プロゴルファーとなるには、資格認定のプロテストとクオリファイングトーナメント(QT)でファイナルまで残り、成績上位になる必要があります。僕の目標として、高校生まではアマチュアの大会に出て、18歳でプロテストとQTに合格し、プロゴルファーになる。20歳くらいで、大会で勝って一花咲かせて、賞金ランキングトップ10に。その後、賞金王になって、海外で活躍する。そんなストーリーが出来上がっていました。

18歳になり、プロテストを受ける時がきました。毎年2000人くらいの参加者から予選を勝ち抜いた50名ほどがプロに認定されます。プレ予選から、順調に1次、2次と突破しました。続いての3次予選の間、なんとなく自分のプレーに違和感がありました。その後、クラブハウス内で結果の紙が張り出され、恐る恐る見てみると、自分の名前に合格の印はついていませんでした。

プロテストはプロゴルファーになるための通過点で、合格して当たり前。落ちるなんて考えてもみなかったし、合否以上に、言い訳もできないくらい全力で望んだ上で、こんな成績しか出せなかったことがショックでした。

周りには、プロテストを10回以上も受けた30、40代のゴルファーがゴロゴロいて、僕はそうなりたくありませんでした。1回のテストで通らないとプロとして活躍できないと思っていたからです。なのに、プロテストの段階でコンディションを合わせられず、高いレベルのパフォーマンスができなかった。僕は世界で活躍することはできないんだと、燃え尽きてしまったんです。

プロの道としてもう一つ、プレーを指導するティーチングプロになるという選択肢もありましたが、それは考えられませんでした。とはいえ、これまでゴルフ以外の進路なんて考えたこともありません。途方に暮れる中で、だんだん、「これはゴルフを諦めて別の道を歩む機会なんじゃないか」って思い始めたんです。

12歳でゴルフを始めてから、ずっと父や家族のサポートのもと続けてきました。親と一緒にやってきたという想いがあるからこそ、僕にとってゴルフを辞めることは「親から自立して、自分の足で歩み始める」ことのように思えました。父にゴルフを辞めると伝えると、案の定、激怒されました。あれだけ力を入れて僕に投資し、応援してくれたわけですから、当然の反応です。それでも、僕は別の道を歩むと決めました。

まずは、仕事を見つけて、社会人としての基礎を身につけようと思いました。様々な業種の企業の面接を受けた後、アパレルの卸しを行う企業に採用が決まりました。営業職に就いたのですが、基本的な受け答えや身の振る舞い方がわからず、従業員やお客さんからも怒られてばかりでした。しんどい時もありましたが、「社会人の基礎を勉強させてもらってるんだ」と自分に言い聞かせて、仕事に励みましたね。