人生に自立と自由を!
共に戦ってきた「女性」への恩返しの挑戦。

日本初のハイキャリア女性特化の転職サービスを運営されている松本さん。「自立と自由」をテーマに人生を歩む松本さんが「女性のキャリア」に使命感を抱くようになった背景には、どのような背景があったのでしょうか?

松本 洋介

ようすけ まつもと|ハイキャリア女性特化の転職サービス運営
日本初のハイキャリア女性特化の転職サービス『Lib(リブ)』を運営する株式会社LiB(リブ)の代表取締役を務める。

Lib(リブ)

「自立と自由」の渇望


幼い頃から、「自立と自由」への憧れがありました。家が商売をやっており、業績が自分たちの生活にダイレクトで反映されていたこともあり、頑張れば報われるし、頑張らないと報われない、ということを身を以て感じ、ずっと社会って自由だなって憧れていました。

ところが、それに比べて当時、子供だった自分はすごく不自由だったんです。 当たり前ですが両親に決められた場所に住み、両親が決めた食事をとるという状況が、なんだか人の人生に乗っかっているようで、小学生ながら、自分で人生をコントロールできる大人をうらやましく感じ、「経済的に自立し、一人暮らしをすること」が将来の夢でした。

その後、高校生になる頃には、実家を出て祖母の家に住み、学校にもあまり行かずにバイトばかりしていましたね。仕事を頑張ると評価されるし、世の中のことを知れる、それに自分で大学受験の費用も稼ごうと決めていたんです。

卒業後は東京の大学に進学しようと決めていました。地元が埼玉の田舎でとても暇だったこともあり、暇つぶしをしている仲間が多かったのですが、僕はそういったことが得意でなく、知的好奇心が全く満たされなかったんですよね。どこかで東京の大学に行くと面白い人がいるという話を聞いてからは、そんな環境に身を置きたいという気持ちを強く抱くようになりました。

それから実際に東京の私大に進学すると、まさに期待通りの大当たりでした。とにかく色々な人に会う生活は刺激的で、唯一の誤算は、仕送りも受けず生活しているため、生活費を稼ぐためのバイトに時間を割かれすぎることでした。気付けばバイトを3つも掛け持ちし、大学生でいることを保つために働いていたんです。

そんなある時、アルバイトの引っ越しの現場で、派遣先の引っ越し業者の方と話しているうちに、登録している人材派遣の業者に中抜きされている金額の大きさにすごく驚きました。それまでは自分の仕事だけに目が向いていたのが、自分置かれた環境の仕組みを知ってしまったんですよね。

それ以来、

「このまま使われていたらダメだな、仕組みを作る側に回らなければ」

という思いから、大学2年の時に仲間達と会社の物まねみたいな事を始めました。

理想の会社のイメージ


それからはとにかく必死で、一緒に始めた仲間と、まさに寝ないで働き、 大学生向けのアルバイト情報のメールマガジンや、リサーチモニター事業を展開し、 なんとか軌道に乗ってからは、自由な時間も増え、4年生の時には旅行をしたり、人に会ったり、好きなものを食べたり、 自分の人生を自分で決めているという感覚を強く持つことができました。

ところが、周りが就職活動をはじめた頃、すごく悩み始めたんですよね。仲間達との仕事は楽しかったものの、正直、金儲けをみんなでしているような感覚で、サークルと大きな違いは無かったんです。

だからこそ、良い会社ってどうなっているのか知りたいという気持ちがあり、 自分がいつか大きく起業をするときに備えて、中に入って盗みたいと思える会社に絞って就職活動を行い、結果として株式会社リクルートに入社することに決めました。

そんな期待を抱いて入社して、いざ働き始めてみると、案の定ものすごく勉強になりましたね。女性ユーザーが中心のメディア事業での営業や事業企画を経て、新規事業の立ち上げにも携わる機会をいただき、様々な業務を通じて理想の会社像のイメージをつかむことができました。

「この案は自分で会社を作ったら盗もう」

と思いながら仕事をしていましたね。(笑)

そんな風に働き4年が経つと、ひとしきり会社をみたこともあり、ぼんやりと卒業を考えるようになりました。リクルートはすごく素敵な仲間も多く楽しい会社でした。待遇も良いし。(笑)だからこそ、そのまま居続けてしまうことが怖かったんですよね。

いくつか選択肢はあったものの、結局、自らもう一度起業しようと思い、資金を集めるため、お金を出してくれそうな、ベンチャー企業の社長を回ることに決めました。

そんな中で女性向けのマーケティング事業を行っていたトレンダーズ社長の元を訪れた際、「一緒に会社をやって上場を目指さないか?」と誘っていただいたんです。
自分自身、それまで女性の消費に携わる事業を担当しており、取り組もうと思っていた事業も、世の中を女性目線で再構築するようなものだったので、そういったチャレンジを、トレンダーズの環境を使ってできるのはすごく面白いなと思いました。

何より、自分で物事を決め、結果に対して責任をとって働ける環境だということが、とにかくモチベーションになったんですよね。僕はトレンダーズに最高執行責任者(COO)として参画することに決めたんです。

自分のテーマ


僕がトレンダーズに入った際に請け負ったミッションは、営業部を0から作り、会社を上場させることでした。

いざ社内に入り働き始めると、正直会社はガタガタな状況でした。まずは負の遺産と戦うことから始め、赤字を止めることが第一目標という、とにかく大変な環境での挑戦でした。特に、立ち上げたばかりの営業部では、会社の売り上げの大部分を自分の案件が担っており、この案件を受注できるかどうかで目標達成が決まる、というようなシーンが何度もありましたね。

それでも、3年ほど経つと段々とやってきたことが実っていき、一緒に働いていた新卒社員が戦力化してからは一気に事業も軌道にのりました。周りの仲間と一緒に、とにかくがむしゃらに目標にコミットしていました。

そして、なんとか5年かけて上場までたどりつくことができたんです。上場が決まった時は、ものすごく感慨深く、とにかくホッとしました。

同時に、それまではとにかく目の前の目標だけを追いかけていたこともあり、久しぶりに、自分がどう生きていくべきかを考えるため、上場が決まった年末、海外で時間をとり、自らの人生について考えてみることにしたんですよね。32歳のことでした。

実際にこれまでのことを振り返ってみると、やっぱり、自分が理想とする組織をゼロから創りたいという気持ちがありました。よくも悪くも、「自分が社長だったら・・・」と思うことがあった分、今度は、自分のテーマに挑戦したいという感覚があったんですよね。

また、前職を含め、同僚の7割以上が女性という環境で働く中で、本当に優秀で頑張ってきたような女性が、悩んでいる姿に立ち会うことがとても多かったんです。部署の部下と面談をしていても「私のこの働き方はいつまでできるんだろう?」という話をいつもしていて、誰かがなんとかしなければいけないという気持ちがありました。

自分自身、周りの女性メンバーたちの助けが無ければ上場という目標達成などできなかったという感謝もあり、今度は逆に、彼女達が生き生き働くことに貢献したいという使命感があったんです。

そんな決心をしたものの、当時は営業担当取締役という責任のある立場だったので、最大限業務への支障を避ける為に、約1.5年という期間をかけて引き継ぎをした後にトレンダーズを離れ、女性のキャリアをテーマに、もう一度独立することに決めました。

「挑戦したいのにできない」を無くす


起業の決意をした2012年末から、約1.5年の引き継ぎを経た2014年4月、ついに仲間達と会社を立ち上げました。

初めて起業した学生時代と比べると、こんなにスムーズなんだということに驚きますね。知識と経験があることが自分の糧になっていますし、何より、オフィスに来るのが嬉しいと思えるのが、すごく幸せです。

今取り組んでいるのは、まさに僕が一緒に仕事をしてきたような仲間のためのサービスで、日本にこれまで無かった、ハイキャリア女性特化の転職サービスです。

正社員雇用の女性が、キャリアアップの転職はもちろん、一度ペースを落として働くための転職であったり、家庭とのバランスをとるような働き方であったりと、ライフイベントに沿った選択肢を可視化できるようにしています。

今後、日本は労働人口が減っていくにも関わらず、先進国の中ではほぼ最下位のジェンダーギャップがあり、特に30代で訪れるようなライフイベントが起因して女性がキャリアを断絶してしまい、マクロ的に見ても、すごく非効率な状況なんですよね。

そして何より、それまで一生懸命やってきたのに、ある日突然、「女性だから」という理由で諦めなければいけないというのは、おかしいと思うんです。

「女性に働いてほしい」というわけではありません。「挑戦したいのにできない」ということを無くしたいんですよね。

自分自身、自立や自由がテーマの人生を歩んできました。言うならば、「自己実現」のために生きてきたんです。

今までは、自らの自己実現のために、周りの協力も得ながら突き進んできました。だからこそ、これからは、自分の周りに目を向け、女性のキャリアというテーマで、他の人の自己実現に貢献したいと思っています。

前を向いて生きる人が増えればいいなと思うんです。

2014.08.05

松本 洋介

ようすけ まつもと|ハイキャリア女性特化の転職サービス運営
日本初のハイキャリア女性特化の転職サービス『Lib(リブ)』を運営する株式会社LiB(リブ)の代表取締役を務める。

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