6年引きこもっていたら、バトンが回ってきた。
世界一即戦力な男が、自由な笑いを極める理由。

高校を1年目で中退後、6年間の引きこもりを経て、「世界一即戦力な男」として就職活動を行い、書籍の出版やTVドラマ化など、大きな注目を浴びた菊池さん。「笑い」にこだわる背景、そして、今後描く未来についてお話を伺いました。

菊池 良

きくち りょう|クリエイティブプランナー
株式会社LIGのメディア事業部にてライターとして、LIGブログの運営に携わる。

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世界一即戦力な男・菊池良から新卒採用担当のキミへ
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高校を即中退してできた猶予期間


沖縄県に生まれ、親の仕事の関係で引っ越し、東京の小中学校に通いました。小さい頃から漫画が好きで、特に、家に全巻揃っていた『美味しんぼ』という漫画が好きでした。その漫画の影響もあり、卒業後は私立高校の調理科に進学しました。

高校では、週に1回調理実習があったのですが、実際にやってみると、「読むのと作るのって、違うのか」と気づいたんです。包丁は上手く使えないし、ゆっくり溶かすのも無理。そもそも、何かにじっくり取り組むことが苦手だったんですよね。

そこで、自分は調理に向いていないと4月の段階で気づき、「これを3年やるのは、長いな」という感じでした。
そして少し考えた結果、学校を辞めることにしました。大検の制度があることも知っていたし、大学に行けば、最終的にはチャラになるなという思いがありましたね。

そんな背景もあり、不安も無く、なんとかなるだろうと、9月に退学をしました。そして、予定通り、12月に大検を取得することが出来ました。

中退後はだらだら生活をしていたため、受験勉強は全然できていなかったんですが、『逆境ナイン』という漫画で登場した、1教科1枚のメモに要点をまとめるという勉強法を活用し、なんとか合格点ギリギリで受かることができました。

そして、制度上、18歳までは大学受験もできなかったので、16歳にして、猶予期間ができたような気持ちでしたね。土曜日の午後が2年間あるぞ、みたいな。

引きこもり生活の中で受け取った「バトン」


大検合格後は、毎日家でインターネットを見て過ごす日々を送りました。ちょうどYouTubeが出始めた時期だったこともあり、毎日ブックマークした動画を見ていました。

元々、小6くらいから家のパソコンをいじるようになり、好きなゲームの掲示板に書き込んだり、ニュースサイトやブログを読んだり、中学くらいからは自分でHPを作るようにもなり、ネットサーフィンが好きだったんです。

毎日、眠くなるまでインターネットをやって、好きな時間に起きて、1・2ヶ月に1回、図書館に行って本を借りて、という生活でした。
親は放任主義だったこともあり、何も言われませんでしたし、家族で普通に毎日ご飯を食べていましたね。

結局、18歳になっても大学に行くことは考えず、基本的には同じ生活を送り、変わった点と言えば、自分でブログを始めたことくらいでした。ブログでは時事ネタに対しておもしろおかしくネタをかぶせるような記事を書き、認められたような感覚があり、嬉しかったですね。切込隊長に好意的にリンクされたり。

YouTubeではお笑いのネタ動画を見ていましたし、図書館でも爆笑問題の本を読み、中学頃にお笑いブームがあったので深夜番組も見ていて、「面白いことを考えたい」という思いは次第に強くなっていきました。

家にいて、何もすることがない時期にネットを見ていて、楽しませてもらっていたからこそ、自分もその「バトン」を受け継ぎ、次に繋げたいという思いがあったんですよね。

いわゆる「引きこもり」の生活でしたが、楽しいという感覚しかありませんでした。深夜に食べるこってりラーメンっていつも以上に美味しかったりするじゃないですか。そういう感覚がずーっと続くんです。合法ドラッグですね。

「普通」を知るために大学に


そんな折、「ウケる日記」というブログを読んでいて好きだった水野敬也さんが開催したオーディションがあり、アシスタントになれればいいかな、と思い応募してみることにしたんです。すると、その後のある飲み会で、「まず、普通を知れ。そのために大学に行け。」と言われたんです。何か面白いものを作るためには、「普通」を知らなければいけないという話に僕は納得し、大学に行くことを決めました。

そこで、実家から通える都内の大学で学費が一番安い学校を探し、本が好きだったこともあり、東洋大学の文学部を受験することにしました。

ただ、目標ができても、じっくり物事に取り組むことが苦手な生活は変わらず、結局一日中受験勉強をしたのは3週間ほどで受験本番に望みました。しかし、「2ちゃんねる」で見た「センター試験で8割取る方法」というスレッドを読んで、一から十まで鵜呑みにして。参考書リストも載っていて、批判精神ゼロでそれらも揃えて。結果、なんとかギリギリで合格することができました。

1校しか受けていなかったので、受かった時は安心しましたね。そうして、6年間続けた引きこもり生活を終え、22歳にして、大学に入学することになりました。

実際に大学に通い始めると、高校とは違い、必ず出席しなければいけない等は無く、自分のペースで通えるので過ごしやすかったですね。サークルは、一応、入学時に文芸サークルに入ったのですが、入部届けを書いて出しに行った日以来、行かなくなってしまいました。

部室棟のエレベーターが一つしかなくて。知らない人と乗り合わせるのが苦手だったので。

「即戦力」という“普通”でない就職活動


その後、特別友達ができることはありませんでしたが、毎回ギリギリで単位を取ることが出来、授業に出て、コンセントを借りて、PCで何かやってという日々を過ごし、3年を迎えました。

そこで、将来のことを考え始めると、ライターとして働くことに関心を持つようなりました。元々、知り合いの紹介で編集プロダクションからフリーランスとしてライターの仕事をいただいていましたし、ブログ等を書く中でも、書く仕事が合っている感覚があったんです。

しかし、普通に就職活動をしたら負けるな、という感覚があったんです。じっくり取り組むことが苦手な自分は、100社エントリーなんて出来ないなと。

そこで、なにかやろうと考えた結果、“普通”に就活しないために、webサイトを作ることにしたんです。

そのサイトでは、「世界一即戦力な男・菊池良から新卒採用担当のキミへ」と題し、僕専用の新卒採用の特設サイトとし、僕にメッセージを送ったり、面接を申し込むことが出来る機能を付けました。

そして、準備を終え、土曜の夜にサイトを公開しました。しかし、まったく反響がなかったんです。「あ、これは一番恥ずかしいパターンが出たな。」と思いました。で、とりあえず寝ようと。現実は忘れて夢の中でホームランだ、みたいな。

次の日、昼に起きてPCを見てみると、友達がTwitterで拡散をしてくれていました。そして、その後から、サイトが「2ちゃんねる」で取り上げられ、
雪だるま式に拡散されていったんです。気づけば自分の予想を遥かに超えるアクセスが来ており、「大変なことになったなあ」と感じました。

2・3社来たらいいかなと思っていた面接依頼は50社以上から届き、メッセージは1000通以上届きました。正直、どうやって対応していこうか迷いましたね。

その後、地方や海外の会社を除いた20社の面接を2週間ほどかけて受け続けました。自己紹介がいらないのが楽で、本題から入れたのは良かったですね。

そして、その中で僕は株式会社LIGという会社に入社を決めました。2番目にメッセージをいただいた会社で、「ネットのお笑いで飯が食えるようにしたい」
という代表の話に非常に共感したんです。今の時代でお笑いをやろうとすると、芸人や漫画家などしか手段がなく、いばらの道だけど、そこにインターネットという手段を増やしたいと言われたんです。

そうやって僕は“普通”でない就職活動を終えました。

会社の金を使い潰したい


大学を卒業し入社をしてみると、最初こそ週5日か通うことへの不安があったものの、意外とすんなり馴染むことができました。

現在はLIGの中でメディア事業部という部署でライターとして働き、主に企業のPR記事や、自分で自由に書ける記事の二つを担当しています。

仕事をする中では、自分で書いた記事に対して「おもしろい」という反響を貰えるのが一番嬉しいですね。もともと個人的にパロディネタが好きなのですが、マニアックなものにしか触れてこなかった分、伝わらずに苦しむこともあり、最近は王道の漫画を読んでみたりしています。『HUNTER×HUNTER』面白いなって。やるじゃん、って。

あと事業部としては、メディアで利益を出そうとしているんですが、僕はそれを食い止めたいなと。利益を食い潰すぞ、と思っています。

インターネットでおもしろいコンテンツを提供するのであれば、採算度外視が一番おもしろいんです。突き抜けるためには、自由な発想が必要だという思いがありますね。だからこそ、お金を使ってやろうと思っています。

そんな風に考えるようになったのは、新宿歌舞伎町の「ロボットレストラン」というお店に行ったことがキッカケでした。ものすごいパフォーマンスながら、入場料は安かったんです。これは採算なんか気にしていたら負けるな、と。現代人としてロボレスは意識せざるを得ない。

万葉集のような歴史に残るコンテンツもマネタイズを考えて作られていないし、元々ネットも持ち出しの文化。だからこそ、採算なんか考えたら弱いなと、気づいたんです。僕は採算度外視の姿勢でコンテンツを作っていきたいですね。

将来は、何かで一発当てて大金を手にして、そのお金で何かしたいという気持ちもあります。メディチ家みたいなことがしたい。そうやって笑いを表現する中で、受け取ったバトンを次に繋いでいければと思っています。

2015.01.05

菊池 良

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