そして、40年以上宝石の販売を続け、88歳になった今でも現役で仕事を続けています。
私の宝石商売の哲学として、店舗を持たないことにこだわっています。店舗を持ってしまうと、ウィンドウに並べられている宝石の大きさと値段だけで判断されてしまいがちですが、宝石は「身につけて似合うか」が大切なのです。それに店舗でたくさんの宝石を目にすると目移りをしてしまい、勧められるがままに購入を決めてしまいがちですが、そういう売り方をしたくないのです。一対一で話をしながら、その人の要望も聞いて、本当に似合うと思うものを1つずつ提案していきます。多くても4つか5つくらいしか見せません。
私の商品は全て自分が現金で買ったものですから最悪売れなくてもいいので、強気で商売できます。宝石は高価なものなので、多くの宝石店では、自家のものでない商品を並べていることも多いのです。本当に価値を分かってくれる人でなければ、こちらから願い下げです。
私は、代理店がないため日本に入ってこないような海外の、かっこいいジュエリーなども直接仕入れています。中間業者を省いてダイレクトに仕入れるので無駄な経費がかからず、他店よりリーズナブルな値段で売っていると確信しています。デザイン料ももちろん、私の手数料もいただいていません。
それでも、宝石と聞くと「高い」「話を聞いたら買わなければいけなさそう」と、敷居の高いものだと思われがちなので、もっと宝石が皆さんの生活にとって身近なものであることを伝えていけたらと思います。最近では、石を見たいと相談を受け、気にいった石から自分にあったジュエリーを作る相談をもらったりして、一緒に考えながら作るのが楽しいですね。
今は、娘にも手伝ってもらいながら、仕事をしています。なぜなら私が高齢なので、買ったジュエリーのアフターケアーを心配されると思うからです。
アクセサリーをジュエリーと勘違いしている方がいますが、アクセサリーは人間の作ったもの、ジュエリーは自然が作ったもので人工では作れない貴い、かけがえのないものです。
私はこれからも元気に仕事を続け、ジュエリーを多くの人にとって、もっと身近なものにできればいいなと思っています。
※1・・・当時はそう思ったのですが、現在は違います
2015.05.06