個人が輝く時代の、身近な動画屋さんに!
好きな時に好きな場所で働く僕の生き方。
「来月からビデオグラファーとして独立するんです」と、新たな挑戦への決意を語る金泉さん。個人に絞ったコンセプトや、フリーランスという働きにこだわりを持つまでにはどんな体験があったのか、お話を伺いました。
金泉 太一
かないずみ たいち|ビデオグラファー
個人のためのビデオグラファーとして、動画名刺等を作成する。
Cross Effects
ダンスで留学
小さい頃から運動が好きでした。サッカー、テニス、水泳と、徐々に個人競技に移っていきましたね。どれも楽しかったんですが、個人の裁量で勝ち負けが決まるほうが好きだったんです。
そして、高校生活の終わり頃にブレイクダンスを始めました。たまたまTVでアメリカのブレイクダンスの番組を見て、友達と始めたんです。私は岩手県の宮古市という田舎で生まれ育ったので、ブレイクダンスをしている人なんて周りにはいなかったですね。
大学でもダンスばかりに打ち込んでいました。ダンスは、個人がフォーカスされて輝けるのが好きだったんですよね。ダンス以外だと、投資にも少しずつ興味が出てきた時期で、実際にファンドに個人で投資もしてみました。
ただ、ダンスの本場で鍛えたいという思いがあり、大学卒業後はカナダのトロントに留学することにしました。
魅せる練習
留学と言っても、ダンスチームに入りたかったので、学校に行ったわけではありませんね。
特につてがあったわけではないのですが、「スーパーナチュラルズ」というダンスクルーに入りたいと思っていたので、ダンススタジオに行き、「スーパーナチュラルズってどこにいる?」と聞いて回りました。英語はTOEIC300点程の実力でしたが、それだけは聞けました。(笑)
そして、無事に会うことができ、ダンスの腕も認められてクルーに入ることができたんです。
やはりダンスが文化として根付いている土地だと、日本とは全然違いましたね。規模や認知度が違うことはもちろんですが、それ以上にエンターテイメントとしての意識が違うと感じました。
日本だとダンスを練習する時って、鏡代わりになる大きな窓がある場所などで、自分の演技を見るための練習をするんですが、カナダでは町に出て、人前でパフォーマンスしながら練習をするんです。
あくまでダンスはエンターテイメントで、人前で魅せるためにやるという意識があり、練習時から人前に出ることで、その意識を作っているんですね。また、見る側にもチップの文化があるので、投げ銭をもらえるんです。練習をすることでお金も入ってくるので、ダンスに集中でき、日本との大きな違いを感じましたね。
そういったダンスの経験のおかげで、帰国前の2007年に語学力はTOECも550点アップの、850点まで引き上げることができました。
プロモーションの仕事
1年の留学生活を終え、ビザが切れるタイミングで日本に帰国しました。
カナダにいる時は、これからもプロのようにダンスを続けていこうと思っていたのですが、日本に帰ってきた瞬間、改めて難しさを実感しました。文化的なバックグラウンドも違うし、働かなきゃなって思ったんです。
その時に、自分はプレイヤーではなく、夢を持つ人を支援する、「ドリームプロモーター」に回ろうと決めました。そして、英語のスキルを活かすために、広告代理店の海外事業部に就職することにしました。
実際に働き始めると、仕事は激務でしたが、合間をぬって個人のWEBサイト運営もしていました。カナダにいる時から運営していたサイトで、海外の最先端のダンス情報などを日本向けに発信していたんです。
ある時、そのサイトで、ダンサーのプロモーション動画を作って欲しいと依頼があったのですが、動画なんて撮ったこともないし、動画共有サイトも一般的ではなかったので、無理だと断りました。本当は会社でやっていた店舗PRのように、ダンサーをプロモーションしたいとは思いましたが、動画を作るのには多くの人が関わるので、個人で気軽に撮影できる価格ではなかったんですよね。
その後、働きながら、将来のことを考えたいと思っていたのですが、仕事があまりにも忙しく考える時間が取れなかったので、時間をとるため会社を辞めることにしました。
動画×個人×フリー
退職した後はゆっくり考えるために、オーストラリアのメルボルンに行きました。
ゆったりとした毎日を過ごしながら、自分が将来どんなことをやりたいか考えていた時、半年ほどたった頃、「動画で表現する」という言葉が沸き上がってきたんです。
ダンサーのプロモーション動画を断ったことが頭に残っていたのと、動画自体でアピールすることは価値があると感じたことに加え、動画共有プラットフォームが台頭していた背景もあり、動画をやろうと決めました。
そして日本に帰国し、動画の勉強をしながら仕事をすることにしたんです。仕事は、英語を使え、海外の人の近くで働けるという理由でシェアハウスを運営している会社に入りました。しかし、シェアハウスの現場に入ってきて、大きな驚きがありましたね。
シェアハウスに住んでいる人って、おもしろい人がたくさんいたんですよ。この時に、個人が輝く時代の到来を感じ、こういう将来の原石である「個人」を動画で表現していくことができれば良いと思うようになりました。
そんなことを考えている時に、東日本大震災が起きました。
私の地元宮古市は被災地で、家族と連絡が取れませんでした。すぐにでも飛んで行きたかったのですが、仕事もあり行くことはできません。幸い私の家族は無事でしたが、結局地元に行けたのは、半年経ってからでした。
この時、会社で勤めていると、大事なことが起こってもすぐに動くことができず、後悔することがあると考え、将来は好きな時に好きな場所で働けるように、フリーランスになろうと決めたんです。
個人のための動画屋さん
その後、動画の勉強をしながらシェアハウスの会社には3年ほど勤めていましたが、来月に会社を辞め、ビデオグラファーとして独立することにしました。
決め手は、妻の家族が病気になってしまい、今後容態がどうなるかも分からないので、震災の時と同じような後悔はしたくないと思ったことでしたね。
そして、少し前から、夢を追いかけている個人の思いを3分間の動画にする「動画名刺」を制作しています。紙の名刺だとどうしても伝えられる情報は限られてしまうので、動画にすることで、その人の思いや人柄を伝えられれば良いですね。
ただ、動画制作は、カメラマン、照明さん、マイク係、編集者など様々な人が関わるので、非常に高額になるので、個人が作るのは難しいんです。そこで、私はすべての作業を1人でやることで、とても低価格で動画を作ることができます。
もちろん多くの人が関わる方が質の高い動画ができますが、逆にそこまでの質を求めるような企業向け動画はターゲットにはなりません。あくまで個人の動画です。
これからは個人が輝く時代がやってくるので、そうやって活躍する個人が、名刺を持つように動画名刺を持ってもらえれば良いと思っています。
また、いつかはニューヨークの街角で動画を撮りたいです。超個性的な人も多いだろうし、街自体がおしゃれですからね。
今後は世界中で夢を持ち活動している個人にとっての「身近な動画屋さん」として活動していきます。
2014.08.13
金泉 太一
かないずみ たいち|ビデオグラファー
個人のためのビデオグラファーとして、動画名刺等を作成する。
Cross Effects
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