届ける人を考えて「価値を作る」
これからは経営者としてデザインを。

豊かな飲食体験を提供するためのサービスをリリースした藤原さん。「小さいころから、何か工夫ができないかと考えるのが好きだった」と話す藤原さんが、現在のようにデザインを武器に独立を決意するに至るには、どのような背景があったのでしょうか。お話を伺いました。

藤原 由翼

ふじわら ゆうすけ|厳選したみんなの【行きつけ】グルメアプリの経営
豊かな飲食体験を創ることをミッションに、お店と顧客の関係を
築く行きつけアプリ、「BEST10」をリリース。

BEST10 Inc.
BEST10 みんなの行きつけグルメアプリ

物づくりが好き


小学校のときの夢は、おもちゃ会社の社長になることでした。
レゴで遊ぶのが大好きだったんですよ。

父親が電機メーカーの社員だったので、家で何かを作るということを多く経験した影響もあって、
小さいころから物づくりが好きでしたね。

また、もっとこうしたら使いやすくなるのではないかというように、自分なりに工夫してして考えるのが好きで、
例えば、高校生のときにMDコンポが流行っていたんですが、機械の本体には曲名が表示される画面があるのに、
一番みんなが使うであろうリモコンの方に付いていなかったんですね。
「リモコンの方に画面が付いていたらもっとみんなが使いやすくなるのに。しかも一番触れるところなのにダサい」と、
まだiPodもないころに考えたりしていましたね。

そして高校2年生になり、学校で進路面談があったんです。
自分は理系で、父親の仕事の関係もあり、機械か電子を学べる大学に行くように当時の担任に勧められたんですよ。
でもそれに対して、自分のやりたいことを抜きにただ偏差値だけで目標の大学を決めさせられて、
頑張りなさいという学校の方針に強烈に違和感を覚えたんです。

そこで、何を自分はやりたいんだろう、と小さい頃のことを振り返ってみました。
するとやはり、小さいころから物づくりや工夫することが好きだったということを思い出し、
デザイナーという仕事に興味を持ちました。

調べてみると自分の場合は、ただかっこいいデザインを勉強するのではなく、
「こういう風にしたらもっと人々にとって使いやすくなるのではないか」、
などデザインを論理的にとらえることができるデザイン工学という学問があることが分かりました。

この勉強ができる大学は千葉か東北の方にしかなかったのですが、
親をなんとか説得し、神戸から千葉の大学に進むことに決めました。

届ける人のことを考えて作る


大学入学後は、基礎的なスキルやデザインの歴史を勉強していました。
でもロジックだけではなく、実務的なことも学ばなければダメだと思い、
大学2年生からグラフィックデザイナーのバイトを始めたり、
良いデザインだけではモノは売れない!という課題感から、
大人しかいない学外のブランディングセミナーに、1人で参加して勉強したりしていました。

そして、そうやって自分なりに学んでいくうちに、
デザインもマーケティングも使っている専門用語が違うだけで、
本質的には「人を理解して価値を創って届ける」という目的は同じなんだと気づきました。

でも、その考えを理解してくれる人が自分の大学にはあまりいなかったんです。
ただ大学3年生のときに、デザイン業界では有名なある先生が来てくれて、
その先生には共感してもらえたんですよ。
先生のもとでは本当に多くのことを学ばせてもらいました。

また、大学3年生からは109に入っている、あるブランドの立ち上げに参加しました。
何もない事務所からはじまり、実際にテナントに入るのを見届けるところまで、
事業開発を手伝い、ベンチャーって面白いって思いましたね。

このようにブランドの全てに関わる経験をしたことから、自分は若いうちからサービス全体をディレクションできる仕事がしたいと思うようになったんですよ。
どうしても大手のメーカーであるほど、若いうちは全体の一部の小さな仕事からしかやらせてもらえず、全体に関わることって難しいと思うんです。
もちろんそういった経験も必要だとは思うんですけど、自分は「体験をデザインする」ためにサービス全体を見れる仕事がしたかったんですよね。

そう考えたときに、若いうちから様々な仕事を任せてもらえそうなweb業界で、
しかもいろいろな領域にまたがって様々なサービスに触れられる可能性が高い、IT系のある大手企業に自然と興味を持つようになりました。

周りの友人の多くは大学卒業後、大学院に行く選択をしましたが、
自分はそういった学外での経験から、デザイン業界だけにこだわらなくてもいいなと思っていたこともあり、
内定をもらってそのまま就職することを決めたんです。

自分で掴んだチャンスを活かし、次のステップへ


会社では新規サービス立ち上げを主に担当するチームに配属されました。
入社前は、自分の学びたいことは1年くらいで習得できると思っていたので、あまり会社に長くいるつもりはなかったですが、
働いてみると学ばなければいけないことが多く、成果を出すには人の2~3倍頑張らなきゃと気づいて、
デザインやwebやビジネスの専門書を買うのに給料のほとんどをつぎ込みました。

すると、1年目の冬にiPhoneアプリを何でもいいから作ってみるという有志のプロジェクトが他部署で発足しているのを発見し、
メインの業務もこなす上でそれにチャレンジすることを上司にお願いし、そのプロジェクトに参加することになりました。

後に会社が本格的にサイトのスマホ対応やアプリを作ることになったときに社内のディレクター/デザイナー側で知見があるのは自分しかいない
状況が生まれ、
若手ながら大きなプロジェクトにもたくさん参加させてもらい、実績を積ませてもらうことができました。

ただそうやって最前線で働く中で、意思決定をもっとこうしたらいいのにとか、自分ではどうにもならないと感じることも多くあったんですよ。
良いものを作るためには、任せられるだけのデザイン以外のスキルを身につけて、
もっと経営に対してコミットしなければダメだと思ったんです。

そこで、4年半ほど勤めた会社を辞め、独立して、ベンチャーキャピタルと投資先をデザイン面からサポートする仕事を始めました。
様々なスタートアップの経営会議に出席したり、
ハンズオンでデザインの視点からアドバイスをする中で、
たくさんの起業家にお会いしました。
彼らのサポートを通して、経営に携われるのはとても勉強になりましたし、みんな本気なのでやりがいもあり、充実していましたね。

でも段々と多くの起業家と接していくうちに、
自分も応援するだけではなく何かをやってみよう、挑戦しよう、という思いが強くなっていったんです。

自分でリスクをとって、理想とするチームを作って、ユーザーの皆さんに価値あるものを提供する生き方って最高だと思いましたね。

応援するだけではなく、自分も挑戦する


しばらく、スタートアップを支援しながら自分が志をもって取り組めるテーマを探していました。

そして、ちょうど1年間働いたあと、あるテーマと共に起業することを決意しました。

4年半ほど通っているカフェバーがあるのですが、お店の人や他のお客さんとの関係も含めて自分にとっては特別な存在で、
自分の人生には欠かせないというか、とても大切なお店なんですね。

でも料理の味がどうとか、既存のサービスではその魅力は伝わらない。
これからの時代に必要なサービスの役割は、お客さんを送客して終わりではなく、
その先にある飲食体験そのものをより豊かにすることや、そのような体験を量産しやすくすることだと思います。
そこで、お店とお客さんの関係を築き、豊かな飲食体験を創る、
行きつけグルメアプリを作るという考えに至りました。

まだまだこれからですが、ちょうど「BEST10」というサービスをリリースしたところです。
ありがたいことに仲間には恵まれているので、
必ず価値あるサービスに育てられると信じています。

やってみたいことはたくさんありますが、死ぬまでに実現したい最終目標としては、
自分が工夫する楽しさを学んだすべての原点である、レゴを超えるものを作りたいですね。
本当に感謝しているので。

2014.08.08

藤原 由翼

ふじわら ゆうすけ|厳選したみんなの【行きつけ】グルメアプリの経営
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築く行きつけアプリ、「BEST10」をリリース。

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