私は埼玉県草加市で生まれ育ちました。小さな頃から本を読んだり、物事を考えたりするのが好きでした。中学卒業後は、慶應高校・慶應大学と進学し、東京へと出てからは、渋谷でヒップホップのレコードを買ったりしながら、ふらふらと過ごしていましたね。

大学1年生の冬に、1ヶ月ほどフランスのパリ政治学院で学ぶ機会がありました。初めての海外体験で、たくさんの刺激を受けたんです。

休みの日に、パリの郊外にある、旧植民地などからの移民が多く住む団地のエリアをひとりで歩いていると、路上の電話ボックスが叩き割られていたりと、不穏な空気が流れていました。何より、エリアによって住む人の種類がきれいに分かれていることにも、大きな衝撃を受けましたね。

フランスはアメリカと日本に次ぐヒップホップ大国で、フランス本土以外にルーツを持つ人たちの間でとても人気があり、ヒップホップ好きな私は、そのカルチャーにも親近感を持っていました。他方で、フランスを含めたヨーロッパの様々な国では、移民の排斥を訴える極右政党が台頭していました。そんな状況にあるパリを歩き回る中で、移民をめぐる個人や国家のアイデンティティの問題について、強い興味を持って考えるようになったんです。

その後も、日本の外の世界への関心は尽きず、ミャンマーに長期間滞在したり、イランからフランスまで陸路で旅をしたりしました。訪れた国々には宗教や人種、民族、政治的信条など、様々な事情や理由による分断がありました。

そして、そこで生きる生身の人たちと話すなかで、いつの間にか、自分やこの人たちにとっての「自由」とは何だろうと、よく考えるようになったんです。