「どうせできない」の枠組みを外す。
互いの可能性を見つけ合える世界を作りたい。

大人たちが学び続ける生放送コミュニティを運営する株式会社Schoo(スクー)で働く竹原さん。自身の学生時代の経験や、キャリアドバイザーとしての仕事を通じて、人の可能性を広げるサポートをしたいと考えるようになりました。その背景にある思いとは。お話を伺いました。

竹原 三貴

たけはら みき|株式会社Schoo 法人営業、人事コミュニティマネージャー
新卒でインテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社し、キャリアアドバイザーに。現在は株式会社Schooにて、オンライン学習サービスを企業に導入し社内の研修、育成の自由化に尽力中。並行してコーチングやカウンセリング領域の複業を行っている。

早く大人になりたい


東京都国立市で育ちました。小中高と私立の女子校に通っていました。母がとにかく教育熱心で、幼稚園生の時から週5で塾やお稽古に通う生活をしていましたね。始めは「お母さんの期待に応えたい」という気持ちで勉強を頑張っていました。だけど、だんだんと自分の意思とは関係なく、やらされているという感覚が強くなり、苦しくて勉強自体が苦手になりました。それでも、知識を詰め込むのではなく、物事を根底から「どうしてこうなんだろう?」と考える癖がある子供でしたね。

父は大企業に勤めた後、独立してIT企業を経営していました。情熱を持って、楽しそうに仕事をしている父の姿に憧れていたんです。でも徐々に会社の経営が厳しい状態に陥ってしまい突然の破産。小学校4年生の時、住んでいた一軒家を売って、家族で祖父の家に引っ越し、広々した子供部屋から、家族全員で川の字に寝る生活になりました。当時は大変さをあまり感じませんでしたが、家族で行くスーパーが変わるなど、生活の変化は実感しましたね。

私は家族といる時は自己主張が強く、好奇心旺盛な性格でしたが、内弁慶で、小学校ではなかなかみんなの輪に入れませんでした。家庭環境の変化や周りに馴染めないストレスで円形脱毛症になり、どうにか結んで隠して登校していました。教室内や校庭に出てみんなで遊ぶ中で、休み時間にひとりぼっちで教室にいるのが恥ずかしくて、隠れるように図書室で本ばかり読んでいました。

ずっと図書室にいたら、ある時全校生徒で本の貸し出し数1位になったことで、表彰されてしまったんです。クラスのみんなに拍手される中、先生に「たくさん本を読む秘訣は何ですか?」と聞かれた時は、本当にもどかしい気持ちになりました。

そんな中図書室では、色々な職業を紹介した本を読むのが唯一の楽しみでした。休み時間や放課後はいつも「この教室という狭い世界を抜け出して、大人になったらこんなことしたいな」と将来に夢を膨らませていたんです。

また、早く働きたいとも思っていました。父は、母だけには経営不振で辛い話もしていたようでしたが、私たち兄弟にはいつも仕事のやりがいや、新しい事業の話しをいきいきと語っていました。そんな姿から、「子供ってつまらないから、早く大人になって父のようにはたらきたい」と思うようになり、大人になる事が楽しみで仕方ありませんでしたね。

図書室から舞台の中心に。世界が広がる


人と関わるのを避けて自分の世界に閉じこもっていましたが、中学では思い切って新しい環境に飛び込んで自分を変えたいと強く思い、英語のミュージカル部に入部しました。

一人で本を読んでいた状況から一転して、人前で英語で歌ってダンスをするようになって、性格も徐々に明るく変わっていきました。

部員は帰国子女が多く、教室の中心にいるリーダータイプの子たちでした。その中で、時には衝突しながらも逃げずに弱い自分とも向き合い、チームで作品を作り上げていくんです。役をもらうために、その子たちとライバルとしてオーディションを受けることもありました。それらの経験を通じて、物怖じせず自分を表現できるようになっていきました。

入部して以来、ずっと掲げていた目標はメインキャストになることでした。メインキャストに選ばれるような子は、みんな流暢に英語が喋れるし、演技も上手。高い目標でしたが、夢を夢のまま終わらせたくなくて、必死に練習に励みました。高2の引退の年に、とうとう80人のオーディションを勝ち抜いてメインキャストに抜擢されたんです。念願が叶ってとても嬉しかったですね。

仲間とともに作り上げた舞台では、カーテンコールでたくさんの拍手が鳴り響き、お客様の満面の笑顔をみた時、「図書室でひきこもっていた自分がこんな景色を見られるなんて」と心が震えました。逃げずに努力を積み重ねていけば、世界はいくらでも広げられるんだ、と感じました。

「はたらく」を全力で楽しみたい


大学受験では、第一志望の大学に落ちましたが、最終的に就職率が良かったことと、「他者のために」という学校の精神に共感して別の大学に入学しました。

大学時代は、歌って混ぜながらアイスクリームをつくるパフォーマーたちが働くアイスクリーム店で、4年間アルバイトをしていました。高校生の時に、笑顔で歌いながらアイスを作るなんともハッピーな接客に衝撃を受けたんです。働く本人が一番楽しんで、その姿を見せることで目の前の人に感動を届ける。そんな仕事にずっと憧れがあったんです。

受験で失敗した分、大学生活は絶対に充実させたくて、アルバイト先も妥協はしたくありませんでした。オーディションを受け、ミュージカル部で培った経験で合格。お金を稼ぐためというより、意義を感じる仕事をすることでお客様にも喜んでもらえるwin-winな関係が幸せで、とにかくやりがいがありました。

ある時、「日本の幸福度ランキング」が先進国で最下位という記事を目の当たりにし、物資や情報が溢れた他国と比べ、不自由のない日本が何故幸せに感じにくいのだろうと考えました。大部分の人は、物事を無垢に楽しむ子どもから大人になって、仕事を通じて現実を知り、気づけば自分の可能性を潰し、幸せを感じづらくなるのではないか。そう思い、両親のように大人になってからの苦しい時も乗り越えながら、自分の人生を諦めずに面白がれる人を増やしたいと思いました。大学では1年目からキャリアの授業を選択し、学んでいきました。

就職もキャリアを軸に考えました。小学生の頃から漠然と先生に憧れはありましたが、好奇心旺盛で新しいことに挑戦するのが好きだったので、同じ業務の繰り返しが多そうな学校の先生は自分には向いていないのではないかと思いました。「キャリアや教育」を広い視点で捉えて、さまざまな職業を検討しました。その中でも、キャリアアドバイザーであれば人と深く向き合い、自分の人生にもう一度期待する人で溢れる社会を実現できるかもしれないと考えるようになりました。

キャリアを軸に就職活動を進めるなかで、ある時参加した転職支援サービスを行う会社の説明会で「はたらくを楽しもう」という考えにピンとくるものを感じたんです。また、その企業がCMで打ち出していた「Fight for Liberty~自由のために戦え~」という、偉人の言葉を引用したコピーが心に刺さりました。私にとって大きな転換点となった、閉じこもっていた小さな世界から自由になるためにミュージカル部で頑張った経験と、そのコピーが重なったんです。ここで働けばまた新たに自分の可能性や選択肢を広げられると思い、入社を決めました。

コンプレックスをばねに殻を破る


入社して、新卒でキャリアアドバイザーに配属されました。新卒は法人営業に配属されるのが普通でしたが、8年ぶりに約180人の中から5人だけがキャリアドバイザーに選ばれ、その中に入ることができたんです。せっかくチャンスをもらったんだから、しっかり成果を出さないといけない、と気持ちが引き締まりました。

初めは、新卒が転職アドバイスをすることにコンプレックスがありました。熱意は人一倍ありましたが、やっぱり自分がお客様の立場だとすると「転職の経験もないひよっこにアドバイスなんてされたくないよな」と考えてしまって。それに、はじめての転職活動の不安や、転職活動が上手くいかずナイーブになっている方の気持ちは、体験なくしては本当の意味で理解や共感はできないのかも知れない、と日々葛藤しました。

コンプレックスを抱えながらも、自分なりに試行錯誤を繰り返しました。例えばカウンセリングでは、お客様の要求を細かく聞き出して性格や根底の価値観を知り、お客様自身も気づいていない潜在的な要求を考えることを徹底しました。とにかくお客様に寄り添って、あらゆる可能性を一緒に模索し続けたんです。

すると、希望職を紹介するだけでなく、「実はこんな業種も向いているのではないか」といった別な角度からの提案も、だんだんできるようになっていきました。「今の会社に残って、こんな複業をするのもあり」と自社の利益は度外視した提案をすることもありました。時には人生相談のようになって、恋愛や結婚の相談にのることもありましたね(笑)

それを続けていたら結果的に、顧客満足度も高く、社内表彰をされることも増えてきました。「転職支援は、転職経験者でないとできない」といった固定概念を一つ打ち破れて、自信に繋がりましたね。

入社1年目の時に、父の会社を訪問する機会があったんです。父は65歳を過ぎてもう一つ会社を起業し、新しいサービスを始めていました。社内には自己破産した当時から辞めずにそばで支えてくださった社員さんが今も働いていて、「どんな状況でも社長と働きたいんだ」と熱く教えてくださいました。その姿を見て、「途方もなくどん底にいても、生きている限り志を持って何度だってやり直せるし、楽しめるんだな」と思いました。「自分もこんな生き方がしたい」と大きな指針が定まったような気がしました。       

その後2年半ほどキャリアアドバイザーの仕事を続けるうちに、紹介事業の転職支援の一部分だけでなく、広い視点からキャリアを支援したいという思いが強くなりました。フラットで圧倒的に味方に立ち、お客様の人生の選択肢を増やせる支援が出来る方法はないのかと思ったんです。

キャリアアドバイザーは天職だと思っています。ですが、人材紹介を通じた1対1のカウンセリングでは、お逢い出来る方や提案の種類に限界があります。属人化しがちなアドバイスだけでなく、多様な視点から自発的にキャリアを選択できるプラットフォームを作りたい、また自身も20代のうちに正解のない環境でより成長したいと思いました。

そんな思いとこれまでの経験から、大人たちがもう一度好奇心を掘り起こし、いつまでも学び続ける「未来の学校」をつくっている株式会社Schooに転職を決意。Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションに惹かれました。

お互いに可能性を創出したい


現在働いている株式会社Schooでは、オンライン生放送コミュニティを運営しています。Webデザイン、プログラミング、語学などの一般的なビジネススキルだけでなく、人生に活きる学びをすべてコンテンツ化しています。経産省と共同企画した多様な生き方を学べるキャリアの授業や、健康、お金の知識など、4500本を超える授業を提供しています。授業中のタイムラインではアウトプットや対話ができる、参加者が主役の授業です。自己学習は個人で完結しがちですが、最も定着する学習法は「他者に教える」ことだからです。

「学校は苦手でも、実は学ぶことが好きなんだと気づけた」「孤独を感じずに未経験職種に転職する事が出来た」「子育てしながらついに起業した!」などの声があり、障害や年齢、住む地域による情報格差を飛び越えて、互いに学び合う居場所となっています。

Schooは個人向けと法人向けのサービスがあります。私は法人営業とコミュニティマネージャーとして、組織内の自発的学習の文化を創ることをミッションに、さまざまな会社の人事を中心に関わっています。

忙しくて学ぶ時間も研修を受ける余裕もない、そもそも学ぶ必要性を感じてない、受け身の研修が多い、などの課題をもつ組織の学び方改革を推進しています。日本の国際競争力を底上げするためにも、生存戦略としての学びを楽しめるように、組織、個人の学びへの意識転換は不可欠です。

とはいってもやみくもに学ぶのではなく、個々人がなぜ学ぶのか、学んだ先の変化を想像し、他者との繋がりを持って継続することが重要です。そのため、組織のキーマンである人事、育成担当のコミュニティを立ち上げました。現在は450名以上が参加し、社内育成について学び合う場を作っています。

個人としては、Schooのほかに、週30分電話でコーチングをするクラウド上司サービスや、求人を紹介しないフラットなキャリアカウンセリングサービスなどを中心にパラレルワークを実践しています。

また他人に目標を立ててもらうワークショップ「タニモク」も企画しています。自身の固定概念をなくし、利害関係のない他人同士でお互いの目標を親身に考え見つけていくワークです。叶えたいと思う目標や応援者に出会えるので、大好きなワークショップです。

今までの原体験や知識は、もちろんその人だけの素晴らしい財産です。でも、それが時に一つの考え方に無意識に固執して、自身で可能性を狭めてしまうこともあります。他者の違う視点を交えてフラットに意見を交換することで、少しでも良い気づきが得られる機会を提供したいと考えています。

自分で自分の可能性を見つけたり、見つけた可能性を信じて頑張り続けるって、簡単にはいきません。だから私は、可能性を一緒に探し出して、常にその人以上にその人を信頼し背中を押せる応援者でありたいです。

そして、個人が自分の可能性を見つけると同時に、周囲にいる人がその可能性を潰さず育てていくことが重要だと考えています。子供で言えば先生や両親、組織で言えば上司や人事にあたりますね。誰かの能力を引き出す立場の人の意識が変わらなければ、結局その人の物差しで判断してしまいます。Schooや新しい学習のあり方を通じて、育成に関わる人の意識や考え方を変化させるきっかけになればと思っています。

日本の幸福度を上げるために、今後は自治体や政府と一丸となり、自発的に学びたくなる仕組みを日本中で作りたいです。自分ならではの幸せを認識し、年齢を重ねても何度だって面白いと思える人生を過ごせる。そんな人を1人でも増やしたいと思っています。

2019.07.22

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