電子書籍という「武器」で力をつけていく。
ITの力で仕事を作り、田舎の活性化を。
電子書籍プロデューサーとして、個人が電子書籍を作るサポートをする梅田さん。会社に入社して1年程は仕事を楽しめていない時期もありましたが、どんな経験から仕事へのやりがいを見つけたのか。将来は地元山口を盛り上げていきたいと話す、梅田さんにお話を伺いました。
梅田 憲嗣
うめだ のりつぐ|電子書籍プロデューサー
電子書籍プロデューサーとして販売方法や制作の支援を行う。
個人Facebook
田舎の良さを伝えていきたい
私は山口県の小さな田舎町で生まれました。
最寄りのコンビニまでは車で20分もかかるような場所で、中学校の同級生も7人しかいませんでした。
そのため、成り立つ部活にも限りがあり、男子は全員陸上部と決まっていました。
勝手に決められてしまうため、そこまで部活に熱心でない人が多い中、
私はやるからには自分の足跡を残したいと考えるタイプだったので、
一生懸命取り組み、結果もそこそこ出ていました。
周りのみんなは「東京に生まれてればなぁ」と都会に憧れる人ばかりでした。
しかし、私は大自然や食べ物など、田舎にも良いところはあると考えていて、
都会が優れていると考える、その田舎特有の閉鎖的な空気があまり好きではありませんでした。
それもあってか、周りとは違うことをするのがカッコいいと思うようになったり、
将来は田舎を盛り上げて、みんながもっと田舎を誇れるような何かをしたいと考え始めました。
高校生になると、XJAPANに憧れてバンドを始め、ミュージシャンになりたいとも思ったけど、
現実的な選択肢ではありませんでした。
進路の授業で将来について考えた時は、なんとなくサラリーマンでない仕事で地元を盛り上げたいと考えていました。
そんな時、インターネットで稼いでいる個人の話をテレビで見て、「これだ!」と思ったんです。
インターネットであれば若いうちから速いスピードでビジネスを立ちあげられるし、
最新の情報を地元に持ち帰って仕事を作れば、雇用を生み出すことができると考えたんですよね。
そして、インターネットビジネスを学ぶなら情報の集まる東京に行く必要があると考え、東京の大学に進学することにしました。
動いたからこそ見えること
上京してからは、インターネットビジネスを学びたいと思って、IT企業で週5で働き始めました。
しかし、なにか違うという感覚や、田舎から出てきて遊びたかったこともありすぐに辞めて、
この4年間は色々なことを経験して、視野を広げる期間にすることに決めたんです。
そこで、バンドサークルで活動する傍ら、経営者の講演などに積極的に参加するようになりました。
その中である経営者がしていた、「天井は自分が勝手に決めてしまうものだ」という話を聞き、ハッとしました。
何かをできるとかできないとか、自分の限界は自分の心が決めてしまうんだと。
それ以降、「できなかったらどうしよう」と悩むよりも、まずは行動するようになりました。
考えているよりも動くからこそ見えることも多いし、
会いたい人に連絡をして無視されてもちょっと悲しいだけですからね。
そうやって様々な人と会いながら視野を広げつつ、3年生になり就職活動の時期を迎えました。
リーマンショックの直後だったので、周りの友達は何十社も採用試験を受けていました。
そんな中、人と違うことをしたがる私は、5社以内に進路を決めることにしたんです。
IT企業を中心に会社を見ていき、説明会で大好きなアーティストの曲を流していて、
アーティストのウェブサイトの制作・運営など様々な事業をやっている会社があり、
「ここだ!」と思い、入社することに決めました。
仕事にやりがいがない
しかし、配属されたのは新規事業を立ち上げる部署でした。
働いたことすらなく仕事の基礎力もないのに、新規事業を立ち上げるなんてできるわけもなく、言われたことをやるだけでした。
さらに、他のメンバーも事業立ち上げは初めてなので、中々仕事を教えてもらう時間はありませんでした。
結局、スマートフォンの教育アプリや電子書籍を作ったものの、全くうまくいかなくて、
「こんなの売れるはずない」と市場のせいにしたり、やり方を教えてくれない先輩のせいにしていました。
また、別の部署で先輩に色々教えてもらっている同期も羨ましく思っていましたね。
そのため、仕事は楽しいとは思えず、仕事ができる先輩への憧れはあるものの、自分が辿り着くイメージは持てませんでした。
そして、正直、逃げたいとも考えていました。
ただ、今の状態のまま環境だけ変えても、結局自分自身に「武器」となるような力がないと、
同じことが起きると感じていたので、その決断はできませんでした。
仕事にやりがいを見出せず、早く定時にならないかとだらだら過ごしていました。
しかし、2年目になり後輩が入ってくると、何も成長していない自分に焦りを感じるようになりました。
この後輩は、現時点の自分よりも既に優秀なんじゃないかと思うと、自分の「武器」を作りたいと真剣に考えるようになり、
どうやったら仕事がうまくいくか、流石に必死に考えるようになったんです。
そして少し前向きになれた時に、
「成功する人は目の前の壁をどうやって乗り越えるか智恵を働かせ、失敗する人は逃げることに智恵を働かせる」
と社長が話すのを聞いて、これまでの自分は後者だったことに気づきました。
その時に一気にスイッチを入れ替えて、必死に仕事に取り組むようになったんです。
個人が電子書籍を作る時代の到来
そこで、まずはダウンロードランキング50位以内のアプリや電子書籍を徹底的に調査することにしました。
文字フォントや画面遷移設計、行間のスペースなど、ありとあらゆる項目を調べあげたんです。
また、電車に乗っている時は、常にスマートフォンを使っている人の動きを見るようにして、
どのような人が何のアプリを使っているかも調査していきました。
さらに、マーケティング等の知識も勉強していき、
調べたデータと合わせて自社で作っているアプリに反映させるようにしていきました。
すると結果が出るようになり、半年後には目標を大幅に達成し、仕事も面白いと感じられるようなったんです。
さらに、Appleのスティーブジョブズが、「これからは電子書籍革命を起こす」と話しているのを見て衝撃が走ったんです。
これまでの電子書籍は紙媒体で本を出していた出版社しか作っていなかったけど、
これからは一般の個人が電子書籍を作る時代が来るんだと。
その時代が訪れるなら、今自分が磨いている電子書籍のノウハウは必ず活かせると考え、
個人でも電子書籍のプロデュースをするようになりました。
集客や収益、ブランディングのために電子書籍を利用したい個人向けにノウハウを提供するようにして、
個別の相談を受けたり、セミナーを開催したりするようにしたんです。
初めてブックストアの電子書籍部門で総合1位を取った時は、2週間で4万冊以上ダウンロードされて嬉しかったですね。
ただ、電子書籍がマーケティングに効果的だということが知られてくると、
メールアドレス集めの中身の無いコンテンツも大量に市場に出回るようになりました。
その流れを受け、このままだと、電子書籍を読むユーザーが離れてしまう、という危機感があり、
私は自分のノウハウを無料で出すことで、優良コンテンツが人目に触れやすくなるように支援もしていったんです。
電子書籍の販売を全体的にプロデュースする
今は電子書籍プロデューサーとして、クライアントが電子書籍を出す目的を達成できるように支援しています。
電子書籍と紙の本では読むユーザー層も、読む目的も大きく違います。
そのため、電子書籍を出したいと考えている人とは、まずはその電子書籍を出す目的は何かしっかりと話し合い、
その目的達成にどうやって電子書籍を使うか、コンテンツはどうするか、全体的にプロデュースしています。
今後は、「文字を読む」という形だけでなく、音声や画像、動画も入れ込んだ、
それこそ映画のような電子書籍も作っていきたいと考えています。
特に、写真の分野には可能性を感じているので、新しいサービスを検討しています。
ただ、今の電子書籍市場はAppleやAmazonなど、既存のプラットフォームに依存しているのが事実で、
そこに集まっているユーザーにしか電子書籍を届けられない実情もあります。
そのため、将来はプラットフォームに縛られず、より多くの人の電子書籍を届けられる仕組みを作っていけたらと思います。
今はまだ田舎に帰っても、ITの仕組みを利用して雇用が生み出せるほどの実力はないので、
一つの武器である電子書籍を使って、もっと成果を出さなければいけない時だと考えています。
そして、もっと成功を収めて地元に帰り、田舎を活性化することに寄与できたらと思います。
2015.02.23
梅田 憲嗣
うめだ のりつぐ|電子書籍プロデューサー
電子書籍プロデューサーとして販売方法や制作の支援を行う。
個人Facebook
編集部おすすめ記事2019.10.11
編集部の伊藤です。秋は悩みの多い季節と言われます。例えば、ファッション。先週真夏日があったと思ったら、今週は台風到来と秋は天気が激しく変わるので、何を着るか悩みますよね。でも、そこで無難なファッションを選ぶと気分が上がらない。ファッションが心理状態に与える影響の大きさは様々な研究が示していますが、実はanother life.にもその実例があるんです。今回は、ファッションをきっかけに自分に自信がついた3名のストーリーをご紹介します。ぜひご覧ください。
寝たきりの17歳と社会を繋いだファッション。恩返しのためにパイオニアとして切り拓く道。
ファッションを通じて自信を取り戻してほしい!コンプレックスをチャームポイントに。
人生にBefore/Afterを!「短髪・体育会・ジャージが私服」だった私だからできること。