熊本県御船町で生まれ育ちました。7人家族で、3人兄弟の長男です。実家は明治時代から続く「藤木屋」という店で、冠婚葬祭業を営んでいます。私は小さい頃から、5代目を継ぐものとして扱われてきました。

藤木屋はもともと蒲鉾店を営んでいましたが、様々な物資が集まり取引が盛んな土地柄から、葬具の卸をするようになりました。当時は葬儀屋がなく、地域の人からの声に応えて冠婚葬祭業を始めました。以来、藤木屋は地域に寄り添って営業を続けています。

実家が葬儀屋なので、人の死をたくさん見て育ちました。印象的だったのが、中学生のときに行った交通事故の現場です。事故現場で、ご遺体を見て「被害者がかわいそうだな」と感じました。しかし、葬儀で加害者家族が額を床につけて棺を送る姿を目の当たりにし、「彼らは事故の加害者ではあるけど、被害者家族と同様に苦しんでいる。見方を変えれば彼らも被害者なんだな」と感じたんです。

もちろん、辛いのは事故の被害者です。しかしその一方で、加害者がものすごく苦しんでいる現実があることを知り、衝撃を受けました。事故が起きた時、被害に遭った方の悲しみに注目しがちですが、事故を起こした加害者も後悔して苦しんでいることをしっかり知らなければいけないと思ったんです。物事には両面があって、片面だけを見て判断してはいけないことを学びました。葬儀での加害者家族の姿が目に焼きついて、忘れることはありません。