自分の心の動いた方へ、直感に従い進む。
帰国して気づいた、日本の伝統文化の魅力。

学生時代にいじめられ現実逃避していた自分を変えるべく、一念発起してニューヨークへ渡った後藤さん。偶然入った日本酒バーで、日本酒のおいしさに気づきます。お酒を通じて様々な人と出会いながら見つけた、自分の居場所、やりたいこととは。お話を伺いました。
止まっていた思考が動き出した
山形県の田舎で生まれました。集団の中でも特に目立たない、おとなしい性格でした。幼い頃は皆の輪の中で遊んでいましたが、小5くらいからクラスの中でいじめられるようになりました。学校に行くのがものすごくしんどかったです。
中学校に入ってもそれが続き、登校はするものの、自分の置かれている状況や授業の内容について何も考えず、毎日をやり過ごすようになりました。ひたすらゲームやマンガに没頭して、現実の世界から逃げる日々。なんとか工業高校へ進学しましたが、自分を変える気力もなく、同じような日常が続きましたね。
そんなある日、地元にこれまでなかったコンビニができて、初めて男性のファッション誌を読みました。そこに載っているモードファッションを見て、「これは素晴らしい!」と衝撃を受けました。近くに洋服屋がなかったので、そんなおしゃれなファッションを見たことがなかったんです。いつか自分もこのタイトなジーンズを履いてみたいと思い、ひたすらダイエットに励みました。
ただ、だからといってすぐにジーンズが手に入るわけもなく、漠然とした憧れを抱いているだけでしたね。実際の生活は変わらないままでした。
進路を決める時期に差し掛かると、進学する気もなかったのでなんとなく求人票をチェックしていました。ふと地元の工場の求人票に目をとめた時、初任給9万円と書かれているのを見つけたんです。あまりの金額の低さに驚愕しました。「なんだこれは、やばいな」と。このままだと毎月9万円しか稼げないかもしれない。現実を目の当たりにしたことで、これまで止まっていた思考が動き出しました。このままではいけない、なんとか自分を変えなければという思いが芽生えました。