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美容師の仕事の素敵さを伝えたい
現在、名古屋と表参道で、美容室「ミスエッセンス」を経営しています。経営を始めて、28年になります。今でも、サロンワークが活動の中心で、空いている時間にセミナー講師やヘアデザイナーとしての作品作りなどをしています。この歳になっても現場に出続け、かつ業界誌などで第一線でメッセージを発信している経営者は、美容業界の中では私くらいしか思いつきません。中々ありえないことだと思います。
私のカット理論は、ヴィダル・サスーンを土台に独自に進化させた、自己流の理論かもしれません。私の理論を学ぶことが、お客様の満足、美容師としての売上につながるという結果が出なければ、他の美容師に教える責任を果たせないと思います。理論的に正しいかどうかだけでなく、その技術がお客様に喜ばれているものなんだと、実証しないといけません。理論だけが先行してもダメ。結果につながる必要がある。カットの技術だけじゃないですから、美容師は。
美容師としての私の売上は、私の理論がお客様に喜んでもらえている実証だと考えています。だから、サロンワークを一生懸命やるんですよ。私の美容師としての売上は、いわば、私のカット理論の臨床データです。
私のこだわりは、「カットの技術」を身につけるだけでなく、「似合う技術」を身につけること。そのどちらも持つ人が、お客様に支持される一流だと考えています。髪を整えて「素材美」を追求するだけではなく、似合うヘアスタイルを提供して「造形美」を追求する。私たちの仕事は、カット技術の専門家ではなく、似合うスタイルを提案してお客様を綺麗にする専門家、ヘアデザイナーなんです。
だからこそ、オートクチュール(オーダーメイド)カットと呼ばれる、一人ひとりにあったヘアスタイルを提案します。プレタポルテ(既成品)じゃないんです。一人ひとり、顔の形も体型も違うので、その人に合ったスタイルを、トータルコーディネートとして提案します。
「丸みのあるシルエット」「頭蓋骨修正カット」「小顔に見える前髪」「ツヤカット」の4つの手法を軸にしています。いずれも私が独自に編み出したものですが、「骨格矯正カット」「小顔カット」という言葉は他の美容師の方からも、使われ始めていて、嬉しい限りです。
ある意味では、他の美容師の方は私の手法を真似しているのかもしれないですが、そんなこと言ったら、私の手法は全部サスーンの真似です。私のカットが周りに少しでも影響を与えて、髪を大切にしたり、カットだけで綺麗なラインを作るという美容の文化が広まればいいと思っています。
ここ数十年、美容業界では、カットで形を整えるのではなく、スタイリングで整えればいいという考え方が広がっています。ただ、いくら美容室で綺麗にスタイリングできても、お客様が家で再現できなければ、本当にお客様のためになっているとは思えません。カットだけで綺麗なラインを作っておけば、スタイリングはほとんど入りませんし、髪が伸びてきても形を保てます。カットで綺麗にする重要性を伝えていきたいです。
ここ数年は、海外でのセミナーなどにも力を入れています。2年前には、ロスで1000人規模のセミナーを依頼されました。大盛況で、終わる時にはスタンディングオベーションをもらいました。
海外での目標は、私の培ってきた技術と理論を、ニューヨークで認めてもらうことです。ニューヨークで認められることは、世界で認められることだと思います。日本の技術を、世界のトップでも使われる技術にしたいです。日本人と似た骨格を持つ東洋系の人種の人が欧米に多く住んでいます。東洋人に合う私のカット理論が役に立てる部分もあると思います。そのために、これからも研究を続けていきます。
また、ヘアデザイナーという仕事の素敵さを、多くの人に伝えたいという想いもあります。世間では、美容師の仕事に対してあまりいいイメージがないと思います。私も昔はいいイメージを持っていませんでしたし、美容室に入社する子の親から、「子どもが美容師になるのに反対していた」と手紙をもらうこともあります。
でも、美容師は本当に素敵な仕事なんです。お客様が今以上にハッピーな人生を過ごせるように、応援する仕事です。お客様から、ヘアスタイルひとつで、人生がまるっきり変わったと喜んでもらえます。努力した分だけ目の前でお客さんに喜んでもらえる仕事は、それほど多くはないと思います。
私は美容師の仕事の素敵さを、美容師になってからお客様に教えていただきました。お客様の人生を応援させていただけるありがたい仕事に就けて、感謝しております。だからこそ、美容師という職業がもっと正当に扱われるべきだと思っているので、大学に美容学科ができるべきだと、真剣に考えています。美容師=ヘアデザイナーという仕事の魅力を、多くの人に伝えていきたいです。
日本のカット技術を世界に届けること、ヘアデザイナーを憧れの職業にすること、大学に美容学科を作ることなど、目標はたくさんありますが、まだまだ実力が追いつきません。きっと、私は努力を続けないといけないタイプの人間なんです。でも、天才肌の人だって努力はしていますし、誰でも努力はするものなんです。天才肌の努力、秀才肌の努力もありますが、私がするのは努力肌の努力なんです。それが私の能力なんです。
がむしゃらに生きていると、天才や秀才が応援してくれるんですよね。映画化までされた著名な書籍を書いた作家さんや、がん治療の権威の先生、出版社の敏腕編集者の方など、様々な方が私を応援してくれています。お客様をはじめ、色々な人がご縁をつないでくれるんです。私は生かされているんだと、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
現在も、頂いたご縁から、美容業界向けと一般向けの、二冊の書籍を出すための準備をしています。一般向けの本は、私のこれまでの活動が、ひとつに繋がったような本です。ヘアカットに限らず、ファションやエステなど、トータルコーディネートでお客様を美しくするために目の前のことに努力してきました。目の前の努力が、書籍という形で多くの人に喜んでもらえる、集大成です。
個人では売上日本一だとも言われたりしますが、経営者としてはまだ一軍ではありません。私が28年も美容室をやってこれたのは、従業員のおかげです。従業員が未来に輝いていけるように、教育には力を入れ続けていきます。今は20名ほどの従業員を、100名ほどには増やせた時、スタッフが輝く会社になっていると考えています。
全ての人が、自分に似合うスタイルを手に入れられるように。ヘアデザイナーという仕事の素敵さを世の中に伝えていくために。これからも、努力し続けます。ファッショナブルに生きたいという私の人生観が、ヘアデザイナーという職業にあっているんだと思います。服に対するこだわりが、人間の身体の一部である髪に向いただけです。
人を綺麗にする仕事に身を置く者として、自分が綺麗であり続ける努力も怠りません。綺麗でなかったら、「この人に頼みたい」と思ってもらえません。ある意味では、常に自分で実験をしているわけです。同業の女性に支持を頂いたり、私がお客様と「信頼」と言う名の絆を得ているとしたら、その努力が少しでも実っているのかと思います。
そうやって綺麗でいるような努力をしていると、私も元気になってきます。それが周りの方のエネルギーになり、今度はまた周りの方からエネルギーをもらえて、ますます元気になるんです。
応援してくださる方や、元気をくださる方への感謝のお返しは、挑戦し続けることだと思います。美は力であり、生きる源。これからも、美を追求し、一人ひとりのお客様を綺麗にするために挑戦して行きます。
2016.05.09