目の前の人が一歩進むための気づきを提供する。
悩める女子のひとつの選択肢として。

パーソナルコーチとして、目の前の人の課題や問題を解決し、ステージアップするためのベース創りをする那須さん。看護の道に進み、20年近く看護の世界で働いた那須さんは、なぜコーチとして独立することを決めたのか?お話を伺いました。

那須 夕紀恵

なす ゆきえ|目の前の人が前に進むためのベース創り
パーソナルコーチとして、目の前の人の考え方を引き出し、課題や問題を解決し、ステージアップするためのベース創りをするための支援を行う。

「やっぱり看護師でいいや」からのスタート


私は長野県松本市で生まれました。小さな頃から、学校では陸上や水泳の大会で代表選手にも選ばれたり、先生からクラス委員や生徒会などに推薦してもらうことが多くありました。しかし、実際には勉強も運動もそれほど得意ではなかったので、「なんで私なんだろう?」と思っていましたね。

幼稚園児の頃から、将来は看護師になりたいと考えていました。将来の夢を聞かれ、何になりたいか分からず、友達の真似をして看護師と答えたのがきっかけでした。

それが、中学生の頃に、看護師が足りていないとニュースで見て、「やっぱり看護師でいいや」と思ったんです。元々、人のお世話をするのは嫌いじゃないし、人が足りていないなら役にも立てる。一日中座って事務仕事をするよりも、動き回っている方が性格にも合うだろうと思い、次第に「よし、看護師になろう!」と考えるようになったんです。

しかし、あまり勉強をしていなかったので、看護学校の受験では補欠合格。結局、繰り上げの連絡はこなくて、進学できませんでした。そこで、知り合いから紹介された病院で、看護助手として働きつつ、翌年再受験することに決めました。

ただ、高校を卒業して車の免許も取ると、遊びの幅が広がって、そちらが楽しくなってしまいました。また、車を買ったお金を返すために働く必要もあって、勉強そっちのけで仕事や遊びに夢中になってしまったんです。何にでも興味津々で、病院に内緒で、居酒屋のアルバイトもしていましたね。

さらに、働き始めて2年目からは、家族で祖母の介護をするようになりました。そのため、学校に行かなければと思うものの、勉強からはどんどん遠のいてしまったんです。

人の命を預かる仕事の怖さ


そんな生活を5年程送っていたある時、いつも私を可愛がってくれていた患者さんの具合が、急に悪くなることがありました。私ではない担当者が朝食を持っていき、身体を起こそうとした時に急に具合が悪くなったと聞きました。

この時、今までに感じたことのない恐怖感を覚えました。私は、人の命を預かる仕事をしている。それなのに、知識もなく、患者さんの状況を知らずに接するのは、なんて怖いことなのかと。

そこで、ちゃんと勉強しようと考え、半日制の准看護師学校に通い始めました。朝は病院で仕事、昼は祖母にお昼ごはんを食べさせに帰り、午後は学校と、忙しい生活を2年ほど送りました。さらに2年間、全寮制の正看護師学校にも通い、無事国家資格を取ることができました。

その後、整形外科で2年ほど働いた後、ICUで仕事をするようになりました。大きな病気や事故に合った患者さんの症状が出始め、全身管理を必要とする時期。その中で、日常生活に戻るためのリハビリなどをサポートするんです。

高度な知識が求められることも多くて、心電図すらよく読めなかった私にとっては、かなり大変な仕事でした。そのため、仕事以外の時間は勉強に充てるようになり、無我夢中で仕事のことを考えるようになったんです。

ただ、そんな状況も、数年経つと、少し余裕が持てるようになりました。仕事は淡々とこなしつつ、医療系の資格の勉強をしてみたり、プライベートで山登りや旅行の計画を立てたりと、色々「あれやりたいな」と考えていました。

私はこれからの人生でいったい何がしたいのか?


しかし、ある時、母が脳梗塞で倒れてしまい、入院することになりました。さらに、ショックを受けた父は、ひとりだと食欲が湧かないと、あまりご飯を食べなくなってしまいました。そこで、毎日晩ごはんを作りに行き、父と一緒に食べることにしました。

仕事もしながら父や母のサポートをする生活は目まぐるしく、あっという間に3ヶ月ほど過ぎました。次第に母は回復していき、退院して、ひとりで料理を作ったり、病院に通ったりできるほどになりました。

そのため、少し自分の時間を持てるようになりました。しかし、いざ何かをしようと思っても、いったい何をしたいのか、分からなくなってしまったんです。家族のサポート、人のことばかり考えているうちに、自分のことを考えられなくなってしまったんです。

それまでは、「時間ができたらあれをやろう」と浮かんできたのに、その興味も湧かなくて、「あれ?」という感じでした。時間があるのに、何もする気が起きない。気づけば、可もなく不可もなく淡々と一日が終わってしまい、心にポッカリと穴が空いたような感覚でした。

仕事でも、明確なビジョンがあるわけでもないし、年齢も30代中盤に差し掛かっている。「このままでいいのかな?」と漠然と感じるんです。

そこで、まずは何かしたいと思い、資格を取ることにしました。その中で、仕事でも活かせる、人間の心理に関わるものを学ぼうと思い、コーチングを学ぶことにました。患者さんとは、ちょっとしたすれ違いでお互いストレスを溜めてしまうこともあり、コミュニケーションや人の心に興味があったんです。

また、周りからコミュニケーション能力を評価されることも多くて、せっかくならその強みを伸ばしたいとも思っていました。普段誰にも話さないような大事なことを相談してもらうこともあり、「何で私に相談してくれるんだろう?」と不思議には思いつつも、せっかくならより役に立てるようになりたいと考えたんです。

人が変わる瞬間が目に見える仕事


そして、インターネットで講義を受けつつ、月に1回は東京で実際の講習に行くようになりました。すると、私がコーチングを学んでいると聞いた仕事の仲間や友達が、試しにセッションを受けてくれました。

実際にコーチングを用いて話していくと、人によっては、話している間に、「わ!」と、何かに気づいてもらえる瞬間がありました。さらに、セッションの結果として、その人の問題が解決され、一歩前進していくのを目の当たりにできたんです。昔は相談を受けても同調したり、意見を言ったりするだけでしたが、相手の考えを引き出すことで、「次の行動に繋がる」時間に変えることができたんです。

自分がしたことの結果が目に見えて分かるのは、私にとっては大きな出来事でした。これまで、看護師の仕事をしていても、自分がした仕事が「良かった」のかどうかは、いつも分かりませんでした。相手がどう思っているかは基本的には分からないし、毎日、「もっとこうすれば良かったんじゃないか」と考えてばかり。いくら上司や同僚が評価してくれても、自分の仕事を自分では認められなかったんです。

それに比べて、コーチングは結果が目に見えて分かり、その喜びを肌で感じられる。そのため、この先仕事として続けるのは、こちらの方が自分にとって良いのではと考え、思い切って病院を辞めることにしたんです。

そして、やれるところまでやってみようと思い、2015年4月、上京しました。

「いつでも相談できる」そんな存在を目指して


現在は、目の前の人が課題や問題を解決し、ステージアップするためのベース創りをするため、学んだスキルを活かしたセッションを行っています。1時間30分ほどのセッションの中では、その人にない視点を提供することを心がけています。

自分のことを分析しているものの、今一歩のところで解決策が見つからない人は多くいます。自分のことや価値観は、あたりまえ過ぎて、ひとりで考えていても、なかなか気づけないんです。

そこで、別の視点での気づきを引き出すのが、私の役目です。ただ、上から目線で「教えてあげる」のではなく、同じ立場で考えていきます。また、答え自体はその人の中にすでに存在しているので、私は、その人が持っているモノを引き出していきます。そして、抱えている課題への解決策を見つけてもらい、実際に行動に繋げ、前に進んでもらうんです。

セッションやワークをしていると、必ず「お客様の深い部分」に辿り着きます。ずっと抱えてきたものだったり、ずっと疑問に思ってきたことだったりするんですけど、そこの見方が変わると、全く別の景色が観えてくるんですね。そうやって、その人がすでに持っているモノ・在るモノに新しい視点で価値を見いだし、どんどん飛躍していく姿を見ることが、楽しいし、ワクワクするし、嬉しく思います。

元々は、自分と感覚が近い「30代女子」の悩みを解決できたらと考えていました。女性は、人生に対して漠然とした不安を抱えている人が多く、実際、私自身もそうでしたし、相談されることも多くありました。そういう人たちに、「これでいいんだ」と自信を持ってもらいたいと考えていたんです。

ただ、30代女子にかかわらず、目の前の人に対して、自分にできることがあれば、役に立ちたいと考えています。目の前に困っている人がいたら助けたくなってしまうのが性分なんです。

また、「やりたい!」と思うことがあるなら、いつでもチャレンジできるということを、多くの人に伝えていきたいですね。私自身、40歳手前にしてのチャンジでしたので。

悩みや課題を解決するためのツールは、セラピーやカウンセリング、コンサルティングや占いなど、色々あります。私自身、コーチングの手法は用いていますが、肩書はなんでもいいと考えていて、「こういうのもありなんだ」と思ってもらえる、ひとつの選択肢でいられたらと思います。

そして、悩んでいる人が、いつでも気軽に相談できる。そんな存在であり続けたいですね。

2015.10.09

那須 夕紀恵

なす ゆきえ|目の前の人が前に進むためのベース創り
パーソナルコーチとして、目の前の人の考え方を引き出し、課題や問題を解決し、ステージアップするためのベース創りをするための支援を行う。

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