どこでも相談できる、保険の窓口を!
アパレルとWEBサービスに共通するものとは。
保険の相談を訪問不要でオンラインで解決させるためのサービス「ドコマド」を運営する岡村さん。大学生の頃から「ものづくりがしたい」と考えていて、服の設計図であるパターンをつくる仕事をしていたところから、インターネットサービスを立ち上げるまでにはどんな背景があったのか。お話を伺いました。
岡村 哲也
おかむら てつや|保険のオンライン相談サービス「ドコマド」運営
ビデオ通話でどこでも保険の相談ができるサービス「ドコマド」を運営する、
株式会社 LIVE shiftの代表取締役を務める。
ドコマド
初めてやりたいと思ったものづくり
私は東京の浅草で生まれました。
2人兄弟の次男だったこともあり、小さい頃からシャイで引込み思案な性格でした。
小中学生の頃はバスケットボールを、高校に入ってからはバンドに夢中になっていましたね。
しかし、将来やりたいことは特になく、高校卒業後は周りのみんなと同じように、なんとなく大学に進学することにしました。
大学に入ってからはテニスサークルのテンションについていけずにすぐ辞めて、
同じような友だちと一緒にフットサルサークルを立ち上げました。
また、おしゃれな友だちに影響されてファッションを好きになっていきました。
ただ、自分がほしい服のイメージが頭の中で明確にあったので、そのイメージに沿った既成品を探すのには苦労していました。
そこで、自分でつくってしまうことにしたんです。
携帯ストラップやブレスレット、シルバーアクセサリなどを自作するようになり、友だちからの評判も良かったですね。
そして、将来は自分の手でなにかつくる仕事、
特にファッション関係で自分のブランドを作ってメッセージを発信したいと思うようになりました。
そこで、就職活動ではアパレル企業だけを受けていきました。
しかし、1社も選考を通らなかったんです。
ただ、大卒でアパレル企業に入って販売や企画の仕事をするよりも、自分でものをつくれるようになりたいと考えていたので、
大学卒業後は服飾系の専門学校に進学することに決めました。
それまで明確にやりたいことがなかった中で、初めてやりたいと思えたことだったので諦めたくなかったんです。
自分がやる仕事じゃない
専門学校は、通常3年かかる課程を1年で終わらせる社会人も受講するコースに入学しました。
毎日沢山の課題があり大変で、遊ぶ暇なくずっと勉強ばかりしていましたね。
そして、3分の1程の生徒は辞めてしまう厳しい課程をなんとかこなしていき、
卒業後は服のパターン制作専門の会社に入ることができました。
そこでは依頼されたデザイン絵から、服の設計図であるパターンをひたすらつくっていき、
印刷された設計図を納品していくという仕事をしました。
パターンのみの制作なので、完成された服を見ることはできず少し寂しかったですね。
また、その職場は職人気質な空気があり、先輩に質問できる空気じゃなかったんです。
黙々とパターンを書いていき、一言も発しない日も何日もありました。それも朝早くから夜遅くまでずっと続くんです。
そんな環境で1年程働いた時「これは自分でやらなくても良いな。得意な人にやってもらおう。」と思いました。
そして、将来自分のブランドをつくるには違う道もあると考え転職することにしました。
転職活動では、デザイン会社やEコマースに携わっている会社を中心に見ていきました。
そんな中、あるインターネット広告代理店の社長と話した時、
「Eコマースでも何でもやれる!」と言われ、将来に役に立つと思ったし、
そんなことを言える社長の器の大きさに惹かれて入社を決めました。
もう後がないから逃げない
入社後は、インターネット広告の営業をすることになりました。
しかし、その環境はあまりにも厳しくて、入社して3日目には辞めようかと思いました。
それまで、コミュニケーションがそもそも得意じゃなかったし、人としゃべる仕事をしてこなかったので、
営業電話なんて全然かけられなかったんです。
また、いわゆる体育会系の企業だったので先輩や上司にはめちゃくちゃ怒られましたね。
そんな社風もあり、同じ時期に入った人もどんどん辞めていき、人の入れ替わりの多い会社でした。
しかし、私は辞めるわけにはいかなかったんです。
大学からの新卒の道を外れ、就職した会社を1年で辞め、ここで逃げてしまったらもう後がないと思ったんですよね。
そのため、死ぬ気で努力をして、時間外にリスト作りをして、1日何百件もテレアポをしていきました。
その結果、営業成績は出せるようになっていきました。
常に大変でしたが、学べるものは多く、充実感はありました。
また、広告営業の中でも、私はメディア枠の仕入れを担当するようになり、
その仕入れた広告枠を営業するサポートもするようになっていきました。
そして、自分が手伝った営業の人が受注した瞬間、自分が売った時より何倍も嬉しいと感じたんです。
仕事は本当に厳しい環境だったので、一緒に頑張り支えてくれる仲間の存在がより大切だと思えたんですよね。
さらに、新規事業としてフラッシュマーケティング(共同購入クーポン)のサービスの立ち上げにも携わることができました。
これはメディアを運営する仕事で、それまでは営業しかして来なかった私は非常に苦労しましたね。
そうやってインターネットの仕事をしていくうちに、ファッション業界でなにかやるという気持ちはなくなっていきましたね。
ただ、「モノづくりがしたい」という軸は変わらず、
より多くの人に影響を与えられるインターネットを使って自分のサービスをつくりたいと考えるようになっていきました。
人生で大きな買い物である保険に関わる
そうやって、そろそろ新しいことにも取り組みたいと思っていた時に、知人が働いている企業で人を探していると聞きました。
そのため、次は独立することを決め、その会社に転職することにしました。
その会社ではアドネットワーク事業に携わり、メディア枠の仕入れや広告枠の販売、戦略立案など様々なことをやらせてもらいました。
ここにいたメンバーは非常に刺激的でしたね。
前の会社と比較しても、様々な背景を持っている優秀なメンバーが多く、学べるものは大きかったです。
そして、ここで2年程働いた後、携わっていた事業が分社化されることになったので、退職して独立することを決めました。
その後は、どんなサービスをつくろうか、本格的に考えるようになりました。
子どもも生まれ、この子たちの住む未来の世界が少しでも良くしたいとか、
人の人生に関わる仕事がしたいとか考えていましたね。
そんな時、保険の相談をオンラインでできるサービスのアイディアが思いつきました。
保険の話をする時って、たいてい保険会社の営業の人が家に来てくれます。
しかし、私の家には子どもがいるので呼ぶのが面倒だし、わざわざ家に来てもらうのは申し訳ないというか、気苦労が絶えなかったんです。
この分野のサービスなら自分も使いたいと思ったし、保険は人生の中でも大きい買い物であるし、
ビジネスとしても市場が大きかったのでやってみようと決めたんです。
そして、オンラインで解決すると言っても、やはり相手の顔を見ながら意思決定したいだろうと考え、
ビデオ通話の技術を用い、より保険の相談に特化した機能をつけてサービス化することにしました。
コミュニケーションから社会を良くする
これが、どこでも窓口で相談できるという意味を込めた「ドコマド」というサービスです。
保険代理店などに使ってもらい、家を訪問する代わりにお客さんとコミュニケーションを取るために利用してもらっています。
また、一般の人が保険の相談をネットで気軽にできるビデオチャットサービスも開発中です。
これはただのビデオチャットではなく保険の相談に特化していて、資料を見ながら話せたり、
インターネットの保険にそのまま申し込める機能などを追加しています。
さらに、契約時の話を録画・録音できる機能も盛り込んでいて、ユーザー様にとって使いやすいサービスとなっています。
こうやって、対面だと簡単にはできないようなことも、ネットを使って可能にすることで、より多くの人の生活が便利になれば良いと思っています。
今は保険の分野に特化させていきますが、将来的には、不動産や法律相談、子育て相談など、
様々な分野に特化したビデオチャットサービスをつくりたいと思っています。
私も家を買った時などそうでしたが、相談する時に「顔を見ること」ってやっぱり安心要素になると思うので、
それをオンラインで手軽に実現していきたいですね。
世の中の8割方の問題って、コミュニケーションの齟齬によって起こると考えているので、
このコミュニケーションを円滑化していくことが社会を良くしていくことに寄与できるんじゃないかなと思います。
これからも、社会を良くするサービスを自らの手でつくり続けていきます。
2015.02.11
岡村 哲也
おかむら てつや|保険のオンライン相談サービス「ドコマド」運営
ビデオ通話でどこでも保険の相談ができるサービス「ドコマド」を運営する、
株式会社 LIVE shiftの代表取締役を務める。
ドコマド
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