現在は、小児科医として毎日の診療を行いながら、新宮MCスクエアの管理を行っています。朝は日が出る前に起きて、診療が始まる前には、基本、医療の勉強と新宮MCスクエアの仕事はどちらも終わらせます。打ち合わせなどの電話は日中、診療の合間を縫ってするようにしています。

診療をしていて「病気のことじゃないんだけど」と言って、いろんなことを相談してもらえるのは嬉しいですね。また、小児科は最初から重い病気の人が来るわけではないので、ちょっとした風邪の子でも「この子危ないかも」と大事をとって、結果、重病を未然に防げた時などは、ご家族の感謝もひとしおで、とても大きなやりがいを感じますね。

今も新宮MCスクエア内にどういったものを作ればいいかは、常に考えています。自分の子どもと遊びにでかけている時も、「こういうところに人が集まるんだ」とメモや写真を取っていますし、診療中に子どもたちに好きなことや、やってみたい習い事などを聞きます。自分が地元に根ざして仕事をしているからこそ、地元にとって必要なものを作れるのだと思っています。

新宮MCスクエアは、まさに三世代が集まれる場所です。子どもが遊ぶ「海賊公園」があり、建物内には無料の託児所もあります。また、福祉施設内では、健康な方でも受けられるリハビリやマッサージを提供していますし、認知症予防の集いなどもあります。

高齢者施設では、人生の大先輩である高齢者のみなさんが、最高の暮らしをできるような環境を作っています。私がいる時は、必ず朝礼をして、「人生の大先輩である高齢者さんを一番に思います」と、意識の統一をしてスタッフを教育します。また、予算度外視で高級ソファーを置いたり、送迎用に高級車を何台も用意したりして、心地よい環境を作っています。

高齢者にとって、残りの人生は長いとは言えません。だからこそ、残りの人生を最高に過ごせるように、できることは全てしたいのです。ここに入りたい、ここに家族を預けたい、そう思ってもらえる場所を目指しています。

親、子、孫がみんなで集える場所をつくることで、新宮を住みやすい地域にしたいですね。田舎だと、買い物や習い事など、何をするにも遠くに行かなければなりません。同じようなことは、他の地域でも起きていますし、これからさらに加速します。「このまま住み続けて、ここで介護を受けられるのか?」と心配になる若い人も増えると思います。

ですが、これからは、蓄積してきた田舎のノウハウを活かして、新宮MCのような場所を全国に作って「田舎でも大丈夫」ということを示していきたいですね。田舎に何でもできる便利な町を作り、人口流出を防ぎ、人口が増加するようなきっかけにしたいです。全国の田舎の地域にいる自治医科大学の仲間たちと、手を組んでいきたいですね。

診療と街づくりのどちらもやっていると、ほとんど休みはありません。実際、ここ2年間は、一日も休んでいません。正直、文句を言いたくなる時や、発狂しそうな時だってあります(笑)。でも、どちらも自分がやりたいことですし、自分に期待してくれる方々もいます。だから、少しも辛いとは思いません。

私を信頼し、私にしかできないことに期待してくれる人がいるなら、命をかけてそれに応えたい。それが私の生きがいなんです。

小児科医としての診療も、三世代が集まれる町づくりも、やりたいことは全てやっていきます。