1年留年して再度始めた就活では、NECを最初に受けて内定をもらって、決めました。1回目の就活の時に受けたNECの子会社の印象が良かったこと、時短制度などがあって働きやすそうなこと、コンシューマー部門があることが要因でしたね。一度体調を崩して、ハードワークは難しいと思っていたので、働きやすい会社を考えていました。ガジェット系が好きで、コンシューマービジネスをやってみたいとも思っていました。

入社後は、希望通り、コンシューマービジネスの部門に配属になりました。パソコン、携帯、タブレットなどの領域での事業戦略に2年ほど携わり、その後ヘルスケア系の新規事業のチームに異動になりました。

事業戦略では企業の経営に関する知識、他社のビジネスモデルなどを学ぶことができましたが、ユーザーと接する機会がありませんでした。その点、新規事業の立ち上げではユーザーと直接コミュニケーションすることができます。お客さんと話をしながら、ニーズをくみ取り、コンセプトをゼロから形作っていく楽しさを感じました。

コンセプトの発案・企画から営業、プロトタイプのデザインやデモアプリの開発や実証実験など、なんでもやりました。ただ、プロダクトの技術的な問題が大きく、途中で投資が打ち切りになってしまい、最終的に製品にすることができませんでした。 「世界の糖尿病患者を救う」、そんなビジョンを掲げて進めていたプロジェクトだったのですが、お客さんもそれに深く共感してくれていたので、EXITしなければならなかったのは、とても残念でした。

ただ、この失敗は、私にとって大きな学びになりました。一つのビジョンに共感し、「どうしても欲しい」と言ってくれるお客さんがいること。新規事業の立ち上げには、一人で何役もこなさなければならないこと。色々なことを学びました。

どうしようかなと思っていた頃に、声をかけられて、「アクセラレーター」になりました。アクセラレーターの仕事は、新規事業の加速支援として、新規事業のチームにジョインして、事業開発をサポートする、というものです。

従来のNECの開発のスタイルは、技術が第一となりがちで、必要とされるプロダクトかを十分に考えずに作ってしまうことが少なからずありました。お客さまのニーズを十分に確かめる前に、多額の予算をつけてやってしまう。正直のところ、そういうことが、図らずも起こりがちな組織であると感じています。それを、お客さまがお金を払ってくれるか確かめてから作るスタイルに変えていく。お客さまが買ってくれるかを、安く速く検証できるように支援する。それが、アクセラレーターの役割です。