そんな生活を5年程送っていたある時、いつも私を可愛がってくれていた患者さんの具合が、急に悪くなることがありました。私ではない担当者が朝食を持っていき、身体を起こそうとした時に急に具合が悪くなったと聞きました。

この時、今までに感じたことのない恐怖感を覚えました。私は、人の命を預かる仕事をしている。それなのに、知識もなく、患者さんの状況を知らずに接するのは、なんて怖いことなのかと。

そこで、ちゃんと勉強しようと考え、半日制の准看護師学校に通い始めました。朝は病院で仕事、昼は祖母にお昼ごはんを食べさせに帰り、午後は学校と、忙しい生活を2年ほど送りました。さらに2年間、全寮制の正看護師学校にも通い、無事国家資格を取ることができました。

その後、整形外科で2年ほど働いた後、ICUで仕事をするようになりました。大きな病気や事故に合った患者さんの症状が出始め、全身管理を必要とする時期。その中で、日常生活に戻るためのリハビリなどをサポートするんです。

高度な知識が求められることも多くて、心電図すらよく読めなかった私にとっては、かなり大変な仕事でした。そのため、仕事以外の時間は勉強に充てるようになり、無我夢中で仕事のことを考えるようになったんです。

ただ、そんな状況も、数年経つと、少し余裕が持てるようになりました。仕事は淡々とこなしつつ、医療系の資格の勉強をしてみたり、プライベートで山登りや旅行の計画を立てたりと、色々「あれやりたいな」と考えていました。