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合理化の先にある無駄なこと
現在は、Fictboxという会社で、バーチャルライブのプラットフォームである『cluster.』を立ち上げ中です。ユーザーテストも少しずつ開始しています。
ライブの熱量を保ったまま、オンライン上でイベントに参加できる場です。VRの専用デバイスだけではなく、スマホやPCなどからアクセスすることもできる、マルチデバイス対応のプラットフォームです。
cluster.は、「集まる」をハックする(工夫する)サービスです。イベントには行きたい。でも、実際に移動するのって結構大変ですよね。決まった場所に行かないといけない。例えば京都から東京に行くなら、時間もお金もそれなりにかかります。特に引きこもりの人には辛いですよね。それを、家にいながら同じ熱量で人と会うことができたら、最高じゃないですか。
経済活動って、「合理化」と「贅沢化」の二つのストリームを繰り返していると思うんですよね。電車は、歩いて移動していたところに時間の効率化をもたらした。例えば、家から渋谷に行くのに1時間かかっていたのが、電車だと15分、みたいな。そうやって合理化して何をするかといえば、友達とカラオケに行く。つまり、贅沢な活動、無駄な活動なんですよね。
人と会う行為をバーチャル上で完結させるのは、究極の合理化だと思います。欲しいものが家にすぐ届くようになった今、外に出る理由のほとんどが人と会うためです。それが家から出る必要がなくなれば、人の移動がほぼなくなります。世界で一番無駄なエネルギーは、人が移動する時のエネルギーですから、人が動かなくなれば、エネルギーを相当節約できます。
cluster.は究極の「合理化」の事業です。究極まで合理化を追求する事業が落ち着いたら、次は究極まで無駄なことを追求する事業をしたいと思います。
「無駄なこと」として考えているのは、宇宙に行くことです。引きこもりにとって外に出ること自体が無駄なことで、一番遠いところはどこかと考えたら、宇宙。ロケットを飛ばしたり、宇宙服を作ったりしたいですね。
事業がうまくいかずにピンチになったとしても、なんとかなる自信はあります。これまでも、崖っぷちは何度もありましたが、その度に何とかなってきました。大変な時は焦って何かをするよりも、待っていたら何かがやってくる、という感覚ですね。
とにかく、何かの間違いで生まれてきてしまった命を、ただ生きて死んでいくのではなく、世の中に何かを残したいですね。
2016.04.14