「金融」をあるべき姿に。
人生に悔いを残さないためにやるべきこと。

「金融業界を変える」大きなミッションを掲げ、将来のビジョンを楽しそうに語る吉敷さん。しかし、その笑顔の裏には自身の死を見つめざるを得ない、壮絶なご経験がありました。何を考え、どのように生きてきたのか、お話を伺いました。

吉敷 輝

よしき ひかる|クラウドファンディングサイト運営
14stars株式会社代表取締役CEO。
クラウドファンディングサイトCapBaseを製作中。
現在デザイナー募集中。ミッションに共感して下さった方は是非連絡をお待ちしております。

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初めての商売


小さい頃から、やんちゃな子どもでした。

「良い子になりなさい」と母親に言われて、
「なりたいけど、すぐにはなれない」なんて答えていた記憶があります。

団地に住んでいたので、遊び相手は同じ団地の年上のお兄ちゃんお姉ちゃんばかりでした。
この頃から、年上の人に可愛がられるということを、体で覚えたんでしょうね。

年下だったこともあり、駄菓子屋などではいつもお菓子を買ってもらっていましたが、
お金を払ってもらっていることに申し訳なさがありました。
そこで、小学校1年生の時にはお年玉で「ネリケシ」と「消しゴム」を買って、
それを良い具合に配合することでネリケシの量を増やし、友達に販売する商売を始めていました。

親には止めるように言われたけど、お金を稼いで使うことに執着している自分がいましたね。

その後、小学校4年生の時に転校して、野球を始めました。
元々水泳やソフトボールが得意で、スポーツに自信がありましたが、
野球も2つ上の先輩に混じったチームでレギュラーで試合に出ていました。

ただ、6年の時に出場した全国大会で、『自分はプロにはなれない』と感じました。
体が小さかったし、明らかに生まれ持ったセンスが違う人が、全国には沢山いたんです。

中学校では陸上部に入りながら、野球チームにも所属しましたが、
小学生の時のチームとは違い弱小チームだったので、あまり本気ではなかったですね。

限られた力を活かす


一方学校生活では、中学2年生の頃に今まで仲良くしていた友人から無視されるようになりました。
同時期に、疲労骨折で骨が3本くらい折れてしまったことも重なり、
「なんで俺ばっかり」と悲観していたんです。

その時母親が「学校には行かなくても良い。もし行くなら仲間を見つけなさい。」と言ってくれました。
そこで、いじめられていたグループとは違う友達と付き合うようになり、
自分を支えてくれる親友をつくることができたんですよね。

その友達は高校受験の時も助けてくれました。
僕の通っていた中学校は荒れていて、図書室ではうるさくて勉強に適さない環境だったのですが、
友人の1人が、僕が勉強するために、音楽室を使えるよう先生にお願いしてくれていたんです。
しかも、その彼は推薦で進路が決まっていたのにも関わらず、一緒に勉強しようと誘ってくれました。

すべり止めの試験で失敗して後がなかったのですが、彼のおかげで志望していた高校に入学できました。

そんな経緯で高校に入ってからは、女子生徒からの応援の声を求めて、また野球に熱中し始めました(笑)

いかに限られた自分自身の力を最大限に活せるか研究していましたね。
正直、同じ位の実力の選手がレギュラー争いをすると、結局は監督の好みで選ばれちゃうこともあるので、
圧倒的な実力をつけなければならず、そのために自分の力を最大限活かす必要がありました。

強みだったスウィングの早さを鍛えるために、4種類の重さが違うバットで練習したり、
ボールとバットがあたった瞬間のインパクトを最大化するために、
バットの代わりにスコップを使い、空気抵抗を考えて一番ボールに力が伝わる振り方を練習したりしました。

その成果が出ていたので、打撃は正直かなり自信がありました。
この経験を通じて、「どうあるべきか」を考えてから「どうやるか」を考える癖がつきましたね。

頑張る姿をみるから頑張れる


大学でも野球をやりたいと思って勉強をしていたのですが、
浪人の末、滑り止めで合格した大学に進学することになりました。

その時に親戚から「良い高校に入ったのに、3流の大学じゃねぇ」と言われたんです。

この言葉にひどく傷つきました。
頑張って何かに取り組んでも、結局自分が傷つくだけなんだと思い、大学時代は腐っていましたね。
金髪にし、学校にはほぼ行かず、呑んだくれ、ギャンブルに明け暮れる日々でした。

そんな時に、高校受験の時に僕を支えてくれた友達から電話がきました。
彼は肺に穴が空き入院していて、もしかしたらもう運動はできないかもしれない状態だと教えてくれたんです。

その時に今までの自分の行動にとてつもなく後悔を感じました。

彼は、大学で腐っていた自分にも、
「お前が頑張ってる姿をみて、頑張れる人もいるんだぞ」と、励ましてくれていたのですが、
自分は変わることから逃げ続けていたんです。

この時から、自分自身を変えようと思いました。

色々な経営者に会いに行って話を聞いたり、ビジネススクールに通ったり、
サンフランシスコで本場のベンチャーを見るといったこともしました。
そんな経験をしていくうちにベンチャーが面白いと感じ、将来会社を立ち上げたいと思うようになりましたね。

一方就活では、将来の起業を見据えて金融業界に進むことにしました。
世の中を変えるためには、マクロな視点で社会全体のお金の流れを知る必要があると考えたためです。

そして、証券会社に入社することに決めました。

今日生きられなかった命


証券会社では1年目に福岡に配属され、
個人と法人のお客様に対して、金融商品を新規で販売する仕事を担当しました。
お客様にも可愛がっていただき仕事は楽しかったのですが、3年目以降にやるであろう仕事には違和感がありました。

3年程仕事をして固定のお客様がついてくると、その方たちに金融商品の「買い替え」を提案するようになるのですが、
これがお客様のためではなく、正直会社のノルマ達成のためになっていることが多いんです。
証券会社として、買い換えるときの手数料が売上になるので、お客様の利益は関係なく、ひたすら転換を勧めるんです。

お客様のためにならない、そんな売り方はしたくないと感じていました。

そんな1年目の10月29日、研修のため東京に戻って来ることがあったのですが、お腹がすごく痛くて病院に行きました。
その時は、精巣の炎症と診断され薬の処方などをしてもらったのですが、
数日しても一向に治る気配がなく、むしろ精巣がどんどん腫れていきました。

念のために大学病院で検査をしてもらったのですが、結果が出る否や入院することになりました。

緊急手術が必要で、病気の種類によっては、死ぬ可能性もあり、
手術をしても全身不随や、子どもができない可能性があると言われました。

突然のことで何が何だか分からなかったのですが、

「明日死んだら、人生に悔いはないだろうか」

そんなことばかり頭によぎっていました。

病院のオペ室が空き次第、すぐに手術することになりました。
手術では麻酔が効きすぐに意識はなくなっていき、次に気づいた時には両親が泣き、医者が謝っている病室にいました。

精巣を摘出したんだと悟りました。

「なんで俺ばっかり」

一言つぶやいて、また意識は遠のいていきました。

深層心理だったんでしょうかね。
しかし、僕が入院していた同じ病室には、末期がんの人や死期が迫っていつも泣いている人などもいました。

「今日生きられなかった命」があることを心から感じたと共に、
自分の命があるうちに「起業したい」という思いだけが心に残り続けました。

この時にまたゼロに戻って、歩き始めた感覚がありました。

資金を融通する


その後、会社に戻って1年ほどリハビリや勉強などを続け、2年目が終わる時に退職して会社を立ち上げました。

この会社では、「真の金融」の実現を目指しています。
本来、金融とは読んで字のごとく、必要な人のもとに「資金を融通すること」だと考えています。

しかし、現在の日本は、個人の預金資産は増えているのにも関わらず、資金を必要としている企業への融資額は減少しています。
なぜなら、個人から預かったお金は、金融業者にとってリスクの少ない国債や日本銀行の当座預金に使われているからです。

この現状を打破するため、まずはクラウドファンディング事業を通じて、個人から企業へお金が融通される仕組みを作っています。
ただ、今のクラウドファンディングは、若年層向けになってしまっているので、
富裕層にアプローチするために、支援の対価として何かを購入するのではなく、
株式や債権、優先出資証券等を得られるようにする仕組みを作っています。

富裕層に使っていただくサービスこそが、将来も続く文化になると考えているからです。

そうやって富裕層から企業に資金が流れる仕組みを作っていき、
将来的には自らが証券会社となり、企業から企業にお金が流れる仕組みを作りたいと考えています。
そして、証券マン時代に感じた「売りたくない商品」ではなく、
お客様に本当に価値のある「売りたい商品」を扱う証券会社を目指します。

正直、金融業界が変わるのは難しいし、若者の戯言と揶揄されることもありますが、
我々若い世代が本気で変えていかなければならない業界だと感じています。

僕は、今まで支えてくれた友達が見ていてくれているので、簡単に諦めるわけにはいかないんですよ。
金融の「あるべき姿」を掲げて、「どう実現するか」を考えながら走っていきます。

2014.06.24

吉敷 輝

よしき ひかる|クラウドファンディングサイト運営
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