夢にも思わぬ機会に恵まれたんです。
人に会い、発信し続けることが起こした変化。
美容系の事業者を対象に、技術以外のビジネスノウハウを教える『ホットペッパービューティーアカデミー』のアカデミー長を務めながら、個人としても大規模なイベント運営や著書の出版、大学での講義と幅広く活動されている千葉さん。「仕事もプライベートも本当に好きなことをできている」と話す背景には、やりたいことを発信し続けた積み重ねがありました。
千葉 智之
ちば ともゆき|美容系事業者向けビジネススクール事業運営
株式会社リクルートライフスタイルにて、ホットペッパービューティーアカデミーのアカデミー長を務める。
ホットペッパービューティーアカデミー
企画・発信する楽しさ
広島に生まれ、大学までずっと地元で育ちました。学生時代は塾や予備校で恵まれた先生に出会うことが多く、小学生の時の塾の先生や、予備校の現国の先生が、分かりやすく面白い授業を行う姿に、「ああ、こんなに楽しく授業ができるんだな。」とすごく感動しました。
そのうち、漠然とですが、自分も講師をやってみたいなと思うようになったんですよね。その後、地元の国立大学に進学し、自分でも塾講師のバイトを始めるようになりました。実際に授業をやってみると、自分自身は楽しいものの、レベルとしては決して高いものではありませんでしたね。
一方で、大学の授業にはほとんど出席せず、イベントサークルの活動に熱心に取り組んでいました。そのサークルはパーティーやスキーツアー等のイベント企画に加え、広島の大学生2万人にリーチするようなフリーペーパーを発行しており、学生ながら広告営業も行い、事業の利益で事務所を借りるような本格的な団体だったんです。
最初は先輩の誘いをキッカケに入ったのですが、最終的にはサークルの代表を務めるほど注力しており、自分自身、何かを企画したり発信したりすることがすごく楽しかったですね。自分の作った世界で人が楽しむというのは、選択肢が無限にあり、参加する側と比べても満足度が段違いだと感じたんです。
その後、氷河期と言われる時期に就職活動を迎えたのですが、何かを作り出すことに関心は持ちながらも、特別こんなことをしたい、というのが定まっていませんでした。ただ、それまでずっと広島で育ったこともあり、他の環境に触れたいという思いがあり、全国企業という条件で、大手企業を分野問わず見ていくことにしたんです。
その後、幸いにも複数の会社から内定をいただくことができ、その中でも、特に人に惹かれた大手建設会社に就職することに決めました。
初めての上京
入社後の配属は広島支店になったのですが、思った通り、良い人ばかりの環境でした。加えて、給料もよく事業も安定しており、非常に恵まれていました。
また、文系出身だったこともあり、建設現場の予算管理等やバックオフィス業務を行っており、実際に現場に常駐するような仕事だったため、予想通り全国各地を移動することになりました。
ある時は下関のボート上の立て替えのために、毎日レースの券を買ってから仕事場に通ったり、瀬戸内海の島のダム現場の時は、人間よりもみかんの方が多い島で暮らしたりもしました。その時は、金曜の夜にフェリーで合コンに行き、せっかく盛り上がったところで「終船」の時間が来てしまい、先に帰るというような環境でした。(笑)
しかし仕事をしていくうちに、徐々に、ずっと居続ける環境ではないかもしれないと感じ始めたんです。管理系の業務だったこともあり、それだけを続けていくことに飽きを感じるようになったんですよね。ぼんやりとですが、転職サイトも眺めるようになりました。
そんなタイミングで、新しい現場が汐留になり、生まれて初めて上京することになったんです。それまでは、一番近いコンビニまで車で45分という環境だったため、
最初は何もかもが新鮮でしたね。JRと私鉄が同じ切符で乗れないことに戸惑うこともありました。(笑)
東京での仕事はとにかく忙しかったですが、色々な人に出会える環境に来たこともあり、大学時代に行っていたようなイベントや交流会を再開するようになりました。企画や幹事は変わらず好きだったのですが、それまでは周りに人がいないような環境だったこともあり、しばらく開催できていなかったんですよね。
運良くSNSの普及も重なったため、多くの人に発信し、実際の場では自分の転職の悩み等を相談することもしていました。
発信し出会う中で気持ちが固まる
入社5年目を迎えると、転職への思いは日に日に高まっていきました。特に、地方にいた際は、色々なことに興味を持ちながらも、結局どんなことがしたいのか定まらず堂々巡りを続けていたのが、東京で異業種交流を行っていくうちに、色々な業種の生の声を聞くことができ、どんどん選択肢にリアリティを感じられるようになっていったんです。
そんな風に、改めて「自分は何がしたいんだ?」と考える機会を得て思い浮かんだのは、以前から漠然と憧れをいただいていた「講師」という職業でした。
ところが、以前教わった先生のように、面白く分かりやすく物事を伝える姿に憧れは抱きながらも、自分には教えられるものが何もなかったんですよね。また、もしかしたら可能性があるかもしれないと思って受けた社会人向けの研修会社の選考に、書類選考で落ちてしまったんです。
正直、それまで書類選考で不合格をもらったことなど無かったので、人生で初めての挫折でした。なんだか自分の中で火がついたような気がしましたね。
それから改めて考え直してみると、自分が好きなのは、誰かに対して情報を発信して何かレスポンスを体感できることだと気づいたんです。憧れていた講師も、学生時代から続けているイベントも、全部同じだったんですよね。そう考え始めると、今までしっかり考えていなかった「メディア」が、自分のやりたいことに近いんじゃないかと感じたんです。
実際に色々な人に話を聞く中で、「お前なら合っているよ」といってもらえたこともあり、メディア系の中でも、リクルートへの転職を考えるようになりました。業界も職種も違う30歳を過ぎた転職ということもあり、受け入れる度量があるのがリクルートくらいだということもありましたね。
加えて、最後に決断するキッカケをくれたのは、東京に来てから通い始めたビジネススクールの仲間達でした。自分と同じように大手企業に務めながら、学んだことを活かすことができる環境に移るため、社員数が1桁のベンチャーに飛び込むような人がいたんですよね。
そんな仲間の姿を目の当たりにし、自分もやってみようという覚悟を持つことができたんです。離職率の非常に低い恵まれた会社を離れることに対して抱いていた迷いが、ついに吹っ切れ、31歳にして、リクルートに転職することに決めました。
やりたいと思い続ければ、方法は見つかる
全く違う世界に飛び込んだ転職でしたが、新卒の会社とは違い、仕事で選んで入社したため、とにかく働くことが楽しいですね。
以前は考えられなかったのですが、休みの日にも仕事の資料を読むようになり、たまたま統括系の部門に配属されたこともあり、前職でのプロジェクトマネジメントのスキルを活かすことができ、すごく充実した環境だと感じます。
また、プライベートでも好きなことを発信し続けたことで少しずつ変化が訪れるようになりました。東京に来てから始めていたランチ会のイベントは、気づけば8000人という規模になり、いつか出せたら良いなと思っていた本についても出版の機会をいただき、自分が書ける内容は何だろうと考えた結果、人脈・モチベーション・キャリアについての著書を出版することができました。
そんな折、プライベートのTwitterで「大学で講義に関心があるので、要望があれば手弁当で行きます」とつぶやいたところ、複数の方からレスポンスをいただくことができたんです。
最終的には都内の私大での授業が決まり、それも、1回や2回でなく、単位が取れるような14回の講座を担当することになったんですよね。さすがにその回数を1人で回すのは難しいと思い、知り合いのベストセラー著者等を招いて、「大学では教わらないけど、社会で必要なスキルセット」という題目で授業を行いました。
転職の際には、講師に対して憧れは持ちながらも、「教えるものが無い」と思っていたのが、大学で連続の講座を担当できるなんて夢にも思ってみなかったですね。やりたいと思い続ければ、方法は思わぬ所から出てくるんだなと、感慨深く感じました。
現在はホットペッパービューティーという、美容院・美容室・ヘアサロンが探せる検索・予約サイトの事業に携わり、『ホットペッパービューティーアカデミー』という、美容業界の方がネット集客や人材育成等、技術以外の内容を学べる学校を企画・開校し、そのアカデミー長を務めています。
ついに、仕事でも憧れていたことに携われるようになったんですよね。まるで趣味と仕事が重なったような感覚で、個人の活動との相乗効果もすごく大きいです。自分がやりたいと思ったことを色々な人に発信し続けたことで、今は本当に全部好きなことをできている感覚があります。
だからこそこれからも、仕事と個人の活動の相乗効果を活かしながら、好きなことをしていきたいですね。
2014.08.12
千葉 智之
ちば ともゆき|美容系事業者向けビジネススクール事業運営
株式会社リクルートライフスタイルにて、ホットペッパービューティーアカデミーのアカデミー長を務める。
ホットペッパービューティーアカデミー
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