直感を大切に、未知の世界に挑戦を!人を笑顔にし、自分もハッピーにする空間事業。

ソニーにて、Life Space UX商品のマーケティングや新体験の創出にチャレンジする伊良皆さん。これまで様々な局面で直感を信じて選択し、たどり着いたのは「空間」に関わる事業でした。社会人4年目、溢れんばかりのエネルギーを持つ伊良皆さんにお話を伺いました。

伊良皆 杏奈

いらみな あんな|コンスーマーエクスペリエンスプロデューサー(企画マーケティング)
ソニー株式会社TS事業準備室 コンスーマーエクスペリエンスプロデューサーを務める。



※本チャンネルは、Life Space UX(Sony)の提供でお届けしました。


Life Space UX
Life Space UXは、今ある空間をそのままに、新しい体験を創出するコンセプト。 それぞれが心地よく過ごせる大切な場所、それが居住空間。私たちはその空間をもっと快適にするために、空間のあり方そのものを見つめ直し、「LED電球スピーカー」「グラスサウンドスピーカー」「ポータブル超短焦点プロジェクター」など、空間そのものを最大限に生かした製品を提案しています。

「なんくるないさ」の精神


沖縄県宜野湾市で生まれました。活発な性格で、常に外で走り回っていましたね。元気があり過ぎて、大怪我をして救急車で運ばれることも何度かありました。何かを思い立ったら次の瞬間には行動に移していたので、失敗も多かったんです。両親はとても心配だったと思いますが、私自身はあまり気にしていなかったですね。

何をする時にも躊躇しないというか、「なんくるないさ」と前向きに捉えているのは、父の影響だと思います。つらいことや悲しいことがあるたびに、「なんでも経験すること。嫌なことも含めてすべて意味があって将来必ず生きる」と言ってくれて。その考え方が、自然と身についたんだと思います。

4歳の頃、アメリカンスクールに通い始めました。母からの「行ってみる?」という質問に対して「行きたい!」と答えたことがきっかけで、すぐに行くことを決めました。英語は話せませんでしたが、不安はありませんでした。実際、外で走り回って遊んでいたので、英語を話せなくてもすぐに友達ができました。

ただ、使わなくても大丈夫だった分、英語は全く上達しませんでした。毎日、お風呂で母と英語のクイズをしていたんですが、「ブルーは日本語で何色?」と訊かれて「白!」とか答えてましたからね。

そんな調子だったので、アメリカンスクールに通い始めて2年目の頃には「このままの英語力では進級が厳しい」と言われてしまったんです。それから1年間は、日本では珍しい、学校に通わず家庭で学習する「ホームスクール」に行き、アメリカ人の家庭で個別指導を受けました。そこで英語の発音はかなり上達したと思います。

その後、アメリカンスクールに戻り、小学5年生の時に地元の小学校に編入しました。アメリカンスクールは、高学年のクラスは数人しかいなかったので、親の意向で、どこかのタイミングで日本の学校に通う予定でした。日本の学校に通うのは、最初は不安でしたね。音読をする時など、発音を笑われるんじゃないかと思ったんです。実際はそんなことはなくて、すぐに友達ができたんですけどね。

勉強は嫌いでしたが、いい成績を取るとご褒美をもらえることに味をしめて、中学生の頃には自分から勉強をする癖が身につきました。3年生の時には英検準一級を取りました。中学生で取るには難しい資格と言われていましたが、「不可能なんてない、誰にでも必ずチャンスはある」という言葉を頼りに頑張りました。誰に言われた言葉かは忘れてしまったのですが、英検に受かったことで、その言葉に確信を持ったことを覚えています。

友達づくりに苦労したアメリカ生活


高校2年の頃に、1年間のアメリカ留学に行きました。アメリカには、小学生の時に一度だけ行ったことがありましたが、暮らすのは初めて。出発の日が楽しみでしたね。

ところが、アメリカでの生活は、想像以上にハードでした。それまで一度も苦労したことがなかった「友達づくり」に苦労したんです。すでにクラスの中ではコミュニティができあがっていたので、どう入っていけばいいのか分からなかったんですね。また、日本だったら留学生は珍しくて、いろんな人が声をかけてくれるかもしれませんが、アメリカでは多様な人種の人が一緒に生活しているので、新しい日本人がひとり来たくらいでは注目されず、話しかけてもらえませんでした。

初めのうちは、自分から積極的に話しかけたんですけど、会話もうまくいきませんでした。英語力の問題だけではありません。ジョークを言われても、文化的背景が分からないので、何が面白いのか理解できないんです。居心地の悪さから人に話しかけられなくなり、ひとりぼっちになっていきました。

朝学校に行くと、校舎が開くまでロビーのような場所で待機するのですが、その時間が一番つらかったですね。ひとりぼっちでベンチに座って、じっと待っているんです。日本では友達に囲まれていたこともあって、そんな自分が惨めでした。

ホストファザーは「日本で杏奈のことを愛してくれている家族や友達を思い出してみて。みんなを代表してここにきてることを忘れずに頑張ろう」と言って支えてはくれましたが、いくら頑張ろうと思っても、つらいことには変わりません。

そんな時、どうにかして状況を変えようと思って始めたのが、陸上でした。元々運動は好きだったので、スポーツという共通の話題をつくることで、周りと仲良くなれるんじゃないかと思ったんです。

実際、陸上部に入り、一緒にトレーニングをするようになると、すぐに打ち解けることができました。長い時間一緒に過ごして、厳しい時間を共に乗り越えることで、仲間意識を持ってもらえたんですね。それからは、生活が一気に楽しくなりました。

アメリカでは、日本よりも多様な人と出会い、自分の中で価値観が広がったと思います。同性愛者や、トレーラーハウスに住んで狩りなどをして暮らす人。苛酷な状況で生きている友人もおり、その友人から「杏奈と出会って、こんなに楽しく過ごせるんだと初めて知った。子どもが生まれたら、杏奈のことを絶対に話すよ」という手紙をもらいました。嬉しかったですね。私は、その子といる時も何かを意識していたわけでなく、単純に楽しく過ごしていただけです。それでも、自分が楽しんでいることが、誰かに幸せを分け与えることができたというのは、ある種の自信に繋がりました。

ドイツ留学で気づいた生き方の選択肢


留学を終えて日本に戻った時は、逆カルチャーショックが大きかったです。成田空港から電車に乗っている時、車内の雰囲気があまりにも暗すぎて、気がつくと涙が流れていたんです。自分でも驚きましたね。

日本の空気が合わない、高校卒業後はアメリカの大学に行きたい。そんな気持ちもありました。ただ、アメリカの大学に行ったところで、その先の進路は決まっていなかったですし、勉強したいことも特にありませんでした。そんな状態でお金をかけて留学するわけにもいかないので、東京にある国立大学を目指して受験勉強をしました。

しかし、センター試験で失敗してしまい、志望校を変更する必要が出てきました。どうしようかと悩んでいると、母が、秋田にある国際教養大学のことを思い出し、一緒に調べ始めました。

そこで、国際教養大学のWEBサイトを見てみたのですが、すぐに「私のための大学だ!」とピンと来たんです。一番初めに、学校の教育方針として掲げられていた「世界に羽ばたくグローバル人材を育成」というキーワードが響きましたね。アメリカでの経験も踏まえ、日本とアメリカを繋げたいという想いがあったからだと思います。

加えて、授業がすべて英語で行われるところや、少人数生で授業が進むところなど、グローバル人材の育成を本当に実現させる環境やカリキュラムに魅力を感じたんです。元々、日本の大学に対しては、学生が入学後は勉強せずに遊んでいる印象があって、違和感を感じていました。それに対して、国際教養大学は必死に勉強しないとやっていけない環境だったことも含めて、自分の中で何かのスイッチが入りましたね。

その日から、志望校を変更。国際教養大学一本に絞って対策をしていき、無事合格できました。

大学生活は、思い描いた通り充実したものでした。生徒はみんな大学の敷地内に住んでいるので、文字通りファミリーみたいなんですよね。24時間いつも一緒で、勉強も、遊びも、運動もみんなでやって。遊ぶ場所がないような田舎なので、学内を盛り上げるために、自分たちでイベントを開催したりもしました。

大学2年の時には、ドイツのマンハイムに留学しました。2回目の留学ということもあり、今回は自分の中で一つ大きな目標を掲げました。それは「新しいことに挑戦する!」ということです。地図とコンパスだけを頼りに20日間かけて初めての自転車旅をしたりと、いろんなことをしました。

ドイツで様々な経験をする中で、一番衝撃を受けたのは、日本との生き方の違いでした。日本では、大学を卒業したらそのまま就職するのが一般的です。ところが、ドイツやヨーロッパの多くの大学生は、卒業後すぐに就職するのではなく、インターンをしたり、旅に出たりすると聞きました。様々なことを通じて、自分が本当にやりたいことを見つけるんです。

日本と比べて生き方の選択肢が多いことに、衝撃を受けました。同時に、自分の人生をどうしていきたいのか、真剣に考えるようになりました。

正直、私は将来やりたいことが明確にはありませんでした。ハッピーな生活を送りたいとか、人の笑顔を見ると自分がハッピーになるとか、漠然とした想いはありましたが、具体的な仕事は浮かばないんです。そのため、卒業後は就職するのではなく、インターンシップをしながらやりたいことを見つけようと考えていました。

一方で、就職活動は会社を知るチャンスなので、大学で行われる企業説明会には出ることにしていました。わざわざ企業が学校に来て説明会をしてくれるなんて、チャンスですから。

説明会に参加していると、次第に就職活動をするのと同じように、自己分析もするようになりました。私の中にはあったのは、漠然とした「海外で働きたい」という想い。ただ、考えてみると、そもそも日本の会社についてもよく知らないことに気づきました。

残業が多いとか、若手は限られた範囲の仕事しかできないとか、勝手なイメージを描いていましたが、実際に働いたことがないので、本当かどうかは分かりません。ドイツにいる時に日本の会社について訊かれたときも同様のことを答えていたんですが、働いたこともないのにイメージだけで語るのは良くないですよね。日本の会社についてちゃんと知るために、就職すると決めました。

目に見えるかたちで役立ちたい


就職すると決めてから、業界はメーカーに絞りました。自分が関わった商品が、目に見えるかたちで誰かの役に立ったら嬉しいと思ったんです。また、大学ではビジネスを専攻していて、マーケティングに興味がありました。授業の一環で、消費者の声から新しい商品を企画提案することがあって、仕事でも新しい商品を作ってみたいと思っていました。

色々なメーカーを見た中で、説明会で一番ピンときたのがソニーでした。多くの企業が「グローバル化が大事」と話していましたが、どこの企業も言葉だけが先行して実体が追いついていないような気がしていたんですけど、ソニーは社内体制がグローバルで、社員の個性を生かす環境があることや、オープンマインドな人が多いと感じたんです。他にも、1年目から裁量を持って仕事ができるところや、職種別採用も魅力的で、とにかく「ここで働きたい」と直感的に思ったんですね。

希望通りマーケティング職として入社して、1年目は海外マーケティングの事業部に配属されました。特定の商品を担当するのではなく、様々な商品を横断的に扱う部署です。会社全体の商品を把握することができたのと、部署や国の垣根を越えて様々な人と関わることが多かったので、人脈はものすごく広がりました。海外での新商品導入のイベントを企画したり、カタログの製作を担当したりと、入社前に想像していた通り1年目から責任のある仕事を任せてもらい、充実していましたね。

2年目には、あるサービスの海外マーケティングにも携わりました。試行錯誤しながらも、想定通りの結果が出た時は嬉しかったですね。次第に、今度はより上流の、商品やサービスそのものの企画がどのように行われているのか気になり始めました。今自分がマーケットから得ている情報や知識が商品企画にどう生かされていくのか学んでみたい。そう思ったんです。

さらに、領域として興味を持ち始めていたのが「空間」でした。私の父は一級建築士で、昔から父がする家づくりの仕事を間近で見ていた影響だと思います。自分でも模様替えなどは好きで、空間づくりを通して人を幸せにするような商品を作りたいと考えていました。

そんな時、空間に関わる商品を作っていて、かつ、企画からマーケティングのすべてを行うことができる部署と出会ったんです。それが、今所属している、TS事業準備室です。その部署では「Life Space UX」という生活空間での新しい体験を提供することをコンセプトとした新しい商品を作っていました。

空間に関わるところで人をハッピーに


現在は、Life Space UXの商品の一つ、「グラスサウンドスピーカー」のマーケティングを担当しながら、新しい体験(商品)を生み出す仕事も同時に行っています。

グラスサウンドスピーカーは、円筒状のランタンのような形で、「温かい光」と「今までに聞いたことのない透明感のある音」を融合したような商品です。有機ガラス管の端面を物理的に叩いて振動させて音を奏でるので、通常のBluetoothスピーカーとは異なる、まるで目の前で誰かが歌っていると感じるような音色を表現できます。また、360度どの方向にも音が広がる構造なので、部屋の隅々まで音が行き渡り、部屋中を音で満たす体験ができる商品です。

私がいいなと思うポイントは、グラスサウンドスピーカーひとつあれば、空間の雰囲気を瞬時に変えられることです。音だけではなく光(LED)も一緒になっているので、即座に空間に癒やしを広げることができます。音質の良さも、一度聞けば実感してもらえると思います。

今の仕事は、自分でやることの幅が広いですね。商品の体験会を企画、メディアとの連絡、映像制作の立案、マーケティング施策の仕込と、なんでもやります。新しい体験を生み出す仕事も、ユーザーから届く声を生かしながら1から検討することができて、まさにやりたかった仕事です。自分がやりたいと手を挙げた仕事にどんどん挑戦できて、毎日楽しくて仕方がないですね。

Life Space UXの仕事を始めてから、父の仕事やインテリア、住宅関連のことなど、空間に関わる様々なことに、ますます興味が湧いてきて今は、インテリアコーディネーターの資格の勉強を始めました。

空間に関わることは、これからの仕事の軸になっていくんじゃないかと考えていますが、根底にある、周りの人を笑顔にしたい、ハッピーな気持ちにしたいという想いは変わっていないですね。昔から、サプライズなどをして人を喜ばせるのは好きだったので、仕事でも同じように、部屋や空間を演出して人に喜んでもらいたいです。これからも直感を信じて、その時に「これだ!」と思ったものに「なんくるないさ」の精神で取り組んでいきたいです。

2016.11.02

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