苦しんだ経験が、事業作りの強みになる。院卒・資格浪人・25歳の就活を経て掴む機会。

【株式会社UZUZ提供:第二新卒・既卒の就活CH】第二新卒・既卒に特化した人材紹介事業を行う会社で新規事業創出に取り組む山本さん。大学院までIT分野での研究に打ち込みながら、卒業後は一転、司法書士を目指して資格浪人に。試験に失敗し25歳フリーターから就職活動も経験。そんな山本さんが、事業作りに込める思いとは?

山本 純平

やまもと じゅんぺい|苦しんだ経験を活かした事業作り
第二新卒・既卒に特化した人材紹介事業を行う株式会社UZUZにて、新規事業の立ち上げなどを行う。

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「慶應ブランド」への葛藤、打ち込めるものを探し研究へ


東京に生まれ、生後半年でアメリカに渡り、4歳で神奈川県横浜市に引っ越しました。小学生の時、親の意向で、慶應義塾湘南藤沢中等部を中学受験しました。

最初は嫌々でしたが、「今頑張れば、後で楽になる」と、次第に勉強に打ち込むようになりました。小学校での成績はトップクラス。受験本番も問題なく、慶應義塾湘南藤沢中等部に入学しました。

入学してからは、「慶應ブランド」に悩まされました。同級生は各学校でトップの成績だったような人の集まりなので、真面目に勉強しても平均点くらいしか取れません。一方で、学外では「慶應に入るなんて優秀だね」と言われる。学外からの評価と学内での実態のギャップに苦しみました。学校名で評価されることにも悔しさを感じました。

身体が小さく、運動があまり得意ではなかったので、中学ではフェンシング、高校ではフィギュアスケートと、マイナースポーツの部活に入りました。本気で打ち込むわけではなく、部活に出ずに友達と遊んでいることが多かったですね。

ITになんとなく可能性を感じていたので、高校卒業後は、ITを学べる環境情報学部に内部進学しました。慶應の内部進学生は大学に入ってからスイッチを入れる人が多く、私も体育会のヨット部に入りました。

毎週金曜の夜から合宿に行き、土日はひたすらヨットの練習。入部して1ヶ月経つ頃には、日焼けで肌が真っ黒。体育会に入ったことで生活が急激に変わり、肉体的にも精神的にもキツかったですね。あまりの厳しさから精神的に追いつめられ、身体は疲れているのに夜眠れないこともありました。試合に出場する機会もあったのですが、結局1年で退部しました。

部活を辞めたことに対する負い目は大きく、「絶対に大学生活を遊んで過ごしてはいけない」と誓いました。ストイックに生活するため厳しいゼミに入り、研究のために学校に泊まり込むようになりました。

ゼミのテーマは、「ユビキタスコンピューティング」。コンピュータ・センサ・カメラなどのデバイスにいつでもアクセスできる環境でどのようなサービスを提供できるか、という研究を行っていました。その中で、「雰囲気をデジタル化する」という、誰も取り組まないようなハードルの高い研究に取り組みました。

カメラやセンサーを制御するシステムのプログラミングから、研究成果のプレゼンテーション、更に次の仕組みを考えるところまで、一連のプロセスを全て自分でやることができて、非常にやりがいがありましたね。難しさもありましたが、人と同じことはしたくなかったので、研究テーマを変えようとは思いませんでした。ひたすら研究に時間を費やし、そのまま大学院進学を決めました。

大学院から資格浪人、助言を受けて就職活動へ


大学院での研究は変わらず楽しかったのですが、将来への不安もありました。研究でプログラミングのスキルはつきましたが、プログラミングが好きなわけではないので、システムエンジニアはちょっと違うなと思っていました。

何か面白そうな仕事がないかと資格学校のサイトを見ているうちに、司法書士になんとなく興味を持ちました。ビジネスや独立になんとなく関心がありましたし、資格試験で自分の力を試してみたいと思ったんです。それまでは学校のブランドに頼ってばかりだったので、自分の力で合格したい、と。

研究で忙しい中、合間を縫って試験勉強をしました。受かるのではないかと思っていましたが、結果は不合格でした。もうちょっと勉強をしたかったと後悔があったので、資格浪人をすることに決めました。

大学院卒業後は友達との連絡を断ち、予備校で勉強に打ち込みました。模試でも合格点が取れるようになり、今年は受かるという感覚がありましたね。

しかし、結果は不合格。惜しくもない点数でした。卒業してから1年間勉強だけしてきたので、さすがにこたえましたね。

今さら進路を変更することは考えられなかったので、もう1年、司法書士事務所で働きながら勉強しようかと考えていました。しかし、面接に行った事務所の先生から、受験を止められました。「君みたいな子はたくさんいるけど、働きながら合格できるのは一握り。このままだと抜け出せなくなる。君は素直で良い子だから、そうなってほしくない」と言われました。

その言葉を聞いて、心が少し軽くなった気がしました。「こっちじゃなくていいんだ」と思え、資格試験ではなく就職を考え始めました。

25歳・既卒フリーターの就活を経て、最年少マネージャーへ


25歳の既卒フリーターということもあり、就職活動は大変でした。大学院の専攻に関係するIT系の会社ですら書類落ちでした。周りに同じ状況の人がいないこともあり、「どこだったら面接まで進めるんだろう」と悩みましたね。

そんな中、既卒や第二新卒に特化した就職支援サービスを使いはじめて、なんとかまともに選考を受けられるようになりました。数社の面接を受けた後、不動産管理会社から内定をもらえました。面接の手応えがなくしょげていたところ、就職支援サービスの社長の今村さんから「内定です」と電話をもらった時は、大宮駅で泣きましたね。

後がないと危機感があったので、入社後はとにかくストイックに働きました。1日に100社訪問する営業研修の登竜門では、234社に足を運びましたし、その後も毎日80社以上回りました。自分が価値を発揮することだけを追いかける日々。業務内容は何でも良かったので、営業、社長室、経理と部署を移り、仕事に慣れてからは総務やシステムなども兼任するようになりました。

そして、社内の最短記録でマネージャーに就任することができました。やっと成果につながった。嬉しかったし、自信がつきましたね。社内での発言力もつき、自分の考えを具現化できる楽しさを感じていました。

自分が苦しんだ経験を事業作りに還元していく


入社して1年半ほど経つと、転職を考えるようになりました。仕事は楽しいし、評価も受けていたのですが、トップダウンで物事が決まっていく社風に違和感がありましたし、自分が他の環境でも通用するのか試したいと思っていました。

そこで、以前お世話になった既卒や第二新卒に特化した就職支援サービスを運営する会社に、中途採用をやっていないか聞いてみました。

社長の今村さんは、私と同い年。初めて会った時、自分は就活生なのに、今村さんは会社を経営していて、尊敬の念を抱きました。その時から、いつか一緒に働いてみたいと思っていたんですよね。

ただ、「他の会社も受けて考えたほうがいい」と薦められ、転職活動を行うことにしました。結果的に3社から内定をもらいましたが、やはり一番働きたいのは今村さんの会社でした。

社長だけに惹かれたわけではありません。事業づくりに自由に挑戦できそうなところや、会社の雰囲気も魅力的でしたし、私自身キャリアに悩んだことから、人材というテーマに関心もありました。そこで、今村さんが経営する、株式会社UZUZに転職を決めました。

現在は、求職者のキャリア相談やwebマーケティング、カスタマーサポートなど人材紹介事業の仕事を行うかたわら、不動産事業の立ち上げを担当しています。転職と同時に引っ越しを考える人が多いので、一括でサポートしたいんですよね。 宅地建物取引士の資格を持っているので、事業責任者を任せてもらっています。

また、資格試験に失敗した人向けのメディア運用もしています。資格浪人をしている人は真面目に勉強している人が多いので、仕事でも価値を発揮できるポテンシャルがあると思います。しかし、一度資格試験を目指し始めると、なかなか就職には目が向きません。不合格になっても、再び受験するか、他の資格を目指すか以外の選択肢が浮かびづらいんです。私が司法書士の先生との出会いで救われたように、就職の選択肢もあると伝えて、苦しんでいる人の手助けをできればと考えています。

今は、自分の責任でビジネスを作ることに一番やりがいを感じています。お金を稼ぐ仕組み、過去の自分と同じように悩んでいる人たちを救う事業を作っていきたいです。大学院を卒業した後に資格浪人をして、25歳フリーターから就職活動と辛い経験をしてきましたが、人材業界で仕事をするなら、その経験は強みだと考えています。経験を事業作りに還元していきたいですね。

2016.01.29

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