり、
いつかは若い人を支援したいと思います。

自分にとっての「本物」はそんなイメージなのかもしれません。

2014.04.21

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