神奈川県横浜市で育ちました。祖父から2代続くクリニックの長男で、弟と2人と妹が1人の4人兄弟です。父と祖父はめちゃくちゃ怖くて、よく怒られました。勉強には特に厳しく、直接「医者になれ」と言われることこそなかったものの、将来は医者になるものだろうと潜在的に思っていました。

中学生の頃はドラマーとして売れて、お金持ちになりたいと夢見ることもありましたが、高校生になる頃には、音楽で食べていくのは難しいと現実がわかってきました。その頃から、漠然とですが、「きちんとお金を稼げるなら医者になるのもいいのかな?」と思いはじめました。

しかし、世間一般的に「三代目は家を潰す」と言われていたので、医院を継いでもうまく運営できず潰してしまうのではないかと気にしていました。ある日、それを見かねた祖父に呼び出ばれ「お前はカネカネ言いすぎる」と注意されました。その一方で「皆が困ってることをやっていれば、自然とお金は後からついてくる」と言われました。その言葉が心に残り、自分がやりたいことではなく、人に求められていることをした方がいいかもしれない、と思うようになりました。

祖父は、僕が高校生の頃に肺がんで亡くなりました。葬儀には大勢の参列者が並びました。葬儀に来ていた祖父の患者からは、「この町の私たちを看取るのはあんたなんだから、もっとちゃんとしなきゃだめよ」と言われました。祖父とクリニックが、この町の人々にとって大きな存在で、必要とされていることを強く感じたんです。

祖父の言葉の意味が、なんとなくわかった気がしました。求められることに応えるため、医者になることに決めました。