生まれも育ちも神奈川県海老名市です。小さな頃から、世界には自分しか存在しないかのように、わがままで好き勝手に生きていました。悪ガキグループの一員で、学校では先生の話を聞かないし、クラスでは目立たない子をいじめていました。何をしても先生は体罰をできないからと、舐め腐っていたんです。

親の言うことも全然聞きませんでした。中学受験をするように言われていたんですけど、当時バスケットボールにハマっていたので「勉強は無理です」と断って。中学、高校とバスケばかりしていましたね。

バスケは技術の差が如実に出るのが好きだったんです。サッカーだと、実力差のあるチームを弱者が倒す、いわゆるジャイアントキリングがよくありますが、バスケは他のスポーツに比べてああいうのほとんどないんです。レベル差によっては、それこそ相手をギタギタにすることができますし、練習をすれば自分が確実に上達していくのが分かるのも好きでした。

バスケ漬けの毎日でしたが、高校2年生の夏休み、2日間だけ練習が休みになったんです。そこで、ここぞとばかりに、クーラーを効かせた部屋の中パソコンでおもしろ動画をひたすら見ていたんですが、そんな時ふと、南太平洋に浮かぶ小さな群島国「ツバル」の特集が目に留まりました。なんとなく目を通すと、ツバルがバチカンに次いで世界で2番目に人口の少ない小国であること、その美しさから「天国に最も近い島」と言われていること、そしてその島は近い将来、地球温暖化による海面上昇で海に沈んでしまうのだと書かれていました。

これを知った時、言葉にできないほどのショックを受けました。ひとつの国が、ある日ポトンと沈む。そこに暮らす人たちも皆死んでしまう。その未来を想像した時、この世界にいる「自分以外の存在」を初めて強く意識したんです。ごく当たり前のことですが、自分が知らないところでも、人は暮らしている。知らず知らずのうちにその人たちの暮らしを奪ってしまうなんて酷いこと。とにかくツバルが沈むのを止めなければ、という使命感のようなものが自分の中に湧いてきたんです。

同時に、これまで自分が他人にしてきたことを深く後悔しました。それまで意識したこともない、会ったこともない他人の気持ちを推し量ると、これまで学校で自分がいじめてきた人たちがどんな気持ちだったか、どれだけ苦しい思いをさせてきたかが、何となく分かり始めたんです。

思い返してみると自分だって一時期、周りから変なアダ名で呼ばれて、すごく自尊心が傷つけられたことがあった。誰だってあんな思いはしたくないよな、と。

この時の休みは2日間だけだったので当然ツバルまで行くことはできなかったんですが、何かしたいという想いだけは、その後もずっと自分の胸に残っていました。今まで他人に酷いことばかりしてきたけど、これからは弱い立場にいる人を助けるために生きていきたい。そんなことを考えはじめた時に、今度は、ルワンダという国を知りました。歴史の資料集を眺めていた時に、その地で何万人もの人が虐殺されたと知ったんです。

人間は何て酷いことをするんだろう。ルワンダはツバルよりももっと大変な状況、何とか手を打たねばこれから先もっと多くの人が死んでしまう。自分に何ができるかは分かりませんが、とにかくルワンダに行こうと決めました。