自身の失敗経験から、キャリア支援の道へ。
学生にとって幸せか?を軸に、新たな挑戦を。

大学を中心にキャリア支援を行う岡崎さん。きっかけは、自身が就職活動に失敗した経験でした。「学生にとって幸せか?」を軸に、一人一人に合ったキャリア支援を目指しているといいます。そんな岡崎さんが今、力を入れているのが「キャリア支援×最先端テクノロジー」。その想いを伺いました。

岡崎 浩二

おかざき こうじ|株式会社岡崎人事コンサルタント取締役社長
株式会社岡崎人事コンサルタント取締役社長。早稲田大学招聘講師。女子美術大学・短期大学 非常勤講師。宮城学院女子大学 非常勤講師。AIやVRなど最先端技術を取り入れたキャリア支援サービスを展開。

勉強をきっかけに自信を得る


東京都千代田区で生まれました。小さい頃はシャイで大人しく、自分から積極的に人に話しかけに行くことが苦手で、小学校時代は友達がほとんどできませんでした。勉強もできず、何か得意なことがあるわけでもない。取り柄のない子供でした。

しかし中学校に入ってからは、英語がきっかけで一気に勉強に目覚めました。英語は中学1年生から授業で習い始めます。みんなが同じスタートなので、頑張れば自分も成績で目立つことができるんじゃないかと思ったんです。毎朝5時半に起きて、一日一ページの英単語を覚える。そんな生活を毎日続けました。

英語がどんどん好きになり成績にも結果が表れ、周囲からは「岡崎は英語が得意なんだね!」と言われるようになりました。それまでは何かを頑張ったこともなく褒められることもなかったので、とにかく嬉しかったですね。

周りの人たちから褒められると自分自身が認められているような気がして、他の教科も頑張るようになりました。たまたまクラスに勉強好きな子が多かったこともあり、友達も増えました。

高校進学にあたり、偏差値の高い有名私立高校とその年に新設される都立高校に受かり、どちらに行くか迷いました。周囲では私立高校へ行った方が良いという声が多かったですが、都立高校に決めました。都立高校は大学のように様々な授業が受けられる総合学科だったため、自分が学びたいことを選んで勉強できることに魅力を感じました。また、誰も経験したことがないことができる、一期生であるということにも惹かれました。

勉強に目覚めてからは、勉強が自分の拠り所となり、積極的な自分に変わりました。

弁護士を目指すものの、諦めて就職へ


高校1年生の時、東京都が留学費用を全額負担してくれる交換留学制度を知り、チャレンジしてみようと応募したところ合格。英語が好きだったので本当は英語圏に行きたかったのですが、国は選べず、1カ月間中国の北京へ行きました。

そこで見た、同年代の人たちの優秀さ、勉強量、学校の授業レベルに驚愕しました。世界のエリートはすごいなと。当時の中国はまだ発展途上でしたが、この人たちが将来活躍するようになったら、日本もやばいなと思いました。すごく刺激を受けましたね。

2年生では、授業の一環で弁護士を迎えて模擬裁判をやる機会がありました。その時に弁護士から「君は視点がいいね」と褒められ、それが嬉しくて弁護士を目指すことに決めました。単純なので、褒められるとモチベーションが上がるんですよね。

大学受験では、国立大学の法学部を目指すも受からず一浪。なんとか法学部には受かったものの、希望の大学には行けず、挫折感を味わいました。

大学は司法試験に特化したコースでした。在学中の司法試験合格を目指して、大学の他にダブルスクールもしました。勉強漬けの毎日でしたが、大学3年生で受けた司法試験の結果は不合格。試験の第一関門である択一試験合格まであと数点だったので、このまま試験を受け続けるべきか悩みました。

択一試験に合格し、模試で優秀な成績を取っていても、なかなか合格できない人たちを間近に見ていたので、自分では無理かもしれないと思うようになっていました。加えて、当時は超就職氷河期。一流大学の学生でもない自分が、就職活動をせずにこのまま試験を受け続けていたら、ニートになってしまうかもしれないという不安がよぎりました。悩んだ結果、弁護士になることを諦めました。

民間企業への就職を考え、とりあえず各業界の有名企業を手当たり次第に100社近くエントリーしました。結果は全滅。とにかく就職できればどこでも良いと思っていたところ、内定式ギリギリで仏壇の小売会社から内定をもらうことができました。仏壇には興味はなかったのですが、高校で茶道部だったことから和に関係する業界は向いているかもしれないと思い、入社を決めました。

就活失敗からキャリア支援の道へ


就職できたはいいものの、入社してすぐに自分には合わない会社だとわかりました。そもそも仏壇に興味がない。興味がないから仕事も覚えられない。会社の役に立ちたくても、仕事が覚えられないから先輩から見放される。何も面白くなかったです。唯一、会社で役に立ったのは、近くの店舗でお茶を点てる機会があった際に、茶道部出身ということで駆り出されたときくらい。入社一ヶ月後には、転職サイトを見るようになっていました。

会社選びの重要性を痛感しましたね。きちんと会社のことを知ってから入社することが大事だし、ある程度は興味のある分野に行った方が良いと思いました。

改めて自分は何がしたいのか、将来どうしたいのかを考えていたところ、身近な父の仕事に初めて興味を持つようになりました。商社で人事部長をしていた父は、数年前に人事コンサルタント会社を創業し、大学生向けにキャリア支援の仕事をしていました。学生から「お陰で良い会社に就職できました」と喜びの声をもらっている父を見て、自分自身も会社選びの重要性を痛感していたことから、学生の力になりたいと思うようになりました。

父の会社に転職したいと考え、父に「会社手伝おうか?」と言ったら「使えないから来るな、修行してこい」と断られてしまいました。

じゃあどこで修行しようかと考えた時に、人材業界で経験を積むならリクルートだと考え、第二新卒でリクルートのグループ会社へ転職しました。仏壇の小売会社に入社して半年後のことです。

晴れて転職が決まり、求人広告の営業をする中で、憧れの先輩ができました。社内表彰を総なめにするような伝説の営業で、この人と一緒に働きたいという目標ができました。部長から常に営業成績でトップクラスであり続ければ、先輩の所属する総合企画部に異動できるかもしれないと言われたので、目標数字に対しては誰よりもストイックになりMVPを取り続けました。結果、入社3年目にして部署異動が叶いました。しかも、その先輩がちょうどグループマネージャーになるタイミングで、運よく彼の管轄するグループに配属されることになったのです。

総合企画部では、各業界のリーディングカンパニーに対する営業の他に、商品企画のようなこともやらなくてはいけないのでとても忙しかったです。社歴も浅く、新規開拓しか強みのない私に対して、先輩は毎朝早くから勉強会を開いてくれました。毎日ハードでしたが、先輩の下で働けることが嬉しかったので仕事が嫌だと思ったことは一度もありません。自分が成長しているなという実感もあり、先輩のお陰で総合企画部でもMVPを取ることができました。

会社を退職する意思を伝えた後も、辞める前提でいる人間に対して、「辞めてからも活躍できるように」と育ててくれた先輩には本当に感謝しています。

父の会社を継ぎ、社長へ


父の年齢も考え、28歳で父の会社「岡崎人事コンサルタント」に転職しました。キャリアコンサルタントの資格を取るため講座に通っている間は、父のサポートをしながら、学生を知るための就職塾を始めました。資格を取ってからは、父の代からの取引先であった女子大を中心にキャリアコンサルティングを始めました。

仕事に慣れてきた頃、ハローワークが大学のキャリアセンターに対して、無料でキャリアカウンセリングを始めました。うちの会社と同じビジネスモデルを無料で始めたんです。このままでは良くない、何か新しいことを始めなくてはいけないと思い、ビジネススクールに入学しました。一期生で入学したこともあり、ユニークで優秀な人たちが多く、とても刺激を受けました。教員も各業界の第一線で活躍する方ばかりでとても環境に恵まれていましたね。事業戦略や広報・マーケティングを学び、修士論文の代わりに提出する事業構想計画書では、自社の経営戦略を踏まえた二つの構想を策定し、実行していきました。

一つは、教育機関と民間企業が行う産学連携プロジェクトのサポート事業です。この事業に関しては、大学院在学中に大手製薬会社に勤める同期の協力を得て、女子大生が女性向け美容サポート飲料のパッケージデザインを企画し、実際に販売するプロジェクトを行いました。

もう一つは、大学におけるキャリア支援の質の向上です。その頃の大学キャリア支援は、キャリア・コンサルタントの有資格者であっても、採用のリアルを知らないことで学生の役に立てていないケースが多くありました。また、大学のキャリア支援の実務を体系立てたコンテンツも少なかったです。このような状況に問題意識を感じていたので、生産性向上の観点からコンサルティングや人材育成に取り組む日本生産性本部に対して、就職指導者向けの研修企画を提案し、大学キャリア・アドバイザー養成講座を開講することになりました。

これらの取り組みに対しては社内では「お金に繋がらないんじゃないの?」「他にやることあるんじゃないの?」という声がありました。理解が得られず辛い思いをしましたが、結果を出すしかない、結果が出るまでやるしかないと思い続けました。

次第に産学連携や養成講座を通じて全国の大学や大手企業から仕事の依頼が増え始めました。養成講座に関しては、2016年に厚生労働省から国家資格であるキャリア・コンサルタントの更新講習にも指定されました。成果を上げたことで、会社の人からも認めてもらうことができました。

ただ、産学連携のサポートに関しては、他の企業もやっています。もっと差別化を図りたいと考えました。大学におけるキャリア支援の現場では、毎年同じような時期に同じような質問が学生から寄せられることで、現場の職員やキャリアカウンセラーには相当な負荷がかかっていました。それをITで解決できるのではないかと考えました。ITを活用して学生に役立つサービスを提供するだけでなく、現場で働く人の生産性も高める。「大学のキャリア支援にイノベーションを起こそう!」と決めました。

2017年には、学生が24時間365日就職相談できる「Career Bot」というチャットボットサービスをIT企業と共同で開発しました。実際に検証してみると、大学で直接相談することに抵抗を感じる学生に加え、障害があって話せない学生に対しても有効であることがわかりました。チャットボットで対応できない質問は、オペレーターに繋ぐ工夫もしました。その結果、85%以上の利用者が満足する、完成度の高いチャットボットを作ることができました。自分の働く会社だけでなく、キャリア支援の現場でも生産性向上やコスト削減に貢献することができました。

さらに、学生からの質問を分析してわかったことは、現場にフィードバックして、キャリア支援の質向上に繋がるようにしました。今後はアスリート学生や芸能活動をしている学生など、忙しくてなかなかキャリア支援サービスを受けることができない学生にも対応したチャットボットを開発する予定です。

ほかにも、VR動画を使った面接トレーニングや企業研究ができるサービス、Vtuber事業などにも着手しています。自主的に行動することが苦手な学生にも、興味を持って積極的に行動してもらえるような方法を考えています。

一人一人の人生に合うキャリア支援を


現在は、岡崎人事コンサルタントの取締役社長として大学向けにキャリアコンサルティングを行っています。複数の大学でキャリア科目の非常勤講師を務めたり、大学のキャリアセンターでキャリアカウンセリングやワークショップを行なっています。企業向けには採用支援のコンサルティングも行なっています。

仕事をする一方、社会人大学院に週4日通い、AIやデータサイエンスについて学んでいます。空いている時間の多くはプログラミングや統計の勉強をするようになりました。

時代と共にキャリア形成の在り方は変化していて、学生の職業観や進路も多様化しています。

その多様化に対応するために、ITを活用することで一人一人に合ったキャリア支援を提供していきたいと考えています。現在開発しているサービスの事業化も予定しており、2018年内には大学向けにAI・VRを活用したキャリア支援サービスを展開する新会社を設立します。女子学生を対象としたプログラミングスクール事業も展開する予定です。

これからは、大学のキャリア支援のあり方も変わってきます。人生100年時代と言われる中では今後、学び直しをするために大学に再入学する社会人も増えてくることでしょう。eラーニングの技術も進歩していることから、海外の学生も増えるかもしれません。障がいを持った学生やLGBTQの学生、留学生などに対してのキャリア支援についても日本の大学はまだ十分とは言えません。キャリアを支援する側として先を見越した新たな対応をしていかなければいけないと思っています。

キャリア支援を行う上では、学生中心主義を掲げ、常に「学生にとって幸せかどうか」を起点にして考えるようにしています。テクノロジーを取り入れる時も、技術が先に来るのではなく、学生にとって何が良いかが最も重要。実際に使ってみた学生の満足度は徹底的に考えていますね。テクノロジーはあくまで手段なので、対面での支援も大切にしています。

一人一人に合った質の高いキャリア支援サービスを実現し、日本でそのモデルケースを確立して、世界に発信していきたいです。そして、学生が望む「なりたい姿」に対して、少しでも近づけるよう、スキルや知識・考え方を提供し、学生が自立的・主体的に人生を歩めるサポートをしていきたいと思っています。

2018.10.25

ライフストーリーをさがす
fbtw

お気に入りを利用するにはログインしてください

another life.にログイン(無料)すると、お気に入りの記事を保存して、マイページからいつでも見ることができます。

※携帯電話キャリアのアドレスの場合メールが届かない場合がございます

感想メッセージはanother life.編集部で確認いたします。掲載者の方に内容をお伝えする場合もございます。誹謗中傷や営業、勧誘、個人への問い合わせ等はお送りいたしませんのでご了承ください。また、返信をお約束するものでもございません。

共感や応援の気持ちをSNSでシェアしませんか?