茨城県水戸市に生まれました。『水戸黄門』で知られる徳川光圀の血筋を引く家で、武士の世界のしきたりが残っていました。例えば、家庭内での会話はすべて敬語、食事の席は、父と弟が壇上で、母と私が壇の下になっており、男尊女卑的な価値観が当たり前の生活でしたね。

親の言うことは絶対で、学校も習い事もすべて親が決めたことに従っていました。自分の意思を持たなくて済む方が楽なので、縛られた生活は嫌ではなかったです。

唯一自分から興味を持ったのは剣道です。家に飾ってある戦の絵を見て、どうして人はこんなに簡単に殺し合うのだろうと疑問を感じていました。主君の命令があれば、相手が初対面でも、何の恨みもなくても命がけで斬り合うことが理解できなかったのです。武士の気持ちを理解したくて、剣道を始めました。親からは、女がやる習い事ではないと反対されましたが、泣いてせがんで、なんとかお稽古に通わせてもらいました。

試合に出るようになると、武士道の前には個人の感情は二の次であると気がつきました。剣道には、心身を鍛えるための勝負という大義があります。武士の世界も同じで、個人の感情の上に、天下統一、天下泰平という大義があったから平気で斬り合えたのじゃないかと思いました。

主君に忠誠を誓うのが役割なので、たとえ斬られても、それが自分の天命だったと捉えることが、武士の生き様なのだろうと感じました。武士のように、自分の意思や感情よりも、忠や孝を優先する考え方だと、悲惨な戦争が起きてしまうかもしれないと怖くなりました。

また、剣道は1対1のものなので、誰の力も頼れない孤独感がありました。自分の力でなんとかしなくてはならない状況になって初めて、親の言いなりで生きようなんて甘い考えは捨てて、自分の人生は自分で決めていかなくてはいけないと思ったのです。

「自分で決めなければ」と思うと、自分自身についてより深く考えるようになりました。自分とは何だろう、何のために生まれてきたのだろうと答えを探す日々。しかし、いくら考えても答えは出ません。自分が生きる意味を見つけるために、より自分の頭で考えるようになりましたね。