本を出版してからは、ありがたいことに読者の方からお手紙をいただいたり、イベント等でお話する機会をいただき、本当に嬉しい反響をいただきました。特に、想定していたよりも若い方の反応が大きいことに驚きましたね。医療関係者の方や医療系の予備校、がん患者の方が集まるイベントでも話をする機会をいただき、本当にありがたく感じています。

正直、医者というある種の既得権益に守られた立場では、このように発信することのメリットはありません。それどころか、自分のキャリアの可能性が閉ざされたり、クビになったりする覚悟で執筆をしました。「死を想う」というメッセージを多くの人に伝えるのと同時に、秘密に守られた医療業界に風穴を開けたいというモチベーションもあります。あとは、なんといっても一人の外科医として、とにかく腕を磨き、「治せる医者」になりたいですね。今でも同年代の外科医よりも数多くの手術をこなしている自負はありますが、より一層技術を高めていきたいです。

「一人でも多くの人の、その時の苦しみや哀しみが減ること」私の願いはただ一つ、それだけです。そのために、これからも外科医として働くことに加え、様々な方法で発信を続けていきたいと思います。そうすることで、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、「いつ死んでも後悔する」ように、熱狂し続けて生きていくのが理想です。