組織の中でも活躍する、公務員イノベーターの人生まとめ3選

「公務員」「お役所仕事」と聞くと、なんとなく保守的なイメージを思い浮かべてしまいますが、そんなこともないんです。

あなたの知らない、イノベーションを巻き起こす方々を紹介します。








その中でも、IT産業の振興に携わる部署に配属されてからは、特にのめり込んでいきました。
島根県はプログラミング言語「Ruby」の開発者、まつもとゆきひろさんが住んでいらっしゃることもあり、
Rubyを軸としたIT産業支援に力を入れているのですが、
業務に取り組む中で、だんだんと産業構造に課題を感じるようになっていったんですよ。

僕が所属していたのは、島根県内のIT産業の売上高・雇用を増やすことがミッションの部署なのですが、
支援先の多くが、東京など、他のIT企業からの多重下請け先だったんです。

請け負い型の業務だと、どうしても発注元へ納品することがゴールになってしまい、
最終的な利用者への価値提供に目が向いていないんですよ。
そのような、産業自体が抱えるひずみを目の当たりにし、
もっと利用者に寄り添った仕組みにできるんじゃないかと思うようになったんですよね。

当時、企業では安否確認の手段として、TwitterやFacebookが機能していたので、
役場もITツールを使えばいいのにと思い、持ちかけてみたんです。

ところが、

「そんなの、使い方が分からない」

と言われたんです。
正直、カチンときたんですよ。
市民のことを考えたら、勉強すればいいのに!と思ったんです。

そんな思いを抱え東京に帰って一週間ほど立った頃、
冷静に考えてみると、「使えばいいじゃん」というのはIT側の意見なんじゃないかと思うようになったんですよ。
プロダクトは作っているものの、誰もが使える状態になっていない。
相手に寄り添う視点が欠けているという意味では、自分たちも同じだったんです。



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基本的に公務員は3年周期で異動になるのですが
税務課で2年半弱働いた頃に、突然人事課に呼び出されて、

「君、2年間シンガポールへ行ってくれないか?」

と言われたんですよ。
正直英語もできなかったですし、今まで海外で働くことなんて考えたこともなかったので、最初は戸惑いました。

でも、外国人向けの日本語教師である妻の希望や、海外経験のある県庁の先輩などの話を聞いて、
県庁の職員として海外で働くことなんてめったにない機会だと思い、
最終的にシンガポールに行くことにしたんです。

シンガポール政府というのは子供のころから選び抜かれた超エリートが集まった組織なんだということがわかりました。

でも、そのトップレベルの官僚たちが自国の政策をより良いものにするために、
積極的に自分の足を使って様々な場所へ赴き、必死に現場の声を吸い上げて政策を立案する、
という泥臭い働き方をしていたんですね。

トップレベルのエリートの官僚たちの

「まずは現場に行く、まずはやる」

という姿勢があまりに衝撃的だったのと同時に、

「この泥臭さを岐阜県に持ち帰って、自分の仕事に取り入れよう」

と強く思いました。



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進学して修士一年の頃、このまま教師になれるかすごく不安を感じるようになったんですよね。
周りに素敵な人がたくさんいましたし、知識も足りなかったんです。
迷う気持ちから、並行で就職活動をして、選考にも臨んでいました。

ところが、お世話になっている大学の先生に相談したときに、

「何やってるの?」「君は本当にやりたいことはなんだったの?」

と言われたんですよね。
その時に、中途半端だった自分の覚悟が決まった気がします。
教師になることを改めて決心し、その恩師の紹介で、
ある中高の非常勤講師を務めさせていただくことになりました。

でも、うまくいかないのはあたりまえだったんですよね。

相手を見ていなかったんです。

一番大切な、生徒の視点に立つことができていなかったんですよ。
伝わるわけがない授業をしていたんですよね。

それに気付いてから、ある時、授業をしない時間を作ったことがありました。
それまでの自分の姿勢を謝り、生徒達にとって必要で、関心がもてることを色々と語ったんです。

その時から、少しずつこちらを向いてもらえるようになって来たんです。
授業の内容も一新し、「求められているもの」をとにかく考えました。
そうしていくことで、段々生徒と向き合うことができるようになっていきました。



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2014.10.09