【イベントレポート・another life.キャリアトーク#1】小さく行動し続けたことで、好きな仕事が見つかった!?
自分らしいキャリアを歩む方々をゲストに迎え、彼らの"共通点"から自分らしいキャリアの築き方を考える「another life.キャリアトーク」。初回は小さく行動し続けたことで、好きな仕事が見つかったお二人をゲストに招き、2021年12月14日に開催しました。本イベントの様子をレポートします。
【ゲスト】
今永 典秀さん
名古屋大学経済学部経済学科を卒業後、住友信託銀行へ入社。地元名古屋へUターンするのを機に東和不動産(トヨタグループ)へ転職。その傍ら、グロービス経営大学院大学入学、NAGOYA×FOREVERを設立し代表を務める。その後、卒業後は岐阜大学地域協学センター特任助教に就任し、次世代地域リーダー育成プログラム産業リーダーコースで大学生と地域企業と連携した実践教育・キャリア教育を行う。2019年から名古屋産業大学現代ビジネス学部准教授、2021年4月より経営専門職学科准教授。日本インターンシップ学会理事、グローバルビジネス学会理事も務めている。
和泉 詩織さん
1987年、北海道森町生まれ。高校卒業後、信用金庫で5年間勤務。退職後、東京へ。2011年、キャンドル講師として活動を始める。3年後に帰郷。野外演出や講師として活動。2017年、大函館市末広町の大三坂ビルヂングに「710candle(ナナイチマルキャンドル)」を構える。同時期に腸内環境改善の講師や女性起業支援、食育等さまざま活動に参加。2019年、710candleを函館市谷地頭町へ移転。現在は和綿や花の栽培にも取り組んでいる。
行動を始めたきっかけは?
――和泉さんがキャンドルの道を歩み始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
和泉:人生が嫌になっちゃったときに、キャンドルに出会ったんです。そのときは、母親が借金をつくって失踪したりいろんなことが起きて。銀行員として働いていたんですが、仕事も上手くいかず何もかもが嫌になってしまっていて。そんなある夜、いつも行くコンビニで一冊の本に出会ったんです。習慣について書いている本で、「キャンドルを灯して湯船に浸かるといいよ」と書いてあって。なぜかわからないんですけれど試してみようという気持ちになりました。
初めてお風呂場でキャンドルを灯した時に、心の底からリラックスできて。「あ、人生ってこうやって変わっていくんだな」とひらめいたんです。自分の小さな行動一つで、人生は変わっていくんだな、と。それからですね、キャンドルの魅力に惹かれるようになったのは。
――そのときからキャンドルを自分でつくりたいと思っていたんですか?
和泉:キャンドルを見かけたら買うくらいで、つくろうとは思わなかったです。きっかけは、その本を書いた佐藤伝さんに会いに行ったことでした。東京に行き、先生がやっている講座を受けようと思ったのですが、高額で。お金がなかったので、申し込んでは取り消してを繰り返しました。それを見て「何か理由があるんじゃないか」と電話をくださったのがきっかけで、分割払いにしていただいて講座に参加することになりました。
それから、ご縁があり先生の近くで、3年ほどだったでしょうか。仕事をお手伝いさせていただきました。ある日経営者向けの朝食会で「みなさん、生の火を見ていますか?」とキャンドルの話をしてくださったんです。それを聞いて、点と点が線になったような感覚でした。キャンドルが自分の心にアカリを灯してくれた経験を、伝えていきたいと思いました。
――お仕事になるまで、どれくらい時間がかかりました?
8年ぐらいかかりましたね。本当に少しずつ、時には流されながら、「やれることを中途半端でもいいからやる」と決めてやっていましたね。
よく起業の相談を受ける際、「まだ中途半端で」「もう少し形ができてから世に出したいです」といった声を聞くのですが、そんな必要は全くないと思っていて。やっている間に人のご縁で世界が広がっていく経験を私自身がしたので、中途半端でもやらないよりは全然良いと思っています。
――ありがとうございます。今のお話聞きながら、今永さんはまさにそのスタイルなんじゃないかなと思っていて。最初から「絶対に教育をやる!」と掲げていたわけではないですよね?
今永:ないですね。
――教育に関わり始めるきっかけはなんだったんでしょうか?
今永:大学生のときに後輩の就活支援を行う「就活サポーター」という団体に所属していたのですが、その後社会人になってからOB会を作ったり、学生向けに社会人が登壇するイベントをやってと言われたりしたのがきっかけですかね。せっかくなら仲間を集めて好きなことをやろうかなと。
――好きなことをやろうかな、と思ったときに何が浮かんだんですか?
今永:せっかくやるんだったら自分が大学生のときに「これがあったら良かったのにな」と思うものを作りたいなと思って。考えてみると、学生って就活のとき人事の人としか会わないじゃないですか。そうなると利害関係があるから本音で話せないし、気になることも聞けない。フランクにくだらない話もできるような場を作りたいな、と。オン・オフどちらも楽しめるように座談会と飲み会の2部構成で、イベントを企画し始めました。
ただ僕自身、自分の過去については語れても、将来の夢や目標みたいなのがなくて。それが本当に嫌で、辛かったです。でも、いろんな人と出会ったり活動したりする中で、だんだん見つかってきたという感じですね。
――活動のなかでどんなことが見えてきましたか?
今永:「頑張る人が報われる世の中を作ること」や「共にに学び成長する場を作ること」が自分がこれからの人生をかけて目指すことだと気づいていきました。
それが見つかったタイミングで、ちょうど岐阜大学の教員を募集しているのを友人経由で知って。「岐阜大学が産学連携教育に興味のある民間出身者を募集している」と聞き、これまでの仕事経験の企業との連携や、趣味でやっていたキャリア教育に関連した内容が実践できる環境だと思い応募し、採択されました。
――我々としては今日、お二人に共通点があると思ってお招きしたのですが、話を聞けば聞くほどすごい逆だなと思い始めてきて。今永さんはさまざまな活動に取り組む中で、志に気づき、それが仕事になった。逆に和泉さんの場合は志が先にあって、試行錯誤して仕事にした。面白いですね。
失敗を失敗で終わらせない
――和泉さんは仕事にならない期間が8年あったと仰っていましたが、やめようと思うことはなかったんですか?
和泉:基本的にはお金にならなくてもいいかな、と思ってやっていました。ただそれで食べていけたら幸せだろうなとは思っていて、コツコツ努力は続けていましたね。
たとえばうまくいっている人、すごいなと思う人に「どうやったら仕事はうまくいくんですか?」と質問して、「自分だったら何ができるかな」と落とし込んで、お金が無いなりに一個一個真似してやっていましたね。
最初はA4の紙を名刺サイズに切って自分の名前を書いたり、プロフィールシートを手書きで作って配布したり、そういうことから始めて。あとは無料でキャンドル教室を企画して実績をコツコツ貯めながらマルシェとかに出て人脈を作っていましたね。
――小さくても行動し続けていたんですね。
和泉:めちゃくちゃ失敗だらけで思い出すと吐きそうなんですけれど(笑)。
――覚えているエピソードがあれば教えて欲しいです!
和泉:佐藤伝先生に「キャンドルの専門家と名乗ってみなさい」と言われたので、やってみようと思って「キャンドルの専門家 和泉詩織 制作・製作体験のご依頼はこちら」とメールアドレスを書いたんですよ。そうしたら白金に住むマダムから「白金でやってくださる?」と依頼をいただいて。
もうすごく気合が入っちゃって、見栄えが良いからと、未だに一度しか成功したことない技法で開催したんですよ。そしたら一人もうまくできなくて、途中で怒って帰っちゃう方もいて。大失敗です。キャンドルも見たくない時期が何ヶ月も続いて、「自分には向いていないんじゃないかな」と思い悩んだ時がありましたね。
――自分だったら心が折れてしまうかも…。
和泉:でも、改善点が山ほどあったんですよね。なのでしばらく経ってから落ち込んだ自分を励まして、まず現実を直視して改善点を洗い出しました。それでそのときの白金のマダムに連絡して、お詫びと共に、次やりたいこととなぜそれをやりたいのかを伝えて、もう一度製作体験を開催しました。
それがすごく好評で毎月開催するようになって、東京の小学校にも呼んでもらえるようになって。なんか失敗が失敗じゃなかったんですよね。なかったことにしないでちゃんと受け入れて、苦味を味わって反省して進んだから今があるなと思っています。
チャンスをつかむのではなく呼び寄せる
――新しいことを始めるときに、意識していることはありますか?
今永:another life.profileを作成したときに「実践する大学教授(実務家教員)」と書いてもらったんです。その後、実務家教員として取材を受けたり学会のシンポジウムに呼ばれたりするようになりました。
当時はそれほど有名な実務家教員ではなかったかもしれません。でも「そうなりたいな」と思う肩書を、少し早いタイミングで出してもらったんですね。世の中の時間軸に従うのではなく、少し無理してでも背伸びをしてでも、先に取りに行く。後はやり続けて、かなえるだけなので。最近では思い込むことすらなく、当然かなうと思っています。
今永さんのanother life.profile。
――チャンスをつかむのではなく、チャンスを呼び寄せるんですね。
今永:今できることを一生懸命やることを心がけています。研究領域に関しても、まだまだこれから頑張って努力しなければいけないレベルですが、いろんな学会で発表したり、投稿したり、遠慮せずに挑戦し続けています。気がついたらインターンシップの論文なども数本書いていましたね。まただんだん書けるようになると、書籍を出さないかと声をかけてもらったり、セミナーの講師や理事のオファーをいただいたり、後からお仕事がついてくる感じがしています。
和泉:すごく共感します。私は最初、できない理由を探しまくっていて。「だからできない、あれだからできない」とそればかりだったんですけれど、今は真逆でできるとしか思っていないです。実現するための手段を考えて、人を探して、行動するだけだなと思っているので、頷きすぎて首が取れそうでした(笑)。
――ここからは参加者の質問に答えていきたいと思います。「ご自身の経験のなかで、他の人にも展開できる部分が教えてください」とのことですが、今永さんどうでしょうか?
今永:自分の心に手をあてて、自分にとって何が幸せなのかを突き詰めながら行動したり、最適なものを選んだりすることでしょうか。
和泉:同感です。私の場合はキャンドルの仕事をしているんですが、忙しい日々を過ごしていると、ふと「あれ、自分って本当は何をしたかったんだっけ?」と思う時があるんですよ。そういうときは、一旦ストップして自分の胸に手を当てて「自分は本当はどうありたいのか」「どう生きたいのか」と振り返るようにしています。
あと、これは「やりたいことが見つからない人はどうしたらいいですか?」という質問にも重なるんですけど、私は人からよく頼まれることと自分がやっていて楽しいことがイコールになったら十分仕事になり得ると思っていて。たとえばよくお菓子づくりを頼まれるとか。日常の小さなところから、幸せややりたいことのヒントを見出していくのは大事なんじゃないかなと思います。
――続いて「心が折れそうになった時、弱っている時に何をしますか?」という質問。和泉さん、いかがでしょう?
和泉:弱ってる時は、自分と志が同じ人と会うようにしています。自分一人だと考えたこと、感じたことが飛んでいっちゃうけど、誰かに話を聞いてもらうとそれが壁となって自分に返ってきます。自分は本当はこう思ってたんだとか、自分は本当はこれがやりたいんだとか見えてくるので。その怖さとか弱さに蓋をしないで、自分が徹底的に安心できる人と安心できる場所で過ごすのはとても大事にしています。
今永:僕の場合はあんまりそこに向き合わず、違うことをやってストレスを逃がしている感じですね。メリハリをつけるというか。あとは温泉に行ったり、誰かとごはんにいったり、早く寝たり。少しゆとりを持ちながらやった方がクオリティが高いものができるのかなと思っています。
和泉:たしかにずっと同じ場所にいると、その問題がこの世の全てみたいに見えるけれど、環境を変えてみると視野が広がって心が楽になったりしますね。
――最後に「何を大切にしたいか、その上で今後やっていきたいことは?」、この質問で締めましょう。今永さん、お願いします。
今永:今後大切にしたいものは、「愛」でしょうか。「愛」を補充するために、和泉さんのキャンドルを注文しました(笑)。プレゼントって、いいですよね。「あなただけに」とか「特別な人に」とかそういう関係性をどれだけ築いていけるかはすごく大事だなと思っていて。目先の誰かの心を引き止め、頼られて、頼って、好きになって、好かれて。そういう延長に、自分のビジョンの実現に繋がるかなと思っています。
和泉:私も大切にしたいのは、愛。例えば、依頼を受けたらその人の期待を上回りたいと思うし、『モノ』を売っていたとしても、そこには沢山の『仕掛け』『ストーリー』『想い』が乗っていて。受け取った人をいかに幸せな気持ちにさせられるか!を日々考えています。
それがビジネスでも人間関係でも成功に繋がっていくと思うんですよね。だから、やっぱり愛だなと思っていて。
どうしたらもっと喜んでもらえるかな、どうしたらもっと笑顔にさせてあげることができるかなと考えながら事業を展開していけたら、たぶん全部がうまくいく。お金は感謝状だと思っているので、じゃんじゃんお金もふってくるし、循環していくし、楽しく一生を過ごしていけるだろうなと確信しています。
――お金は感謝状っていい表現ですね。お二人とも、ありがとうございました。
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2021.12.28