「お薬」と「芸能」。
北海道から飛び出し見つけた、やりたいこと。

現在、登録販売者として薬に関わる仕事をしながら、ラジオの司会や料理本のモデルなどの芸能活動もされている遥野さん。「やりたいことがなかった」と話す過去から現在に至るまでには一体どんなストーリーがあったのでしょうか?

遥野 ユカ

はるの ゆか|登録販売者・「声」を中心とした芸能活動
登録販売者として薬局に勤める傍ら、
ラジオのMCや料理本のモデルなど幅広く芸能活動を行っている。

「成りきること」が好きでした


私は小さい頃、何かに成りきるということが好きでした。
特に『セーラームーン』や『モーニング娘。』が好きだったので、
そのセリフやダンスをよく真似していましたね。
小学校の時は演劇クラブに入り、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』を皆でやったりもしました。

中学生になっても歌うことや真似をすることは好きで、
好きな歌手のコーラスパートなんかをよく口ずさんでいました。
合唱コンクールでは人一倍、張り切って取り組んでいた気がします。

中学には演劇部がなかったので、友達に誘われてバドミントン部に入ったのですが、
あんまり興味が無かったのですぐに辞めてしまいました。
その時は、まだ子どもながらに

「私は興味のあることでなければ、やっても続けられないんだなぁ。」

ということを感じました。

高校は特に大きな希望などはなかったので、
家から近いということと、公立に行きたかったということから、地元の高校に進みました。

入学後は茶道部に入部して週1回の活動で出るお菓子を楽しみにしつつ、
短期で色々なバイトをやっていましたね。

周りの友人がうらやましかった


高校に入学した時は、やりたいことがこれといって無かったので、
それを見つけたいと思い、
飲食店やスーパーなどの、沢山の人と話す機会がある仕事を短期で色々とやっていました。

でも、なかなかやりたいことが見つからなかったんです。

友達の中には「看護師になりたいから看護学校へ行く」というように、
しっかりとした夢や目標を持っている子も沢山いました。
そんな周りの友達が羨ましくて、ちょっぴり劣等感のようなものも感じていましたね。

そんな中、高校3年生の時にひょんなことから「薬剤師」という仕事に興味を持ったんです。

私が風邪をこじらせて、薬局に薬をもらいに行ったときに、たまたま「薬剤師」の存在を知ったのですが、
人のために薬を調合する、という仕事がすごく魅力的に感じました。

ただ、すでに高校3年生で、それまであまり勉強もしていなかったため、先生に

「今からでは逆立ちしても薬科大学には受からないよ(笑)」

と言われしまったこともあり、諦めてしまったんです。

かといって、高い学費を払って他の大学でやりたいことを見つけようとも思えなかったので、
とりあえず就職しようと思い、地元の会社に勤めることにしました。

就職後は事務として働きながら、やっぱり自分のやりたいことを探すために、
色々な人と接する機会を増やそうと意識していましたね。

また、就職してしばらくしたころから、恋愛シミュレーションゲームにハマってしまい、
時間も忘れてのめり込んでいたので、眠い目をこすりながら仕事をしていたこともよくありました。(笑)

東京で触れた自分と向き合うキッカケ


働きながらやりたいことを見つければいい、と思い就職したのですが
その時は心のどこかで、

「どうせ、やりたいことなんて見つからないだろう」

と半分諦めていた気がします。

そんな生活を4年ほど続けたある日、
先輩から東京の自己啓発セミナーに誘われたんです。

「俺は、そのセミナーに行って自分のやりたいことを見つけた。だから君もきっと見つかるよ」と。

最初は、そもそも自己啓発の意味すらわからなかったし、
そしてわざわざ時間とお金をかけて北海道から東京へ行き、
知らない人の話を聞くこうとも思えませんでした。

でも、たまたま会社の休みがとれて、実家暮らしでお金に余裕があったので、
8割ほど疑いつつも、そのセミナーに行くことにしたんです。

実際に行ってみると会社の社長さんなどの、
普段では絶対に話す機会がないような人が沢山いました。

そして、そんな人たちが自分の今までのことを話しているうちに
感情が溢れ出て泣いてしまっていたんです。
その光景がとても衝撃的でした。

また、私自身、色々な方とお話しする中で

「本当は何がやりたいんだろう?」

と本気で自分と向き合うことができました。

そうやって向き合っていくうちに、幼い頃に「何かに成りきること」が好きだったこと、
そして時間を忘れてやっていた恋愛シミュレーションゲームの中で、
特にキャラクターの「声」が好きだったことに気づいたんです。

その後、「何かに成りきる」ことと「声」という観点から、「声優」という仕事の存在を知り、
やってみたい、と興味を持つようになったんです。

もっと好きなこと。


その後地元に戻ってからは、引き続き会社に勤めながら、
「成りきる」×「声」という視点から興味を持った、声優の学校に行きながら、
バイトをするという生活を送っていました。

そんな中で、自己啓発セミナーに誘ってくれた先輩が、
夢を追いかけて東京に行くことになってしまったんです。
人間的にも尊敬していて憧れていた先輩だったので、とても寂しかったですね。

その2ヵ月後、先輩が一度札幌に帰ってきて、その時にお話をする機会があったんです。
東京の様子など、色々なお話をしていたのですが、その中で、

「やりたいことがあるなら、死ぬ気でやってみ?大丈夫、死なないから」

と言われたんです。

その言葉を聞いて、私も思い切って仕事を辞めて東京に行くことにしました。

上京後は、芸能事務所に所属して最初はエキストラなどの小さな芸能の仕事をやりながら、
ラーメン屋のバイトで生活費を稼いでいました。

その後、たまたまゲストで出演したラジオ番組でレギュラーとして出演することができるようになり、
東京に来て本当に良かったと思えるようにもなったのですが、
25歳になったころから、ラーメン屋でのバイトとの並行は、体力的にだいぶきつくなってきていました。

四捨五入したら30歳といういい年齢だということもあり、
ある時友達と話しながら改めて自分がもっと好きなことは無いだろうか、
と考えてみました。
そこでふと、高校時代に「薬剤師」に興味を持っていたことを思い出したんです。

「そうだ、私薬剤師になりたかったんだ!」

と気づいたものの、そこから勉強してお金をかけて薬科大学に行く気力は無かったので、
薬局で働きながら何かキッカケを探すことにしたんです。

すると働き出してすぐに「登録販売者」という一般用医薬品を販売できる資格があることを教えてもらい、
「これだ!」と思ってすぐに勉強を始めました。

性格的に勉強は好きではなかったのですが、芸能とバイトで暮らすことが不安でした。
そして、一度試験に落ちてしまうとその次は1年も待たないと受けられなかったので、
このときは人生で一番勉強をしましたね。

その結果、なんと合格点ぴったりで資格を取ることができたんです。

正直落ちたと思っていたので、その時はあまりの嬉しさに泣いてしまいました。

現状に満足しない


現在、平日に登録販売者として薬局で働きながら、
土日や夜などの時間でラジオや街コンの司会なども行い、
声優にこだわらずに「声」に関わる色々な芸能の仕事を行っています。

自分の好きなことをやりながら日々生活をしているので、
時間が過ぎるのも早く、とても充実した時間を過ごせていますね。

最近では、元々やりたかった声の仕事だけでなく、
料理本にモデルとして出させていただいたり、ちょっとした演技をやらせてもらったり、
と幅広く活動をさせていただいています。

今はまだ、そこまで人目に触れる仕事は多くないので、
もっと多くの人に見てもらえるような仕事をやっていきたいと思っています。

将来は、今私が登録販売者として関わっている「薬」と「芸能」を絡めて、
大きく言えば女医の西川先生の立ち位置のような「薬のお姉さん」みないな活動もしてみたいですね。

また、まだまだ世の中には私が知らない素敵なことが沢山あって、
その中からもっとやりたいことを見つけられるかもしれない、と思っています。

なので、現状に満足することなく沢山の人と関わることを続けて、
自分のやりたいことをもっと追求していきたいですね。

2014.07.07

遥野 ユカ

はるの ゆか|登録販売者・「声」を中心とした芸能活動
登録販売者として薬局に勤める傍ら、
ラジオのMCや料理本のモデルなど幅広く芸能活動を行っている。

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