【イベントレポート】未来をつくる、聞く力。〜個人の想いが世界を変えるとき〜

去る8月24日、Qeticの宍戸さん、小学館の青木さん、Makuakeの森さんをゲストにお招きし、「未来をつくる、聞く力。〜個人の想いが世界を変えるとき〜」を開催しました。参加いただいた皆さま、ありがとうございました。簡単にイベントをレポートいたします!


会場は、Book Lab Tokyo。「つくる人を応援する」というコンセプトのカフェを併設した本屋さんです。水曜日の夜、30名近い方にお越しいただき、素敵な空間は熱気で埋め尽くされました。










ゲストは3名。




”時代に口髭を生やす”WEBメディアQeticの宍戸さん。現在は自社・他社含めて複数のメディアの運営をしていますが、以前は音楽業界で、アーティストのプロモーターをしていました。




小学館の青木さん。漫画や雑誌の編集を経て、現在は「NEWNEWS」というアプリの制作や社内向けシステムの開発などをしています。




クラウドファンディングサイトMakuakeの森さん。キュレーターとして、クラウドファンディング起案者のサポートを行います。



3名に簡単な自己紹介をしてもらったあとは、早速パネルディスカッション開始。モデレーターの新條から、「それぞれのお仕事の中で、どういうシーンで聞く力が求められるか?」「インタビューに前に意識していることは?」「実際のインタビュー時、気をつけていることは?」と、次々と質問が投げかけられます。その中で、印象的だった話をいくつかご紹介します。





メディア運営に携わる前、音楽業界でプロモーターをしていた時から、聞く力は大事でした。アーティストをメディアに売り込んでいくためには、まずはメディアがどんなことを求めているかを捉える、つまり「聞く」必要があるんです。どんな切り口で発信すればいいかを理解しないことには、的確な売り込みができないんですね。(宍戸さん)





話をする時に、お互いに「緊張しない」状態を作ることを心がけています。緊張してしまうと、話したいことを話せないですから。こちらが営業する時だけでなく、営業を受ける時も、相手が緊張しないこと、場を和ませることを意識しています。本当にちょっとした、くだらない会話でもいいので、緊張をほぐすこと。折角お互い時間を使うのだから、深い部分、肝になる部分を話してもらえなかったらもったいないですからね。(青木さん)



最初に相手との関係性を作っておくために、「話を聞き切ること」を意識しています。話の途中で遮らずに、「、」「。」の句読点まで聞き切るんです。テレビの討論番組や会議で喧嘩している人は、相手の話を遮って自分の主張を押し出すんですが、それではダメですよね。最後まで聞き切ることを続けて、相手が落ち着いて話せる状態にして、深いところまで話を聞いていくんです。(青木さん)





初対面の時は、まず相手の性格や特徴をつかむようにしています。例えば、「この人は褒められるのが好きなんだな」と思ったら、ひたすら褒める。そうやって相手の気持ちが乗ってくる中で、大事なことを聞けたりするんです。(森さん)



聞き手としては、相手が気づいていないところ、見えていないところを引き出すことを心がけています。例えば技術者の人たちに話を聞くときは、テクノロジーに関してだけでなく、それがどういうシーンで使われるかとか、どういう形で生活を豊かにするかなど、少し違った切り口で質問するようにしています。(森さん)



トークが盛り上がり1時間半ほど過ぎたところで、コーヒーブレーク。BOOK LAB TOKYOさん特製のサンドウィッチは大好評でした。










後半戦は、参加者の方々から質問を頂きました。「事前準備をどこまでするべきか?」「何か失敗談はあるか?」「人との信頼感をどう深めているか?」「周りを巻き込める人物とは?」など、多岐に渡る質問をいただきました。





その中でも、「相手の深い部分、本質的な部分を引き出すためにはどんな質問を投げかけていますか?」といった質問もありました。



難しい質問にゲストも頭を悩ませつつも、「インタビューの場合、前半で相手がどんな人なのか人物像をしっかりと掴み、後半で深い質問をしていく」「相手がクリエイティブな人なら、変な小細工はせずにストレートに聞く。相手によって使い分けをしている」「相手との関係性が大事なので、あえて1回で聞き切ることにこだわらない」など、それぞれの観点から回答を頂きました。









新條からも、another life.のインタビューで意識していることを話しました。


質問を通じて、相手と同じ感情を共有できる状態にしていきます。そして、その人になりきった時に「自分だったらするであろう選択と、違う選択をしたポイント」に関して深く聞きます。また、物事を具体化することを心がけています。因数分解するというか、含まれる要素を細かく分解していき、「どこがその人にとって一番重要な部分なのか」を見つけることを心がけています。




最後に、聞く力を通して、どんなことをしたいのか、どんな世界を実現したいかゲストのみなさんに伺いました。




私の中で一番大事なテーマは「伝え続けていくこと」ですが、伝えるためには聞くことが本当に大事だと思っています。



きっかけは、大学時代に「知らせる」「知る」というテーマで論文を書くため、日本・アメリカ・イスラエル、それぞれの国の11歳の男の子3人に、自分の国や生活についてインタビューした時のこと。その時は「知らせる」ことで、世界が平和になったり、興味や関心を持ってくれればいいと思ってたんです。



インタビューで、最後に「自分の隣の国のお友達に一言メッセージを下さい」って、一言いってもらったんですね。



日本人の子は「みんな元気でね、ばいばーい」みたいな感じでした。アメリカ人の男の子はちょうど9.11のテロの直後だったこともあって「僕達が助けに行ってあげるから大丈夫だよ」みたいなことを言ったんです。イスラエルの子は、毎日レンガ造りをして250円とか生活費を稼いでいる子だったんですけど、「早くレンガ造りの生活から抜け出せるといいね」と言ったんです。その時に、知らせる、伝える前に、聞かなきゃいけないと思ったんです。



もし、イスラエル人の男の子に「他の国のみんなはレンガ造りをしていないよ」って言ったら、きっとこの子は明日からレンガ造りをすることに迷いが出ちゃうなって思ったんです。だから、伝えたい、知らせる前に、相手の話を聞かなきゃいけない。聞いた上で、それがどういう情報で外に出るのかをやらなきゃいけない。



私は最も重要なところを、省いて物を作ろうとしていた、伝えようとしていたと、その時に深く思ったんですね。



それが今も自分のテーマにあって。いろんなことで迷うことがあっても、その時のことを思い出します。聞くということが、伝えることにつながるんだなって。1対1で話を聞くって貴重な機会です。そのチャンスをたくさん作って、いいものを発信していきたい。



それが大きなテーマになっています。(宍戸さん)





最近、世界が大きく変わっていると感じます。僕が会社に入った20年前くらいって、先輩は年上であり、例外なく自分よりもものを知っている人でした。年長者でもあり賢者だったんです。ところが、世の中の動きは早くなり、”正しいこと”はすぐに変わってしまいます。特に仕事面では、積み上げてきた知識がすぐに役に立たなくなるんです。若い人も年寄りも、知識の面ではかなりフラットな社会になっていくだろうと予想しています。そういった社会になった時、聞く力が大切になると思うんです。年寄りだからと偉そうにするのではなく、若い人からも聞くことで、その時必要な知識を得ていく。聞く力と話す力、加えて相手を敬う姿勢みたいなものが将来大事になると思います。僕のこれからの目標は「立派なオトナになる」ということです。当たり前、かつ、しんどい未来なんですけど、そこに行くための聞く力だと捉えています。(青木さん)





自分の仕事で目指している世界で言うと、日本の技術を世の中に浸透させたい、ということですね。Makuakeはものづくり系のプロジェクトが多いのですが、日本にはすごい技術がたくさんあることを知りました。でも、伝え方が上手ではないんですよね。よく聞く話ですけど、スマートフォンなど現代で普及している海外で発明されたものは、10年前には日本のメーカーが作っていたみたいなことがたくさんあります。それってすごくもったいないと思うんです。私の仕事の価値は、すごい技術を持っている方から、技術の素晴らしさだけでなく、どういう使いみちがあるのか、世の中をどんな風に豊かにするのか、ということを引き出し、世の中の人に認知してもらい、普及するところまでお手伝いすることだと思います。職人さんが気づいていないところを聞き出し、表現することで、日本のいいものを世の中にちゃんと浸透させていきたいです。(森さん)



熱い想いを伺ったところで、2時間に渡るパネルディスカッションは終了。集合写真を撮影した後は、参加者の皆さんとゲストの方たちが自由に話す懇親会を行い、お開きとなりました。





another life.では、今後も定期的にイベントを開催してまいります。ご期待ください。



another life.運営事務局



<今後のイベント予定>

9/14(水) 19:00-22:00

テーマ:another life.で見つけた僕の原点(予定)

ゲスト:岡勇樹さん(NPO法人Ubdobe代表)

イベント申込はこちらから

2016.09.05