変わり者で居続ける事に決めました。

ヨーロッパに自ら赴き、「新しいもの」を見つけて日本でインポート販売を行う松本さん。人と比べるのではなく、自分がやりたい事をやろうと考える背景には、自身の生き方を変える、大きな出来事がありました。

松本 貴之

まつもと たかゆき|海外商品のインポート販売
ヨーロッパを中心に買い付けた商品のインポート販売を行う。

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小学三年生から洋楽を聴くような子供でした


小さい頃から、人と同じことをするのがとにかく嫌いでした。

幼稚園の頃から、みんなで一緒に電車の絵を描いたり、多数決で決めたことをするのに、
すごく抵抗があったんですよ。
人と違う、どこか新しいものが好きで、小学三年生から洋楽を聴くような子供でした。
お年玉でラジカセと洋楽のレコードを買ったのを今でも覚えています。

遊び相手は先輩が多く、教えてもらった米軍の基地放送のラジオなどを聴いていたこともあり、
かなり早くから、音楽を介して海外に関心を持つようになりました。

学生時代は音楽に打ち込んでいました。
当時はヘビーなハードロックに傾倒していたんです。
あの世界観やファッションにはまり込んでいたし、何よりも、ライブのパワーがすごいんですよね。
とにかく音楽ばかりで、勉強は全くしていなかったので、学年でビリをとったこともありました。

将来は、プロのギタリストとしてやっていこうと思っていましたね。
だから、高校を卒業したら、音楽の専門に行こうと思っていたんです。

ところが、そんなんでは食っていけないと、親に泣きつかれたんですよ。
でも大学に行けるほど勉強もしていない。
結局、卒業式の2日前まで悩んだ結果、就職することに決めました。

親に言われて辞めるくらいだったので、それくらいの本気度だったのかもしれませんね。

舗装された道のように、きれいに見えたんですよね


卒業後、建築関係の会社で働き始めました。
工場のように流れ作業の仕事だと、50歳・60歳の自分が想像できてしまうのが嫌だったので、
そうならないような仕事を選びました。

会社に務め始めてからも、ただ与えられた仕事をやるのは苦手でした。
自から進んで新しいことに手を出し、行動に移すのですが、
会社に理解してもらえないこともありました。

なにより、同期や先輩との競争に負けないよう、とにかく自分のベストを尽くそうとしていましたね。
他の人と比べて、出世のスピードや収入では負けたくないと思っていましたし、
成果を出さなければいけない、というプレッシャーも強く感じていました。

プライベートでは、 クラブミュージックを聴くようになり、自らクラブでDJイベントなど行うようになりました。
海外に関心も強かったので、旅行もよくしていましたね。

とにかく自分の限界まで働いて、音楽や旅行など、好きなこともする、
そうやって暮らしていく中で、10年先・15年先はこんな風に生活しようという展望をよく思い描いていたんです。

当時は、自分の人生の行く先が、舗装された道のように、きれいに見えたんですよね。

このままだと、自分の人生に後悔してしまうと思ったんです


ところが、社会人になって数年たったころ、私は大きな病気にかかりました。
これまでベストを尽くそうと頑張りすぎたこともあり、ストレスも原因の一つとのことでした。

そして、その病気は、命に関わるものでした。

その宣告を受けてから、私は明確に「死」を意識するようになったんです。
有名な言葉でもありますが、自分が今死んでしまうとしたら、
「満足な人生だった」と思えるか、自分に問いかけるようになりました。

そうやって考えてみると、明確に“Yes”と言えなかったんですよ。
このままだと、自分の人生に後悔してしまうと思ったんです。
出世とか、収入とか、見栄とか、私にとっては大事なものではなかったんですよ。

それから、自分だけの生き方をしようと思うようになりました。
今まで15年以上の人生設計を構想してたのを、5年以内しか構想をしないようにしました。
そして、自分がやりたいことをやって、いつ死の宣告を受けてもいいようにしようと決めました。

幸いにも、病気には無事完治することができたのですが、
私の生き方は大きく変わりました。
競争のために頑張ってストレスを貯めてしまった事もあり、人と比較をしないようになりました。

ちょうどそんな時、たまたま読んだ本で輸入ビジネスについて知りました。

これまでヨーロッパを中心に世界各国に旅行に行っていたのですが、
ある種アメリカナイズされた日本とは全く違う文化に触れ、
感性ががらっと変わったことがあったんです。
目に映るもの全てに感動し、雑貨屋さんに一日居続けた事もありました。
 
本を読んですぐに、自分がやりたいことはこれなんだ、と気付いたんです。
自分が好きな海外で、新しいものに触れ、それで日本の人を喜ばせる、
そんなことを仕事にしたいと心から思うようになったんです。

今でも人と同じ事は嫌いです


それから建築関係の仕事と並行する形で、ヨーロッパからのインポート販売の仕事を個人で始めました。

ドイツの展示会で買い付けたエコなリサイクル商品を皮切りに、
ヨーロッパを中心とした海外の商品を日本に紹介していく予定です。

今は兼業という形ですが、最低でも3年以内に、輸入ビジネス一本に絞っていこうと思うんです。
この業界は年商●億円とか、そういう目標で頑張っている人も多いのですが、
私は興味がないですね。
必要以上に稼ぐなら、余った時間で好きなことをしたいです。

やっぱり、いつまで生きられるか分からないという思いが背景にはあるんですよ。
だからこそ、周りがどうであれ、私は自分が好きなことをしようと思います。

今は輸入ビジネスをしながら、DJも続けつつ
新たにハンググライダーで世界の大空を飛ぶのが夢ですね。

今でも人と同じことは嫌いです。
だからこそ、死ぬまで変わり者で居続けたら、「満足だった」と思える気がします。

2014.03.30

松本 貴之

まつもと たかゆき|海外商品のインポート販売
ヨーロッパを中心に買い付けた商品のインポート販売を行う。

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