動画は人の人生を変える。僕がNHKからスタートアップに転職した理由。
NHKで10年間番組制作に携わった後、動画共創プラットフォームを運営するスタートアップに転職した高橋さん。憧れて入社したテレビ局を退職し、新しい挑戦に踏み切った背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
高橋 俊輔
たかはし しゅんすけ|動画共創プラットフォームベンチャー勤務
動画制作に特化した日本最大級の動画共創プラットフォームViibar(ビーバー)の運営を行う、
株式会社Viibarに務める。
株式会社Viibar
テレビへの憧れ
高校生の時に、「美女か野獣」というドラマを見たのが、TV局に憧れを抱く最初のキッカケでした。
福山雅治扮する報道ディレクターが、周りに阻まれながらも、世の中に伝えなければいけない大切なことを伝えようとするという内容だったのですが、その姿を見て、「なんかカッコいいな」と思ったんです。
「組織に流されず社会に必要なことをする」という姿勢に憧れたんですよね。
それ以来、将来はテレビの世界で働きたいと思うようになっていきました。大学を選ぶ際にも、マスコミの動向を調べ、就職が強そうな大学・学部として、文学部の新聞学科に入学しました。
また、中学高校と生徒数の多い私立のマンモス校に通っており、運動をしたいなと思いながらも、どの部活も全国レベルで、結局できなかったんですよね。自分としてはイケてないな、という気持ちがありました。
そんな背景もあり、大学では部活や、テレビに関することなど、やりたいことを思いっきりやろうという気持ちでしたね。
アルバイトで憧れのADを経験
早速入学初日から、NHKで働いている先輩を出待ちして、連れて行ってくださいよと頼みました。紹介と面接を経て、なんとかスポーツ報道局のADのアルバイトをさせてもらえることになり、夜のニュース番組の野球のコーナーの担当を務めることになりました。
実際に働いてみて、やっぱりこれが自分のやりたいことだなと感じましたね。加えて、テレビの絶大な影響力も改めて実感しました。
部活でアイスホッケーをやっていたため、両立は楽でなかったですが、とても充実した大学生活でした。
ところが、その一方で物足りなさも感じていたんです。もちろんやらなければいけない仕事だけでも必死だったのですが、なんでこれしかできないんだ、とも感じたんですよね。
だから、もっといろいろな演出をしたり、裁量権を持ってやれることを増やしていくためにも、テレビ局に就職したいという思いは変わりませんでした。
一番品質基準に対して厳しく、時間・お金・資材など様々なものが揃っているところで働きたいと思っていたので、映画産業も考えたのですが、色々なことに関心がある性格だったので、最終的には、短いスパンで様々なことに挑戦できそうなテレビ局に絞っていきました。
結局、NHKと民放のテレビ局の両方の内定をもらったのですが、最初からディレクターを務められるということで、NHKへの入社を決めたんです。
チャレンジをする側に回りたい
実際に職員としてNHKで働いてみると、これまで以上に大変でした。自分のいったことや書いたことがNHKの発言になるという責任感は、大きなプレッシャーでしたね。背中で教える職人文化があり、裁量も責任も大きかったです。
また、仕事の中でも、ネタ探しとロケ先探しには本当に苦労しました。あるアプリの特集を放送するために、番組の前日に、実際に使っている家族を探して撮影をしようという話になり、妹の友達など片っ端からあらゆる手段を使って探したこともありました。
それでも、やはり仕事はとても充実していましたね。広島・山口・東京で働く中で、たくさんの人との出会いもありました。特に、地域の現状を変えようというチャレンジャーを取材していたことがあり、熱い思いを持つ人にたくさん出会うようになったんです。
そんな人々との出会いを繰り返す中で、気づけば自分も、日本を元気にするようなチャレンジをする側に回りたいと思うようになっていきました。
「自分の経験や専門知識を活かして、ベンチャービジネスに関わりたい」そう感じるようになったんですよ。
そんな思いから、不満こそ無かったものの、NHKを退職することに決めました。
何をするか、明確に決めていた訳ではなかったのですが、今後の挑戦に生かすため、英語やMBAの勉強をしたいという気持ちから、カナダへ留学することに決めたんです。
NHKでTwitterとテレビの連動番組を立ち上げた経験から、映像とネットの融合に関心があり、そういった分野の挑戦も考え、情報収集をしたいという気持ちもありましたね。いずれは、自分で起業することも選択肢にありました。
動画の力で世の中を元気にしたい
そんな思いで留学して間もない頃、たまたま、動画とITの領域で事業を行うベンチャーが日本にあることを知りました。それがViibarでした。
Viibarは、クライアントとクリエイターが直接受発注する仕組みと、オンラインで制作可能なシステムを作ろうとしていたんです。
この、動画クリエイティブの世界を大きく変えるような挑戦は、まさに自分が掲げるビジョンに近いんじゃないかと感じ、すぐに連絡をとりました。
その後、代表の上坂と面談を行い、描く方向性やパーソナリティに非常に魅力を感じたんです。面談後、採用も決まらないうちに帰国の航空券をとりました。もう、自分の心は決まっていましたね。
無事に採用してもらってからは、今までの自分の経験を活かし、クリエイターの目線に立ったシステム改善や、クリエイターとのコミュニケーションを担当しています。 スタートアップなので他にも様々な仕事を担当していて、プラットフォームを使ってくださるクライアントの開拓や、広報も併せて行っています。
Viibarを通して、もっと動画を作る人たちを幸せにできるし、今まで応えられなかったクライアントのニーズに対応していくことができると思っているんです。
僕は、動画は人の人生を変え、夢を与えるものだと信じています。だからこそ、今の仕事を通して産業自体を活発にすることで、日本をもっと元気にしていきたいと思っています。
2014.06.03