人は簡単には振り向いてくれない。「あなたのために」から始まる自分ブランド another life.academy説明会 ゲスト:山本 将裕さん

「自分の物語を生きる」というコンセプトの元、1300名のライフストーリーを配信し、累計500万人以上の読者の方と人生経験のシェアリングを行ってきたanother life.が、個人で活躍することを目指す方向けの学校「another life.academy」を立ち上げます。

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説明会では、実際にご自身のブランドを見つけて様々な分野で活躍されるロールモデルとなるゲストの方をお招きし、トークセッションの形式でお話を伺いました。

【ゲスト】
NTTドコモ イノベーション統括部
ONE JAPAN共同発起人・共同代表
山本 将裕さん


2010年にNTT東日本に入社。初期配属である宮城県石巻支店では東日本大震災を経験。ホームレスになりながらも通信インフラの震災復興に尽力。2014年より本社ビジネス開発本部へ異動、2015年よりNTTグループ内組織活性有志活動「O-Den」を組成。翌年には、大企業若手・中堅社員を中心とした企業内有志団体が集う実践コミュニティONE JAPANの共同発起人となる。現在は共同代表。2019年にはONE JAPANがBEYOND MILLENNIALS2019、内閣府オープンイノベーション大賞経団連会長賞を受賞。
2016年経産省のイノベーター育成プログラム「始動」2期生。2017年より有志ボトムアップのプロジェクトでNTT東日本アクセラレータープログラムLIGHTnICの立上げ、J-Startup Supporters。ボトムアップから初の組織化を実現。数々ベンチャー企業との協業による新規事業創出を手掛ける。2020年3月31日に退職。独立し、フリーランスでスタートアップのアクセラレーターを実施。9月にNTTグループに出戻りしNTTドコモに参画。39Worksを中心に新規事業開発プログラムを運営。

発信はボディーブロー。地味な積み重ねがジワジワとブランドに繋がる。



新條:今日のテーマは「個の時代、大企業の中と外で活躍するために必要なこととは?」と掲げております。参加される方も、会社の中でポストや役割をお持ちになりながら、個人活動にご関心がある方が多い印象です。その辺りを念頭に置きながら山本さんご自身のお話を伺っていくと、プロフィールとも重複しますが、元々NTT東日本さんから今はドコモさんで、一時期フリーランスという形だったじゃないですか。当時スタートアップのご支援とかも含めて、山本さんが退職したら何か依頼したい人が既に一定数いる状態だったのかなと思うんですけれども、このあたりのニーズっていつ頃から見えてきたとかありますか?

山本:元々オープンイノベーションの活動していたというのがやっぱり大きいと思います。ONE JAPAN的な大企業の繋がりもありますし、そもそもNTT東日本の中でオープンイノベーションに取り組んでいたり、ボトムアップで立ち上げてスタートアップと事業提携しながら、出資するような案件もありましたし、億単位の売り上げがスタートアップさんに着くような案件を作ったみたいなこともありました。もちろんうまくいったものもうまくいかなかったものも含め、ご一緒させてもらう機会に恵まれていたので「大企業の中のおもろい奴」としてスタートアップ界隈の方々から認知はしてもらっていたのかなと。

新條:フリーランスの期間や、複業として企業に属しているときはどんな種類の仕事が来たんでしょうか。

山本:社長直轄系的だったのが多いですかね。何でも屋さんみたいな感じになるんですけど。事業開発していた時の繋がりとか、メディアさんとの繋がりを活かしたりですとか。あとはシンプルに「こんなこと考えてるけどどう思う?」的な相談だったりも多かった気はしますね。とはいっても、やっぱりスタートアップさんって売上も上げる必要があるので、ちゃんと貢献できるようにしなきゃいけないなというのは、自分としても意識はしてるところで。その意識は求められてたところかなと。

新條:冒頭でお話いただいた「企業の中で働いていると、絶対これだという特性はあるのに自分だと気づけない問題」みたいな話あるじゃないですか。ご自身だとどうでしたか?

山本:オープンイノベーションで飯を食っていくみたいなことは1ミリも考えずにいたので。独立したいという意識というよりは、結果そうなってたところはあって。スタートアップとの事業提携だったりを繰り返している中で、実はスタートアップさんからも求めてもらえる感じになるんだというのは、やりながら認識したというか。中の人達だけで仕事をしてたらそういう実感はなかったと思うんですけど、社外の人と触れ合った結果自然とそうなってたって感じですね。

新條:確かに、弊社も山本さんに実際に依頼していた時期があったりするんですけれども、スタートアップ側の事情というか、痒いところじゃないですけど、その状態を圧倒的に理解して伴走して頂ける印象なんですね。それこそONE JAPANさんも含めて、大企業のリッチなアセットにもアクセスをお持ちの上に、スタートアップ側の事情も配慮してゼロイチを一緒にできるみたいなところが、スタートアップサイドにとってはめちゃくちゃ心強い立ち位置なのかなと。特にBtoBで大企業と連携したいみたいなお願いがある時に、山本さんに話がいくのはすごく想像できます。

山本:ありがとうございます。でも結構難しいなとも思うんですね。自分の価値ってなんだろうというのは、日々私もめちゃめちゃ悩みますね。どうやったらバリューを出せるのかな?というのは、かなり悩みながらやってた時期はありますね。がむしゃらにやってたイメージですかね。フリーランスの時は特に。

やっぱりコロナ禍で事業転換を余儀なくされたとき、企画とメディアリレーションまで担当して、世の中に出していった結果インバウンドで案件がめちゃくちゃ増えましたみたいな、そういう過去の取り組みを組み合わせながら、積み重ねでしかないのかなというのはやっぱり思いますね。

新條:ブランディング寄りの話で言うと、やっぱり山本さんはイベントとかメディアの取材、大企業とスタートアップ、大企業のオープンイノベーションあたりの、タグとか得意分野のイメージが強いので、そういうのも効いてるんでしょうね。

山本:そうですね。やっぱり発信をしてるというのはすごい大事だなって思いますね。こういう活動してます、こういうイベントしました、大企業でこんなことやってます、こんな人たちと繋がってます、スタートアップさんとこんなことをやってますみたいな方をひたすら発信してたので。そういうのはやっぱり生きてきてたんだろうなというのは、さっきの事例見ても改めて思いましたね。

新條:ちなみに山本さんが外部のメディアに取材されたのっていつが初めてですか?

山本:それこそONE JAPAN絡みで、立ち上げについてお話させてもらったのがきっかけですかね。その後、オープンイノベーションのプロジェクトが記事になったり。イベント登壇も、小規模なものから始まって、他社さん主催のイベントでも登壇する機会をいただいたり。そういう個で活躍している人、活躍をしたい人たちがいる場に行くというのは結構大事かもしれないですね。結局ONE JAPANにしても、そういう意欲があるから外で作ってるみたいな人達だと思います。仲間作りじゃないですけど、やっぱり日頃から触れ合っておくのは、発信という意味で大事な気がします。界隈を知るという意味もありますし、機会やチャンスを増やす意味合いもあるだろうし。

新條:ちなみに、まさにその発信の部分とかって、それこそONE JAPANの立ち上げとか、社内有志団体の立ち上げをされた方は数が限られるかもしれないですけど、大企業の中でオープンイノベーションに関わってる方って、人数としてかなり多いじゃないですか。でも、皆さんが同じようなブランドになってるわけではない。その差分は何なのかを考えていきたいんですね。変な話、一概に能力差で決まるというよりは、やっぱり個人のブランドが立ってる方が選ばれるんだろうなというイメージなんですけども、山本さんが発信するときに意識されてたことってありますか?

山本:特段、戦略とかは持ってなくて、イベントやってますとか、もう本当にシンプルに、とりあえずやったことを発信しようって感じでしたかね。別に見てもらえなくても、一人でもいいねしてもらえればいいやみたいな。

新條:そこから紹介が増えていってというイメージなんですかね?

山本:発信すればするほど増えていくというか。「こういう話あるんですけどお話しませんか?」とかもありましたし。最初、どこで会ったっけ?みたいな人から来たのも普通に会ってましたね。せっかくなんで、みたいな。

新條:私もすごい思うのが、見てもらえなくても発信するのが地味に大切というか、夢見がちなストーリーとして、発信に対して問い合わせが来るみたいなのも一個あるじゃないですか。わかりやすい成果。でもボディーブローのように、あの人こんなことしてるみたいなのが脳裏にずっと溜まっていった時に、例えば山本さんがすごい猫が好きです、今日猫の日ですみたいな発信をずっとした結果、私が昼の番組で猫のコーナー企画するってなった時に「山本さんかな」って自然と想起しちゃうみたいな。まさにPRとかブランディング的な発想で、短期成果は出なくても、ティッピングポイントを超えるときちんと機会が来る。

山本:本当にその連続がめちゃくちゃあったなという感じですね。

自分からギブができて初めてギブが返ってくる



新條:山本さんご自身の話も前提に置きつつ、所属を超越して様々な方とお仕事をされているという文脈で、企業の中にいながらバイネームで仕事が来たり、外でも活躍するされる方の共通点とか言うと、どんなものがありますか?

山本:やっぱり、何か発信はしてますよね絶対。あとは、そういう仕事を頂ける方とかは基本的に応援してくれてる人が多いので。自分の周りの人の「この人と一緒に仕事したい」という気持ちの矛先が自分になるかどうかですよね。
新條:法人も全く一緒で、スタートアップ界隈ではザラにある話だと思うんですけど、私たちも特定の方に色んな人だったり案件だったりを紹介してもらってグッと伸びた時期はあって。まさに、このスキルが一番高いから、みたいな左脳的な思考で選ばれたというよりは、応援の要素が強いのかなという実感はありますね。

山本さんご自身も、応援したいというモチベーションからお仕事ご依頼したり紹介したりって機会が沢山あると思うんですけど、ご自身を応援してくれる人に対するコミュニケーションで心がけてることってあったりしますか?

山本:照れちゃうな(笑)。やっぱり、人それぞれだと思うんですよね。スキルがあるとか、お金稼いでるからとか、色々あると思うんですけど、私はやっぱり、作りたい世界観とかビジョンに共感できるかどうかはすごく大事にしているところかなと思っていて。逆に言うと、共感できなかったら、一緒に仕事してもどこかで破綻すると思ってたりするので。

逆に、自分を応援してくれる人に対するコミュニケーションで言うと、ONE JAPANみたいな大きなプロジェクトをやってると応援してくれる人の人数もすごく多くて、有難い一方、期待に応えられるかというプレッシャーも大きい。自分が努力すべきだとは思いつつも、正直言うと結構悩む部分ではありますね。

新條:若干中級者っぽい話だなと思いつつ、めちゃくちゃリアルですね。前半ですごいあるあるだなと思ったのが、強く応援してくれる人がいらっしゃって、個人・法人の活動がブレイクスルーするケースは多いと思いました。ちょっと打算的かもしれないですけど、そういう方を見つけたり獲得したり、周りの協力者を増やすためのコツってありますか?

山本:よく、ビジョンを掲げるとか言ったりするけど、多分そうじゃなくて、ちゃんと自分がギブできてるかというのは多分ベース必要になるんだろうなと思ってて。やっぱり自分がギブできている時に初めてギブが帰ってくる。あんまり自分がギブできてないなという時って、帰ってくるものもほとんどないんですよね。巻き込もうというよりは、「あなたのために」でやらないと考えてもらえないというか。人ってそんな簡単に振り向いてくれない。特に何の関係もない人というか、今までの人生で関係ない人とか尚更ですよね。昔からの友達とかだったら別ですけど。

新條:確かにおっしゃる通りだなと思いますね。あんまり意識してなかったですけど自分で考えてみてすごいやってるなとかるで言うと、役割を仮でお願いするとか。例えば、こういうことをフィードバックくださいみたいな話とか、ヒアリングさせてくださいみたいな話とかで、ちょっと相談をさせてもらいながら、その中で結果論、例えばすごい共感してもうとか応援してもらうみたいな話とかで。
私たちの活動に応援をしてくださいという入りではなく、そこは普通にどちらかというと相談相手としての、というかフィードバックとかヒアリングから入る感じとかの役割として関わっていただける中で、そこは何に価値を感じてもらうとかはありつつなんですけれど、その上で少し関係性が変わるみたいな話とかは入り口としてあるのかなと思ったりしています。

背伸びはしなくていい。素直に「悩んでます」と言えるかが大事



新條:もし山本さんのところに若手が相談に来て、社外で複業したいですとか、今の会社じゃなくても個人で活躍して食っていけるようになりたいんです、みたいな話をされたら、どんな順番でアドバイスしますか?

山本:やっぱり自分の棚卸しをする部分と、SNSでもなんでもいいから発信をし続けてくれというのは言うかな。発信がとにかく大事なので。自分が興味のあること、やれること。Can、Will、Mustで言うとCanだと思うんですけど、やれることをやっていくしかないと思っていて。形にしたものをとにかく発信していく。背伸びしなくていいと思うんですよ。今自分ができることでいい。

私の場合は、自分のCanは営業だったんですけど、世の中の営業と比べたら、自分より上手い人なんていくらでもいるじゃないですか。それでも、人に集まってもらってイベントを企画するくらいならできると思ったから、それを形にして、継続して、発信してただけなんですよね。急には変われないから、やれることをやっていくしかない。

あとは、自分ができることを周りに相談してみるのも重要ですよね。人に話すが一番だと思います。一人で内省するというよりは、人に語ることを通して内省する。やっぱり壁打ちというか、色んな人の話を聞いてる人、視野が広い人に話を聞いてもらう。

新條:自分のストロングポイントを捉え直すって感じですかね?

山本:自分の強みってわからないじゃないですか。自分が思ってることとか、やりたいことを共有すれば、向こうがそれを深堀ってくれる。なんでそれやんの?みたいな。それで、俺これやりたかったんだ、ちょっとやりたいことと違ったな、自分の道はこっちかもしれないなみたいな、とか見えてくる。自分がやりたいことが言語化されていくんですね。

新條:自分のことを考える時に人に話したほうがいいというのは、私も完全に同意ですね。話すことによって整理されるのはおっしゃる通り。

山本:そうですよね。整理してから相談した方がいいんじゃないかと思いがちなんですけど、整理する前に相談したほうがいいんですよね。素直に「悩んでるんです」って言えば、面識さえあれば大概の人は相談に乗ってくれるんで。

新條:自分のできることとか強みって、発信でも同じだと思うんですけど、必ずしもセールストークだけではないと思ってまして。例えば、安さだけをずっと発信してもしょうがないのかなと。むしろ今お話いただいたみたいな、自分がそれに取り組む理由とか背景、特に応援する人に対しては、それが伝わっているかどうかが大きいのかなと。是非自分が考えていることについて、全然固まってなくても、伝える量を増やしていくと、それを見た人からのレスポンスや機会の量は、やっぱり圧倒的に比例していくと思います。

山本:本当にそうですね。あまり宣伝みたいになるのも良くないかもしれないですけど、another life.academyの、人の話を聞きながら内省化できる機会は、めちゃくちゃ良さそうですよね。明らかに異なる視点の意見ももらえそう。これって新條さんにも壁打ちしてもらえるんですか?

新條:基本はそんな感じですね。

山本:新條さんってものすごい数のインタビューされてるんで、壁打ち相手として理想的だと思うんですけど、何人くらいですか?

新條:トータルだと1300人ぐらいですね。ポジショントークになっちゃうので、うちの話は一旦置くとしても、複数人で話すことは絶対にオススメですよね。別にanother life.academyじゃなかろうが、何か始めようって時に壁打ちできるコミュニティを持つのは必ずプラスになると思います。というところで、そろそろ締めに入れればと思うんですが、改めて山本さん、最後に「個の時代、大企業の中と外で活躍するために必要なこととは?」ということで一言お願いできますでしょうか。

山本:例えばプログラミングとかデザインみたいな、明らかにわかりやすいスキルを持っていない限り、やっぱり応援してもらうというか、自分のブランドを立てることはどうしても必要になると思います。その手段は例えば「イノベーション」みたいな、何かに特化した一点突破かもしれないし、もしくはスキルとスキルの掛け算もあると思います。独立だったり、何かしら個の力で生きようと思ったら、それをどう表現したらいいのかって問いは必ず必要になるので、今日の話が考えるきっかけになればいいなと願っております。

新條:ありがとうございます。まさにその表現、発信も含めて、個人で活動を始める皆さんのお役に立てればと思っておりますので、引き続き無料イベント、SNSやpeatixでも繋がっていただければと思います。それではこちらでイベントを終わりたいと思います。ありがとうございました。



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2022.03.12