就職先は、世界有数のテーマパークの内装などを請け負う、建築内装を一括管理する会社でした。入社後は資材部をはじめ、製材、塗装、金物、サイン、設計監理、特注家具など、すべての部門を回り一通り仕事を学びました。徹夜することもあり、仕事はしんどかったですね。25人いた同期も、翌年には7人しか残りませんでした。

色々な部門で仕事を学ぶうちに、インテリアデザインはすべての工程が分かるようになって初めてできるものだと知りました。当時は全体の工程を知る人材が貴重だったこともあり、私は現場を管理するスーパーバイザーとして活躍することができました。

漫画家になる道はもう考えていませんでした。お金を稼ぐこと、学びや経験を仕事に活かすことが大事だと思うようになったからです。何事にも時間をかけて下地をきちんとつくることが、仕事の道理だと考えていました。

25歳の時に、先輩に誘われる形で、スーパーバイザーとして独立しました。「いつまでも会社に使われるな」と言ってくれた先輩の期待に答えたかったんです。大手企業への出向や、様々なプロジェクトに携わる中で、インテリアデザインとは違った展示会のパビリオンブースの施工管理にも携わるようになり、徐々にコンベンションビジネスを知り、世界の広さや仕事の幅を知っていきました。

そんな中で、大手の広告代理店のコンベンション事業部と繋がりました。その会社が、展示会のパビリオンやモーターショーなどの現場のマネジメントが分かる人間を探していたこともあり、私の転職が決まりました。

コンベンションとは、企業の新製品の情報を発信する展示会や見本市、学会などの研究成果を発表する会議など、ヒト、モノ、情報などが一つのホールに集約し業界の商談をはじめとしたコミュニケーションの場を指します。コンベンションには各出展者ブースが設けられ、そこにたくさんの来場者が集まり、商談や情報取得、などソリューションの場として、様々な催しが行われます。

これまでやってきた建築内装の仕事は、与えられた予算内で組み立てる仕事、でも、コンベンションビジネスの仕事は、何もないゼロから生み出していく仕事、いかに企画がその業界にとって必要とする内容なのかが成功のカギとなります。

様々なコンベンションに携わる中、ついに出展者が1000社以上集まり、1億以上の予算が集まり、7万以上の来場者を迎える大きな展示会を達成できたんです。その業界のヒト、モノ、情報が一堂に介し、それぞれ様々な目的をもち交流し業界の発展につなぐ、こんなやりがいのある仕事は他にないと深く虜になりました。与えられる予算内でこなす仕事と、ゼロから生み出す仕事。リスクは大きいが生み出すほうが俄然やりがいがある。もうこれは前の仕事には戻れないと感じました。