起業家をメジャーな職業に!
14歳から歩み始めた、「創造の神」への道。
起業家・スタートアップへの技術投資を行う『TECHFUND』を創設したぴいすけさん。14歳にして自らの生きる道を選択し、人生の目標を「創造の神」と話す川原さんが、起業家支援事業を始めた背景にはどんな思いがあるのでしょうか?
14歳で見いだしたデザインの道
兵庫県に生まれ育ち、小さい頃からとにかく人と違うことが好きな子どもでした。
2個上に神童レベルで頭の良い兄がいたこともあり、それを自慢に思うのと同時に、反骨精神にもつながっていました。別に誰に言われたわけでもないのですが、被害妄想みたいに「俺はダメなんじゃないか」と思ったり、負けたくないというプライドもやたらと強かったんです。
だからこそ、人がしないような、何か新しいことを考えるのが得意で、小学生の時には、ドッチボールに飽きて、野球場に転がっていってしまったボールを見て、ゼロから「キックベース」を思いつくということもありました。一言で言えばただの悪ガキでしたね。(笑)
そんな風に育ち、中学2年生を迎えると、兄が高校受験をするタイミングになりました。自分にとってはそれが大きなタイミングに感じられ、ある賭けをすることにしたんです。それは、兄が地元一の進学校に合格したら自分は勉強を辞め、落ちたら自分が勉強をしてその学校に行く、というものでした。
その結果、兄は無事合格し、僕は勉強を辞めることになりました。自分自身、ここで何か変えないと、人生が自分のものでなくなってしまうような気がしたんです。それからは、何か兄に勝てるものをやらなくてはと考えるようになりました。
しかし、主要5教科は全滅でしたね。特別勉強が苦手な訳ではなかったのですが、椅子に座ってじっとしていることができず、「勉強」とは何なのかという点に、自らの答えが見いだせなかったんです。
ところが、唯一美術だけは前向きに取り組むことができ、兄よりも成績が優秀でした。元々、小さい頃から絵を描くことが好きだったこともあり、何か絵を描いて食べていける仕事は無いか調べてみると、「デザイン」という言葉と巡り会ったんです。
それ以来、デザインとは何なのかを調べるうちに、その魅力に惹かれていき、親に向けて、勉強を辞めて、普通科ではなくデザインを専門的に学べる環境に行くという旨を伝えました。それが初めてのプレゼンテーションでした。
そうやって、僕は14歳にして、デザインの道を生きることに決めたんです。
人生をかけて目指すことに決めた「創造の神になる」という目標
中学を卒業すると、予定通り工業高校のデザイン科に進学し、3年間、ひたすらデザインの勉強に没頭しました。
建築の模型から服飾のデザインまで、実際に作業服を着てとにかくデザインをし続けましたね。周りがアルバイトをする間も、自分は関心を持ち始めたITを活かしてアフィリエイトで稼いだり、フリーランスとしてデザインの仕事を受注するようにもなりました。
そんな風に色々なデザインに携わるうちに、もっとインパクトのあるデザインに携わりたいと思うようになっていきました。
そしてちょうどそんな折、テレビで佐藤可士和さんのドキュメンタリーに出会ったんです。その出会いで自らの目標値が一気に跳ね上がったような気がしました。
「自分がやっているデザインとは、こんなに大きなインパクトを与えることができるんだな」
という感動がありましたね。それ以来、自分の視野がどんどん広がっていき、最終的には、人生をかけて、全てのものは自ら生み出したと言えるような、「創造の神」になりたいと考えるようになりました。
そして、世の中へ大きなインパクトを与えるために、「会社」を丸ごとデザインしたいと考えるようになったんです。オフィスやHP、名刺に始まり、売上までデザインする、そんなクリエーションとしての起業に関心を抱くようになったんですよね。
そんな背景もあり、高校の卒業後はいち早く社会に出たいと思ったのですが、漠然と、最終学歴が高校はまずいという思いもあり、デザインの専門学校に通いながら、大阪のデザイン事務所で働き始めることに決めました。
19歳からの連続起業
既に高校時代からフリーランスとして働いていたこともあり、卒業後は専門学校に通いながらも、大阪の制作会社にアルバイトとして入社し、着実に仕事の経験を積んでいきました。
そして、19歳で知り合いの方に話を持ちかけられ、初めての起業を経験することになりました。株は持たず共同設立という形でSEO事業を行う会社をスタートしました。
また、20歳になると活動拠点を東京に移し、関西で立ち上げた先の会社に遠隔で携わりながら東京の制作会社にも勤め、広告業界とITベンチャーを兼務し、次の起業のタイミングを伺っていました。
そして、翌年21歳になってから、IT系の会社を立ち上げました。自分の中であまりにも会社を作ることのハードルが低かったこともあり、やりたいこと一個一個をそれぞれの会社にしていったり、知り合いの会社にジョイントベンチャーで執行役員として参画したりという感じで、あまりコンセプトがある起業ではなく、とりあえずベンチャーてこんなものなのかというのを経験する期間が2年ほど続きました。
そんな風にその後もいくつか会社を立ち上げていたせいか、いつしか、渋谷界隈の、ビジョンを描いて会社を起こすコンセプチュアルなスタートアップに関心を抱くようになったんです。
僕のまわりの会社は、お金をモチベーションにしている人たちが多かったこともあり、渋谷のスタートアップが放つそんな雰囲気に惹かれていき、ちょうど、あるスタートアップからオファーをもらい、晴れて渋谷のスタートアップで働く日々が始まりました。
このままじゃ、あと45年以内に創造の神になれない
正直、そのスタートアップに加わることで、給料は1/8にまで減りましたが、それでもチーフクリエイティブディレクターとして事業に関わるのは非常に貴重な経験でしたね。
ところが、プロジェクトのマネジメントをしていくうちに、ふと、創造の神になる!と言う自らの目標に対し、このままのペースだと間に合わないんじゃないかという危機感を抱くようになったんです。
その会社で取り組む事業にコミットすることで、変化や創造を起こすことはできるものの、その範囲は限られていて、ハードワーカーな自分のことだから70歳くらいで死んでしまうと考えると、自分に残された時間は45年くらいしかなかったんですよね。
そして、それしかないと、本当に大きな会社を一つ作れるくらいじゃないか?という危機感があったんです。規模の大小はあるものの、それまでで8社の創業に携わった経験がありながら、それでも間にあわない感覚がありました。
そこで、どうすればよいだろうと考えたどり着いたのは、「分身の術」ではないですが、自分の変わりに自分の夢を実現する人を捜し、自らはその人たちのサポートに回ればいいんじゃないかと考えるようになりました。
また、起業家としてベンチャー界隈で仕事をするようになってから、能力の問題が壁となり、挑戦を諦める人に数多く会いました。起業一つとっても、モチベーションで引っかかる人はあまり多くないものの、能力、特に技術で引っかかっている人が数多くいたんです。
実際に自分の周りでも、アイデアを形にしたいけどお金がなく、お金がないからエンジニアが雇えず、ベンチャーキャピタルからの投資も受けられないという人を沢山見てきたことで、そういうのはもったいないな、という課題感を強く抱いていました。
そんな風に、自らの創造の神になるという目標達成のため、そして、起業家やスタートアップの身近にある「技術がなく、挑戦できない」という問題解決のため、僕は勤めていたスタートアップを退職し、スタートアップ向けの技術投資を行う、『TECHFUND(テックファンド)』を立ち上げることに決めたんです。
起業家をメジャーな職業に
その後、5年前から同じ業界で切磋琢磨してきた一番信頼している仲間とチームを作り今年の1月から活動をはじめ、2014年10月9日、テックの日というゴロにちなんで、合同会社TECHFUNDから、株式会社TECHFUNDとしてから屋号変更を行い、「起業家をメジャーな職業に」というビジョンを達成するため、日々精力的に活動しています。
僕たちは、TECHFUNDを通じて資金だけでなく、技術の投資を行うことで、会社も無い、アイデアだけの人を支援し、誰でも起業家としてのスタートを切れる世界を作ることを目標にしています。
一般的に、まだまだ起業は難しいイメージだと思いますが、それは職業の選択肢に起業が入らないからだと思うんです。だからこそ、まずはそのエコシステムの構築を行っていきたいと考えています。
そして、領域もITに限らずゆくゆくは全方位的に展開していきたいと考えていますね。あのアップルでさえ、事業の規模はものすごく大きいけど、幅は狭い。だからこそ、投資家という立場を活かして、そういったベンチャーを多数支援することで、最終的には、
「世の中のものは、何でも自分たちが生み出した」
という状況まで持っていきたいです。
創造の神になるステップは見えてきたので、あとは実際に行動していくだけですね。
2014.10.15
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