食に関わる仕事を選んだ7人の人生まとめ

人が生活する上で欠かせない「食」。身近なテーマですし、食料自給率や食の持続可能性に関する問題を目にする機会も多いので、この分野の仕事に関わりたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、食といっても、普段の食事から、食の流通、農業や水産業などの生産など、挑戦できる分野は様々です。自分が感心のある分野に、どうしたらたどり着けるのか?その参考にするため、食のテーマで挑戦を続ける7人のライフストーリーをご紹介します。



購読者は、もともと食に対する意識が高くて食事にこだわる余裕がある人たちがほとんどでした。そういう人たちを対象にしていくことも、とても意義があることだと思いましたが、たまにジレンマを感じることもありました。食に対して関心が薄い人や、興味があっても忙しくて健康的な食事ができていない人にも、もっと食の大切さを伝え、日々の食事を楽しめるきっかけをつくりたいと思ったんです。それを実現するためにどんな方法が一番良いのか、考えるようになりました。

菅本香菜さんのインタビュー全文はこちら




自然環境の影響が小さいなら、原因は乱獲などの人間活動。漁業者が魚を取りすぎてしまうことが資源量の減少を招いていると考えています。

乱獲に対して、先輩の研究者の方は、水産業自体の仕組みを変えなければならないと話していました。むしろ、仕組みを変えようとしないことが問題だと。他国では、資源量が右肩下がりで落ちていたところから、ルールを作る機関がしっかりと舵取りをして、持ち直した事例がたくさんあるんです。その話を聞き、産業構造自体を変える必要があるのかもしれないと思いましたね。

日本の水産業のために何かしたい。一方で、研究をしていると、どうしても論文を書くことが求められます。論文を書くことだけが、僕が水産業に貢献できる唯一のアプローチなのか。産業全体を俯瞰して見た時、疑問が湧きました。

周りの研究者は、僕なんかよりずっと優秀で、その人たちよりインパクトがある研究をできるのかも分かりません。それなら、自分にしかできない方法で、純粋に水産業のためになる取り組みをしたい。そんな気持ちが強くなりました。

銭本 慧さんのインタビュー全文はこちら





やっぱり人が自然をコントロールするのは、無理があると思ったんです。そんな思いを抱きながら旅を続けていくなかで、人と自然とのあり方を決定付けるのは農業だと改めて考えたり、初めてスーパーで野菜を買った時の驚きが思い出されて、農業のあり方を問い直すような仕事、環境への負荷が少ない農業が広がっていくような仕事をやろうと思ったんです。

小野さんのインタビュー全文はこちら




しかし、仕事を始めて4年目、26歳の誕生日の時に、これからの自分の人生を考えて、方向転換をすることに決めました。30歳になるまでに残り4年。30歳までには自分の軸を確立し、なにかやりきった感覚が欲しかったんです。そして、やはり私は「社会貢献を仕事にしたい」と考えて、色々な人に会ったり本を読んでいく中で、「TABLE FOR TWO」というNPO団体で働きたいと思うようになりました。

TABLE FOR TWOは、社員食堂やレストランで少し健康的なメニューを選ぶと、20円が寄付され、開発途上国で1人分の給食が提供されるという仕組みで、先進国の肥満と開発途上国の貧困の問題を一緒に解決できるものなんです。「自分のために楽しみながら何かをすることが、他の人の支援になる」というのが、私の考え方とシンクロしたんですよね。

張さんのインタビュー全文はこちら




そこで気づいたのが、持続可能な漁業をつくるためには、海の生態系だけでなく、漁師たちの生活や環境を持続可能なものにすることも重要だということでした。漁師って、腕一本で自然に向き合って生きていて、非常に素朴で自分の腕に対するプライドを強く持っている人たちです。その多くは海を、魚をすごく大事にしていて、親から子につながっていく自分たちの生活にも誇りを持っています。しかし、そういう人たちが「もうこのままだと自分の次の代はない」と言うんです。

それはなぜかといえば、漁業が儲からないからです。生活ができない状況で後を継ぐ人なんていない。今の日本の漁業の仕組みでは、代々続いてきた漁師の暮らしも持続させていくことができないのです。

漁業が持続可能であるためには、産業の土台である海の生態系が健全であることはもちろん大事ですが、同時にそこで働く人たちの生活や地域を持続可能なものにすることも大切。そのことに現場の人達と接して強く感じるようになりました。

勝川 俊雄さんのインタビュー全文はこちら




まずは、農家や養豚場、食品加工場などに足を運び、実際に何が行われているのか自分の目で見ることにしました。有機野菜と一口に言っても、土のつくり方によって、味も品質も大きく変わること。微生物や昆虫と共生して美味しい作物を育てる方法があることなど、様々学びつつ、「あるべき食」とは何か、少しずつ見えてきました。

また、特に働いている人に、栄養価があり美味しいものを食べてもらいたいと考えるようになりました。子ども向けの食育は盛んになりつつありますが、大人向けには正しい知識を学ぶ場も少ない。そこで、まずは家族の要である働く人の食と健康から改善したいと思ったんです。

矢津田 智子さんのインタビュー全文はこちら




卸し先で会社の方と漁業の現状について話をする中で、魚の相場を上げるためにも今の漁のやり方を変えていかなければと思うようになりました。今のやり方は、大きな魚から売れない小さなサイズの魚まで獲れるだけ獲って、その日の内に全て売る方法でした。これだと、獲れる全体量が多いため、本来高い値がつく大きな魚に適切な値がつかず、魚全体の価格が下がるんです。しかも、もっと悪いことに、小さいうちに獲るので魚が育たず、卵を産めないため、魚の全体量が減ってしまうのです。魚がしっかり大きくなってから必要な量だけを獲れるよう、規制を導入する必要があると思いました。

それを周りの漁師に説明しても、せっかく獲れた魚をその日に売らないのは勿体ないと、聞く耳を持ってくれませんでした。漁師も、このままでは魚が減るという現状はわかっているのですが、生活がかかっているので一日の売り上げの方が大事なんです。そこで、岡山県の水産課と相談して、試験的に獲る量を管理しながら漁を行い、市場の相場や水揚げ量のデータを取って検証することにしました。

藤井 和平さんのインタビュー全文はこちら



2014.10.03