それでも、やはり幼い頃からの夢を塗り替えることに対して漠然とした不安があったため、大学4年の後期半年を休学し、1人で海外へ旅に出ることにしました。それまでは一人旅などしたことがなかったのですが、父が見てきた世界を見たいという思いや、自分を変えたいという思いもありました。

実際に旅立ってからは、小説『深夜特急』のようにユーラシア大陸を横断しようと思い、タイから始まってインド・中東を経てエジプトまでのルートを陸路で辿りました。その旅では自分で自分のことを改めて知ることができただけでなく、沢山の出会いにも恵まれ、見返りを求めない無償の愛をくれる人々に出会うことで、「人間は善なる生き物なんだな」と感じましたね。

また、旅の過程でブログを綴っていたり、ヤフーメッセンジャーで日本と直接コミュニケーションを取れる、インターネットという仕組みについて強く関心を持つようになったんです。漠然とですが、インターネットに関わる仕事って面白いんだろうなという感覚がありました。

そんな風に改めて自らのことを見つめ直した旅を終えて帰国すると、周りが皆社会人として仕事を始める時期(2006年4月)だったこともあり、僕も都内に出てきて週5日のインターンを始めることにしました。

周りに負けたくないから同じタイミングで、ということもありましたし、一層クリアになった「昆虫博士になるやつを応援する」という目標のためにビジネスのスキルを付けなければ、という思いがありましたね。

そんな背景から、人材系のスタートアップで法人営業のテレアポを始めたのですが、ある時、その話をすると同じくスタートアップでインターンをしていた友人から、「うちの会社に営業に来てみたら?」と声をかけてもらったんです。

その会社はクックパッドという、ユーザー投稿型の料理レシピサイトを運営する企業だったのですが、営業に伺って商材の提案をしていたところ、開始5分で商談相手だった創業者の佐野さんから、

「お前、月給料いくらもらってるの?」と聞かれ、

「12万円です。」と答えると、

「じゃあ、うちは15万出すよ」と、

クックパッドに誘っていただいたんです。

最初は驚きましたが、人間にとって重要な「衣食住医」に関わる「食」領域は世の中に必要とされるに違いないという点や、まだ全く注目されていないクックパッドのビジネスモデルに惹かれていたという点もあり、
そのままインターンとして働かせてもらい、大学を卒業後は、新卒1号社員・14番目のメンバーとして入社をすることが決まりました。