高校再入学、家族の死、そして起業。
人生の選択肢が、まだ広がっていっているんです。

声優さんや旅行に詳しい人など「個人のポテンシャル」を最大限に生かすビジネスに取り組んでいる起業家の原口さん。大学2年生まで本気で取り組んでいた音楽ではなく、ビジネスの道を選び、自分で起業までしたその背景を伺いました。

原口 悠哉

はらぐち ゆうや|“個人のポテンシャル”を生かす起業家
オーダーメイド旅行のクラウドソーシングサービス「tabikul」、
音声クラウドソーシングサービス「voip!」を運営する株式会社Groodで代表取締役を勤める。

オーダーメイド旅行のクラウドソーシングサービスtabikul
音声クラウドソーシングサービスvoip!
株式会社Grood

中退からの高校再入学


自分で言うのもなんですが、子どもの頃から割と目立つタイプでした。
どちらかというとやんちゃな部類の中学に通っていましたが、サッカーに生徒会にいろいろやっていましたね。

高校では進学校に入り、軽音部の部長をやったり、体育祭などでも目立つようなポジションに立っていました。
ただ、その頃からいわゆる“エリート”っていうタイプではなかったんです。

進学校ということもあり、勉強こそ大切で、できない人を見下すような子もいたりして...。
僕自身「音楽の道に進みたいな」と考えていたこともあって、徐々に違和感を感じ、
2年の終わりに学校をやめ、違う高校に再入学しました。

再入学した高校では、以前ダンスを教えていた2つ下の後輩が同級生になったりしたこともあり、
当初、周りは戸惑っていたと思います。(笑)

ただすぐにみんなと仲良くなれましたし、本格的に音楽にのめりこんで、1日に10時間以上は練習していました。
学外で某有名ミュージシャンにベースをマンツーマンで教わっていたこともあって、
何となく将来は大学に行かずにそのまま音楽の道に進もうかと考えていたんです。

父親の影響と突然の死


高校2年生の終わり頃に、父親に「音楽をやりたいから専門学校に進もうかな」と何気なく話してみました。

ところが父親には「このままだと、受験から逃げたくて前の学校を辞めたんだと思われるぞ」と言われたんです。
確かにそう思われるのは悔しいし、大学に入ってから考えるのがいいかなと思い、
その言葉をきっかけに受験をすることにしました。

3年生になる前くらいから予備校に通い始めて、どうせ受験するなら上を目指そうと思い早慶をめざすことにしたんです。
ただ当時は偏差値が40くらいでしたし、周りの人間も僕が慶應に受かると信じていなかったんですよね。

でもそこから本当にひたすら勉強したので、勉強開始から5ヶ月後の夏前には偏差値も75くらいまで上がって、
早慶も十分に狙えるような位置までいきました。

そんな時、急に父が亡くなったんです。

亡くなる1、2週間前に倒れたことがあったのですが、その時は検査をしても特に異常はありませんでしたから、
全く予期していませんでした。
父が救急車で運ばれた後に母親から電話があり、病院に行きましたが、
その時はもう話ができるような状態ではなかったです。

ですから、最後にどのようなことを話したかは覚えていません。
もともと父の仕事が忙しく、朝から夜遅くまで家にいなかったため、
一緒にいた時間はあまり長くありませんでした。

ただ、そんな中でも受験勉強を応援してくれていましたし、父の死は心理的にはかなりしんどかったです。
実際成績が下がった時期もありましたが、父との最後の約束だけは果たしたいとなんとか持ち直し、
最終的に慶應大学の経済学部に合格しました。

ひょんなことからビジネスにはまっていった


そんな形で入った大学では、当初はそれまで続けていたバンドに打ち込んでいました。
ただ2年になった頃から他のこともやってみたいと思うようになり、
学生団体に入ったりビジコンに参加してみたり、ヒッチハイクで九州に行ってみたりしました。

明確なきっかけがあるというわけではないのですが、
その時から、徐々にビジネスって面白いと感じるようになっていたんです。

3年生になってからはインドに弾き語りに行ったり、
日中韓の学生が集まる1週間のディスカッションなどに参加して、
「色々な種類のネタがある角がある人間」になりたいと思っていました。

そういう性格だったので、いわゆる“大手企業”は自分は馴染めないと思い、
ベンチャー企業に絞って就活をした結果、12月に内定を頂いたんです。

同い年の起業家の上場が1つのトリガーに


せっかく早めに就活が終わったので、その企業でインターンをすることにして、
6ヶ月間、社長室で新規事業の企画をやったり、実際に新規事業の立ち上げに携わったりしました。
当初はその後世界一周に行くつもりだったんですが、事業を創るのがもの凄く楽しくて、予定を変更して、
自分でWebサイトを作り運営してみることにしたんです。

プログラミングの勉強をしつつ、1日のうち10数分くらいをメディア運営に充てていたのですが、
月間150万PVくらいまで成長し、そこそこお金を稼げるようになりました。
何より自分の仮説がばしっとはまって成果に結びついた時がすごく嬉しくて。

この時から、明確に“起業”というものを意識するようになりました。

どこかの企業に入らなくても、自分自身で何とか食べていけるんじゃないかなと感じていましたね。

実際全く悩まなかったといったら嘘になるかもしれませんが、
お世話になっていたこともあり内定先にそのまま入社しました。

しかし入社した年に同い年だった、リブセンスの村上さんが上場するというニュースを目にしたんです。

あまり周りと自分を比較するタイプではありませんが、
その時は吐きそうになるくらい悔しかったと同時に、
自分は何をやっているんだろうと不甲斐なさのようなものを感じました。

少なくとも3年は会社にいようと思っていたのですが、いてもたってもいられず、
わがままではありましたが上司に相談をした結果、丁度1年で会社を辞めて起業しました。

「旅行」という軸での新しい勝負


そのような形で起業をして、音声のクラウドソーシングサービスを立ち上げ、
現在では新しく立ち上げた旅行のクラウドソーシングサービスに注力をしています。

音声のクラウドソーシングはそれなりに好調なのですが、
より大きな事業展開を行うために「旅行」という軸で新しい勝負を始めました。

自身のジャマイカなど様々な国に行った際の原体験や、
100人以上の方にヒヤリングを行った結果、今のビジネスモデルに行き着いたのですが、
現地滞在・旅行経験者の方と旅行をしたい方とのより良いマッチングを実現することで、
多くの方に価値ある旅行を楽しんで頂ければと思っています。

ビジネスに関しては、この旅行サービスを伸ばしていきたいと思っていますが、
一方でパーソナルな面では暖かい家庭を作りたいと本気で思っています。

一時期は家族仲があまり良くなかったこともあって、
中学の時から幸せな家庭を作りたいというのが僕の夢です

僕は本当に「人生においてやりたいことがありすぎる」のですが、
まずはビジネスをとことんやっていきたいと思っています。

2014.05.23

原口 悠哉

はらぐち ゆうや|“個人のポテンシャル”を生かす起業家
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