福岡県北九州市で、4人兄弟の長女として生まれました。小さい頃から、母に「人にされて嫌なことは、絶対にしちゃいけない」と教えられて育ちました。人懐っこい子どもでしたが、母の教えをきちんと理解できていなくて、過剰に気を遣うようになりました。

幼稚園に入った頃から、自分の思ったことを口に出すと、相手を否定しているみたいに感じるようになりました。「相手に優しくしなきゃ」と思いすぎて、友達とどう接したらいいのか分かりません。小学校に入ってもそれは続いて、気を遣いすぎて友達とうまく付き合えませんでした。

学校外のキャンプや合宿などに参加すれば、普通にコミュニケーションを取れましたが、学校の友達付き合いはどうしてもうまくいきません。中学生になっても、状況は変わりませんでした。

クラスでも、入部したバレー部内でもいじめがあったので、余計に居心地が悪くなりました。直接ターゲットにされることはありませんでしたが、いじめている子の顔色を伺い、いじめられている子に何も言えない自分が嫌いでした。優しくも正しくもない自分に自信が持てないし、特に仲のいい友達もできない。居場所がわかりませんでした。

そんな調子で過ごしていた中学2年生の時、「ちょっと香菜、足太くなってきたんやない?」と言われたことがあったんです。それまでは「細いね」と言われることが多くて、痩せていることが数少ない自信でした。それなのに「太った」と言われたことがすごく衝撃でした。数少ない自信があるものを失ってはいけない。そう思い、ダイエットすることにしました。

毎日体重計に乗ると、体重が減るのが数字として目に見えてきます。自分の努力が結果に繋がっているとわかり、自信になりました。数字に固執するようになり、食べる量がどんどん減りました。そのうち食べることが怖くなって、気がついた時にはほとんど何も食べられませんでした。拒食症になっていたんです。

両親に食べるように言われても無理で、食卓を囲むのが嫌でたまりませんでした。学校には居場所がないし、家族にもただ迷惑をかけるだけ。自分の存在価値が見出せませんでした。

病院に連れていかれた時、158センチの身長に対し、体重は23キロ。いつ死んでもおかしくない状態と医者に言われ、入院することになりました。正直ほっとしました。これで学校に行かなくてもいいし、家にもいなくていい。入院できることが嬉しかったです。

4カ月間の入院生活で、無理やり食べさせられて、少しだけ体重が戻りました。ただ、拒食症は完治していなかったですし、退院して高校に進学してからも、人とうまく付き合えない状況は変わりませんでした。見た目はガリガリで周りから浮いていたし、自分から積極的に近づくこともできませんでした。

高校2年の時に拒食症がぶり返し、休学しました。心療内科に通いながら、ずっと自宅で休んでいました。食べたいのに食べられないのが苦しいし、食べることができても太る恐怖から、食べたことを後悔して苦しくなる。何をしても罪悪感があり、ずっと自分を責めていました。一生治る気がしなかったです。