「0円札」で、社会貢献が見える世の中に。
金融発祥の地から、ノーベル平和賞を目指します。

社会貢献をした人に「0円札(zerobill)」を発行する、小額寄付のプラットフォームを運営する堀口さん。 日本とシンガポールで活躍する営業マンだった堀口さんが、イスラエルで起業を決心するまでにはどのような経緯があったのでしょうか。お話を伺いました。

堀口 純一

ほりぐち じゅんいち|小額寄付を集めるプラットフォームの運営
社会に貢献する行動と引き換えに「0円札(zerobill)」を発行する小額寄付のプラットフォーム、
zerobillbankのCEOを務める。

zerobillbank

「学問を通して生涯の友を得る」


埼玉県で生まれ、小学校2年生のときから、地元の少年野球に入って野球を始めました。
小学校、中学校と続け、特に高校時代は、本当に野球しかやっていない感じの体育会系的な生活でしたが、
チームとしての連帯や先輩後輩関係をみっちり学ばせていただきましたね。

また大学では「学問を通して生涯の友を得る」というモットーの国際経営論のゼミナールに入室しました。
特に英語ができたわけではないのですが、将来的に”Globalization”がキーワードになるだろうと思い、
このゼミを選択しました。
ゼミでは、年に1度、海外の大学へ行き、現地の学生とディスカッションをする海外討論会に参加していました。
海外の学生と英語で討論をすることは、とても有意義だったのですが、本当に言語の壁に苦しみましたね。
ただ夜の飲み会などでは楽しくコミュニケーションできていたので、
英語を使い世界中のいろいろな方と仕事がしたいという思いが、なんとなく芽生えていきました。

それから就職活動の時期になり、幅広い業種を受けたいと思い、あらゆる説明会に足を運びました。
就職活動当初は、自分の将来像が明確ではありませんでしたが、OB訪問など重ね、多くの先輩方の話を聞くうちに、
自分に合っている会社や、それぞれの会社の雰囲気がわかるようになっていったんです。
そして最終的には、IT技術を活用し、アイデアを形にすることできるIBMへの入社を決めました。

「0円札」を発行しよう


IBMに入社してからは、業務システムの提案営業を行っていました。
泥臭く、大変な仕事でしたが、野球での経験もあり、追い込んでやりきることは苦でなく、
300人を超えるプロジェクトチームを組閣する大規模案件などに携わる機会もいただきました。

また上司がMBAを取るために日々努力されている姿に触発され、自分でも関心を持つようになり、
違う業種の仲間と交流をしたいと思っていたこともあり、会社と並行してビジネススクールに通うようになりました。
大学を出てからも「学問を通して生涯の友を得る」という関係を求めていたような気がいたします。

そしてある時、東京企画構想学舎という、
クリエーターとビジネスの両サイドからの人材を集めたユニークな取り組みに参画したのですが、
その授業の一環で、世に出たてのiPhoneのアプリを企画するというグループワークがありました。
そこで、仲間と一緒に考えていく中で、世の中に貢献した人を評価する仕組みとして、
「0円札(zerobill)」を発行する、という概念を思いついたんですね。
貨幣的価値は無いものの、今まで形として見えていなかった世間の評判や社会への貢献度を可視化することで、
何か新しいサービスができたら面白いのではないかという構想を抱いたんです。
グループワークではあったものの、自分自身、かなり手応えを感じました。

海外生活で感じた小額寄付への関心


一方会社では、グローバルチームと一緒に営業をするようになり、英語を使う機会が増えていきました。
その中で、海外拠点のノウハウが、英語ができない自分が原因で活かせなくなってしまうことに危機感を覚え、
英語力をつけなくてはと強く感じるようになったんです。
そして、実際に勉強を始めて徐々に力がついていくと、自分の中でも自信がついたこともあり、
今度は、「自分は日本にだけとどまっていていいのか?」と考えるようになりました。

そんなタイミングで、社内でグローバルの成長市場へ経験のある人材を輩出していこうというプログラム公募があったんです。
迷わず応募をし、3回の面接を経て、シンガポールに行く機会を得ることができました。
実際に現地では、シンガポールに進出する日本企業のサポートを行い、
現地のIBMerとともにお客様のASEAN展開をご支援するITの導入をリードしていました。

ここでもチームをリードする営業を任されていたのですが、色々な国籍の人がいる中で、日本人は僕だけでしたね。
最初はコミュニケーションをとるのが困難でしたが、
小さな成果を積み重ねていくにつれて、自分への信頼感があがっていくことを実感できました。
特に、マイノリティでも評価してもらえる風土でしたし、次第に、「日本に関することは堀さんに聞け」という状況になり、
ホリサン、ホリサンと呼ばれ始めたことから、いろいろなことがうまく進むようになりました。
そして、ついには社長賞をもらうこともでき、海外で生き抜く自信がついていきました。

また、海外に来て生活する中で、買い物のお会計をするときに出る端数に関心を持つようになったんです。
そういった端数を切り上げて小額寄付に回すことができるんじゃないかと感じると同時に、
以前から考えていた「0円札(zerobill)」の概念を介在させることで、
見えなかった価値を可視化することができるんじゃないか、と思いつきました。

そうすることで、社会貢献に流れるお金を大きくすることができるし、これまで見えなかった価値観が可視化され、
世の中の貢献につながるような”動詞”に対して評価するツールにできるんじゃないかと考えたんです。
ちょうど、シンガポールでの赴任プログラムが終了するタイミングということもあり、
このまま日本に戻り、サラリーマンを続けるという選択肢もありましたが、思い切って会社を辞めて、
自分の事業アイデアをもとに、独立することを決めました。

目指すはノーベル平和賞


起業をするにあたって、これまでの経験を生かし、日本だけじゃなく世界でやっていこうという気持ちがありました。
そして、ちょうどイスラエルでの起業に出資してもらえるプログラムに合格することができたんです。
正直、起業することに迷いはありましたが、
社会人経験を持った自分と同年代の人が海外で起業するというのは、非常に珍しかったですし、
チャンスだという思いもありました。
また、イスラエルには、世界中から投資や優秀な人材が集まっているし、
特に、Startup Nationとしてのエコシステムが非常に発達しています。
それに、金融発祥の地とも言われていますから、
彼らとともに新しい価値を生み出すプラットフォームを立ち上げることに、今はとてもワクワクしています。
これからは、例えばクレジットカードや携帯電話等、様々なパートナーと連携して小額募金の仕組みを築くとともに、
自分が気になるNPOやNGOにちょっとの金額でも募金や寄付を出来るシステムを作っていく予定です。
目指すイメージは、「1円を1億人から集める仕組み」を新しいIT技術を使って実現していくことなのですが、
まずは何よりも、社会貢献の証としての「0円札(zerobill)」という考え方に共感してくれる人を増やしていきたいですね。
この「0円札(zerobill)」の考え方が、世界のあらゆる不均衡を改善する一助になればと考えています!
最終的にはノーベル平和賞を受賞することも目標の一つです。

2014.12.17

堀口 純一

ほりぐち じゅんいち|小額寄付を集めるプラットフォームの運営
社会に貢献する行動と引き換えに「0円札(zerobill)」を発行する小額寄付のプラットフォーム、
zerobillbankのCEOを務める。

zerobillbank

記事一覧を見る