大学院に進学してからは、それまでと環境が一変しました。授業の予習復習だけで毎日大忙しで、アルバイトは続けられず奨学金をいただくことになり、ボクシングではプロのライセンスを取りながらも、頻度は減っていきました。しかし、高い目標を掲げて目的意識が明確な人が集まっていたため、授業は非常に充実していましたね。「これが勉強か、これがキャンパスか」ととても驚きました。ストレートで進学した23歳から、上は60代まで幅広い学生が集い、それまで自分はどこか浮いた存在だったのが、周りと伸び伸びわいわいと過ごすことが出来ました。

そして、29歳のタイミングで卒業を迎えると、MBAホルダーの慣例に漏れず、金融や経営コンサル、自ら起業など、様々な選択肢を考えました。しかし、「ほんまにこれがやりたいことなのか、情熱を注げるのか?」という疑問に答えが出ず、思い悩む日々が続きました。

そんな時、大学院で一番仲の良かった韓国人の留学生の知人がいつも相談にのってくれていました。自分も忙しいにも関わらず、市場や業界の話から私の性格や志向性の話まで、幅広く話を聞いてくれ、本当に助かりました。そして、ある時、「これを仕事にできないだろうか?」と考えるようになったんです。大学進学を先輩から薦めてもらったことも含め、自分自身が周りからのアドバイスや相談で大きく変わったからこそ、同じように悩んでいる人の役に立ちたい、と。

そこで、人材業界を考え始め、中でも社会性が高い分野で働きたいという思いから、医療に関わる人材系の企業を探すようになりました。中でも、キャリアコンサルタントも求人側のクライアント営業も一気通貫で出来ること、大企業ではなく成長中のベンチャー企業であることに惹かれ、求職中の看護師と求人したい医療機関を繋ぐ「医療ワーカー」でキャリアコンサルタントとして働き始めることに決めました。