私は三重県松阪市に生まれました。小さい頃から記憶力があまり良くなく、算数の公式や九九のかけ算を覚えるのが苦手な小学生でした。しかし、ある時九九の表を見ていて、途中からは数字が反対になることを発見し、「これは半分しか覚えなくていいんじゃないか!」と気づいたんです。なんだかすごい真理を見つけたような感覚があり、それ以来、人から常識だと言われている物事には裏道があり、時にはそれが近道になるんだということを感じました。一度反対に唱え直して考える分、計算が遅いというデメリットはありながらも、常識への逆転的な発想を得た大きな経験でした。

その後、高校生になると、元々本が好きだったこともあり、将来はメディア関係の仕事に就き、人に何かを伝える仕事がしたいと考えていました。ぼんやりとですが、そういった仕事は楽しいだろうなという感覚があったんです。ところが、志望していた大学の文学部の試験に失敗し、結果的には友人が見つけてくれた東京の私大で、二次試験を受け入れていた経済学部に進学することに決まりました。

そんな背景もあり、大学へのモチベーションは低く、全く勉強をしない学生生活を過ごしました。全ての授業を「可」の評価でギリギリ単位取得につなげるということを続け、マーケティングのゼミに入ってからも、担当の教授が一番不得意な分野をテーマを扱うことで放任してもらおうと考え、女性の購買心理についての論文を書きました。男性中心の社会ながら、消費行動は女性が中心になっていくという主旨だったため、より一層逆転の発想が磨かれていきましたね。

その後、就職活動ではメディアや本への関心から出版社を考えたのですが、結局受かったのは志望度の低い教科書会社のみ。結果的に、付き合いのあった方の縁で、地元の三重県鳥羽市にある鳥羽水族館で働くことに決めました。当初考えていたのとは全く異なる業界だったものの、水族館も捉え方次第ではメディアなんじゃないかという思いもありましたね。